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最終篇第六章 “導かれる魂”
其の聖なる翼を広げて
しおりを挟む「私……気付きました。覚悟を口にしても想いを言の葉に乗せても……人任せな部分は消せていなかったんです……それは…戦いが怖いから…傷付くのが怖いから……っ」
シェリーの身体が桃色の光に包まれる。
ロストの暗黒のギフトと波動を前にして練り
上げる事が叶わなかった桃色の波動。
其れが驚く事に、形を成して行く。
「いざ今…立ち上がっても怖さは拭えません。それでも……皆様をこのまま失う事の恐怖に比べたら……なんの戸惑いもありませんっっ!!!!」
シェリーの声が空へと弾けて消える。
未だ闇に包まれし空の下に桃色の球体が出現
するとシェリーの身体を呑み込んで行く。
其れをロストは、ジッと見詰める。
そして、球体から聖なる翼を得た王女の姿が
ハッキリと顕現されて行った。
「閃光覚醒……“ 聖輝天使”……っ!!」
桃色のホルダーネックのドレス。
フィッシュテール状のスカート。
純白のアームカバーに金銀のアクセサリーを
身に纏ってシェリーは目を見開く。
其の背には、桃色は翼が優雅にはためく。
光を放つ其の姿は、正に夜明け前の“暁光”。
「……閃光のギフトの覚醒か……相反するチカラを前に暗黒のギフトが騒めいてやがる…」
ロストの視線を受けながら桃色に光を放った
翼をはためかせてシェリーは自分の足元へと
空から光の粒子を降り注がせる。
其の粒子は瞬く間に瀕死状態であった仲間を
死の淵から蘇らせたのだ。
ムクリと身体を起こすエルヴィス、ノア達は
起きている状況を呑み込めぬままで仲間の顔
をチラチラと見合わせていた。
そんな中でシャーレやポアラの四人だけ緩り
と立ち上がるとサッと振り返り空を見上げて
聖天使と成った王女シェリーに目を向ける。
「あの時に貰ったこのあったかさ……忘れるワケないよ……シェリーちゃんっ!」
「……皆様に…苦しい顔は似合いません。必ず勝って笑いましょう!!」
其の声にエルヴィスやノア達も現状を把握し
笑みを浮かべて土壇場での最後の一雫を絞る
為に改めて表情を引き締めた。
そして、全員がロストに視線を向ける。
だが、ロストだけは一人、空を眺めていた。
「(闇の天……其の雲に切れ間が……)」
完全なる闇空にほんの少しの切れ間。
其れが意味する事をロストは心の奥の奥にて
察してしまっていたのかもしれない。
首を横に振り、其の意味を頭の中から消して
眼前に幾度と無く立ち塞がる者達へと視線を
飛ばして波動を練り上げる。
「忘れるな、テメェ等のギフトは未だ略奪した儘だ…抗うチカラが何処に在る?」
「それはココにっ!!」
シェリーが空から桃色の光を弾けさせ仲間の
背を一気に照らすと全員に閃光のギフトから
分け与えられしチカラが宿る。
そして、総てを理解したポアラが先陣を切り
其れに続く形で総攻撃が始まった。
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