中学の時、誰が誰を好きだったか解る図

健野屋文乃(たけのやふみの)

文字の大きさ
4 / 4

お楽しみ会

しおりを挟む
みんなカードは持って来たらしい。
それをアキナイくんは回収して回った。

そして、
「少々お待ちください♪」
と言って控室に戻って行った。


「モモカ、苺大福あるよ!」
メグミは楽しそうだが、わたしはそれどころじゃない。

落ち着けモモカ。
そう中学時代の恋なんて時効だ。
七年も前の話だし。

わたしはモモセくんの姿を追った。
隅の方で、仲の良かった男子と話している。

ここに来てるって事は、書いてるって事!

そして、めっちゃ男前になってる!

それなのに!
もうすぐ色々晒される!
わたしがモモセくんの事を、大好きだった事。
そしてモモセくんが、大好きだった人の事。
どうしよう。

「まだ開けないでくださいね」
アキナイくんが、封書を配り始めてる。
アレに『中学の時、誰が誰を好きだったか解る図』が入ってるらしい。

アキナイくんが手渡してくれたが、逃げたい。ここから逃げたい。
なんで同窓会如きに、こんなドキドキさせられるの?

「それじゃあ、一斉に開けてください♪」

アキナイくんの一言に、みんなが一斉に開け始めた。
わたしは、モモセくんを一目見た後、封書を開け、
『中学の時、誰が誰を好きだったか解る図』を取りだした。

会場で
「えーわたしの事好きだったの!」
「言ってくれたら!」
「お前、マジ!」
と声が上がった。

わたしは『中学の時、誰が誰を好きだったか解る図』のわたしの名前とモモセくんの名前を探った。

モモカの名前があって、どこかと線が繋がってる。
「あっモモセくんと繋がってる」
わたしの心が温かくなった。中学の時の熱狂とは違う種類の温かさだ。
モモセくんの方を見たら、目が逢ってしまった。


●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●

「モモセ、行けよ」

思いっきり顔を赤らめているモモセの背後から、俺は言った。
そしてさらに、言葉の追い打ちをかけた、

「お前はさあ、商売人の俺から見ても、いい男だし、信頼出来る男だ。あのアホを男運の不幸の連鎖から解き放って、しあわせに出来るのはお前だけだろ?」

はあ、前もって確認を取ったにも関わらず、この弱気さ。

「あいつに言い寄った奴らの調査資料見せただろ。
今、行かないと、あいつ本当に不幸になるぜ。
好きな女が、不幸になるのを見て見ぬ振りする気か?」

モモセがやっと動き出した。
その異変に、会場の視線がモモセに集まりだした。

●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●


「あっモモセくんが、こっちに来る!」

物凄く近づいてきた。
あっ背が高くなってる。

「モモカちゃん、好きでした。これからもずっと好きです。一生付き合って下さい」

●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●●☆*:..。o☆●


「モモカ良かったね」
わたしは泣いた。

商売を終えたアキナイが近づいてきて、
「メグミさんさあ、俺の事好きだったんだ。
あの頃は嫌われてると思ってた。ツンデレって奴?」
とにやけた。

わたしは笑って誤魔化した。


      完

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

恋人でいる意味が分からないので幼馴染に戻ろうとしたら‥‥

矢野りと
恋愛
婚約者も恋人もいない私を憐れんで、なぜか幼馴染の騎士が恋人のふりをしてくれることになった。 でも恋人のふりをして貰ってから、私を取り巻く状況は悪くなった気がする…。 周りからは『釣り合っていない』と言われるし、彼は私を庇うこともしてくれない。 ――あれっ? 私って恋人でいる意味あるかしら…。 *設定はゆるいです。

彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった

みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。 この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。 けれど、運命になんて屈しない。 “選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。 ……そう決めたのに。 彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」 涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。

どう見ても貴方はもう一人の幼馴染が好きなので別れてください

ルイス
恋愛
レレイとアルカは伯爵令嬢であり幼馴染だった。同じく伯爵令息のクローヴィスも幼馴染だ。 やがてレレイとクローヴィスが婚約し幸せを手に入れるはずだったが…… クローヴィスは理想の婚約者に憧れを抱いており、何かともう一人の幼馴染のアルカと、婚約者になったはずのレレイを比べるのだった。 さらにはアルカの方を優先していくなど、明らかにおかしな事態になっていく。 どう見てもクローヴィスはアルカの方が好きになっている……そう感じたレレイは、彼との婚約解消を申し出た。 婚約解消は無事に果たされ悲しみを持ちながらもレレイは前へ進んでいくことを決心した。 その後、国一番の美男子で性格、剣術も最高とされる公爵令息に求婚されることになり……彼女は別の幸せの一歩を刻んでいく。 しかし、クローヴィスが急にレレイを溺愛してくるのだった。アルカとの仲も上手く行かなかったようで、真実の愛とか言っているけれど……怪しさ満点だ。ひたすらに女々しいクローヴィス……レレイは冷たい視線を送るのだった。 「あなたとはもう終わったんですよ? いつまでも、キスが出来ると思っていませんか?」

【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。

山葵
恋愛
私の愛する旦那様。私は貴方と結婚して幸せでした。 姉は「協力するよ!」と言いながら友達や私の好きな人に近づき「彼、私の事を好きだって!私も話しているうちに好きになっちゃったかも♡」と言うのです。 そんな姉が離縁され実家に戻ってきました。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

処理中です...