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最終篇第五章 “太陽を奪う者”
埋め様の無いチカラの差
しおりを挟む「ならば、やってみろ…」
ロストの言葉が総てを物語っていた。
ロードの波動はロストの足元にも現時点では
及んでいない事は余りにも明白。
もう一度言う、ロードの言葉は正しい。
原理的には可能なのだ。
だからこそ、ロストという男が暗黒のギフト
を目覚めさせた事に意味が映し出される。
凌駕出来ないのだ。
現状のプレジアに於いて、最強。
其の肩書きは、ロストの手中に在る。
結論を言おう。
ロードは今の儘では、チカラを奪い返す事は
万に一つの可能性も無く、不可能だ。
「ちょっと……待てよ…。意気込んで来て…なんだよ…このザマは……ニャロウがァ!!」
「お、お待ちくださいっ!ロード様っ!!」
ギフトを持たぬ身体でロストに向けて駆ける
ロードを止めようとシェリーが声を張る。
しかし、錯乱状態のロードに其の声は届かず
最悪のケースへとロードは雪崩落ちる。
「テメェに…もう勝ちの目はねェよ…恨みなんざこれっぽっちもねェが…死ね…」
「うるせぇってんだッ!!ニャロウッ!!」
生身のままで、刀を構えたロードはロストに
向けて鋒を向けて斬り掛かる。
錯乱したままの表情を浮かべて。
しかし、其の刃は届かない。
ロストは自身の手の大刀で其の刃を弾き上げ
ロードの懐に身を捻って裏拳を浴びせた。
其の威力は、凄まじく吐血しながらロードは
天空天守の上で十メートル程の距離を一撃で
吹き飛ばされるのだった。
「ぐあッ……ニャロウが……ッ!」
直ぐ様、立ち上がるロードだったが今の一撃
でロストとの距離を見切ってしまった。
ギフトのチカラを奪われた状態で此のロスト
という男に立ち向かうのは自殺行為。
足がどうしても、恐怖で鈍る。
「次は……此の刃でテメェを貫くぜ…?」
ロストの目がロードに圧倒的な威圧感を与え
其の動きを更に鈍らせて行く。
だが、其れでもロードは前を向く。
「だからって…諦めていい理由になんかならねェ……勝てねェって決め付けて…立ち止まることなんざ簡単にできっけどな…逆はめちやくちゃ難しい…それでもよ…前向いて行くんだよ…コイツァ…俺だけの戦いじゃねェんだからなァァ!!」
ロードがまたも、天空天守の地を蹴る。
そして、刀一本を構えてロストを目指す。
其れは、方法すら解らない勝利を手にする事
を目指すだけの途方も無い旅路。
進む方向すら解らなかった流浪人として此の
国を流れ始めた時と同じ歩き方。
だが、あの時とは違う。
孤独では無く、此処迄を仲間と共に来た。
背負うモノ、支え合う者の存在がロード自身
をはっきりと強くしてくれる。
「……波動が…上がった…?」
ロードの波動の上昇を感じたロストは略奪に
因り奪い取った業火のギフトのチカラに鍵を
した檻を心の中にイメージする。
其の鍵が緩まない様に、改めて暗黒のギフト
のオーラを高めて行くのだった。
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