RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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最終篇第五章 “太陽を奪う者”

“略奪”のチカラ

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そして、風が止んだー。

先に動き出したのは、ロードだ。



「ハナっから全力で行かせてもらうぜッ!?ロストッ!!業火覚醒……ッッ!!!!」



ロードの身体が真紅の炎に包まれる。

そして、姿を現した国の護り神として歴史の
中で語られる“鳳凰”をモデルとした覚醒。

真紅の翼、燃え上がる着物の裾、そして全て
が同じく真紅に染まる一振りの刀。

燃え盛る火炎の勢い其の儘に、ロードが前へ
飛び出しロストに立ち向かって行く。



「“ 真紅炎鳳クリムゾンフェニックス”ッッ!!!!」



加速するロードが差し迫る中、ロストは大刀
を担いだ腕では無い方の手を伸ばす。

そして、手のひらを開くと身体全体から波動
が溢れ出し、其れが暗黒色に染まり上がる。



「手加減はしねェ……」



ロストがカッと目を見開く。

すると、ロストを目指すロードの身体にある
変化が生じ始めていた。



「んだ……?こりゃ……ッ」



ロードの身体を侵食する様に染め上げる暗黒
の波動を見てロードは動きを鈍らせる。



そして、絶望の瞬間が訪れたー。



ロードの身体から、鳳凰の覚醒が消えた。

そう、消えたという表現が最も正しい。

ただ、正確には“奪われた”である。



ロードは動きを止める。

そして、己の身体に目を落とし掌を眺めつつ
瞳を閉じると身体の中にあった声が消えた。



「……は?オイ……オイッ!!業火の……俺のギフトはどこ行ったッ!?鳳凰のチカラはどこに消えちまったんだッ!!」



錯乱するロードの背中を眺めながらシェリー
は完全に言葉を失い脱力してしまった。

そして、ロストが腕を下ろして口を開く。



「此れが俺が持つ希少種…暗黒のギフトの…三大特性が一つ…“略奪”のチカラだ……」



暗黒のギフト。

其の特性の一つ、“略奪”。

此のチカラは其の名の通りに相手のギフトの
チカラを奪い去り使用不可にするチカラ。

そして、略奪の名の通りにロストの背中から
暗黒色の翼が顕現したのをロード達は表情を
曇らせながら視界に入れた。



「……ほう。テメェの業火のギフトの得意特性は…“昇華”か。チカラを使う毎に強さを増す攻撃特化の特性……良いチカラを得たもんだ」



ロード達は、言葉の意味を呑み込もうと必死
に頭のギアを回すが出る答えは必ず同じ。

ロストという強大な波動の男にロード自身の
ギフトと覚醒は奪われ、其のロードの一番の
得意特性であったチカラさえ呑み込まれた。

いきなりの“終戦”の可能性が浮上したのだ。



「ま、まてよ……そいつァ…ギフトの特性だよな?だったら…そのチカラを上回る波動でチカラを奪い返せるハズだよな…」



ロードの言葉は、正しい。

ロストが奪えるのはギフトのチカラである。

波動は、また別物ではあるのだ。

だが、此処にも問題が生じていた。

其れを此処で身に染み込まされる事となる。




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