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1章 憲兵隊本部長の娘
6話 ここは安全地帯です。
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「とりあえず手錠外して欲しいです」
由良穂香(ゆらほのか)は言った。
僕はポケットの中を探してみたが、持ってなった。
そして、車の中を一通り探してみたけど、鍵は見つからなかった。
「ごめん」
「パシリさんだし、しょうがないですね。携帯的なものは?」
「ごめん」
「だよね」
「家に帰ります?送るけど・・車の鍵は有るみたいだし」
「デートの帰りじゃないんだから、もう」
「ごめん」
「でも、例えば帰ったとしてもですね・・・・」
由良穂香はじっと考えた。そして、
「とりあえずこの場所から離れたいです。
いつ主犯の皆さんが帰ってくるかも解らないですし・・・」
「うん、解った」
「ねえ、パシリさん」
「何?」
「私を本当に裏切らない?」
由良穂香は、僕をじっと見つめた。
僕が頷くと、
「私の為に死ねます?」
「急にそんなこと言われても・・・」
「裏切らないって、そう言う意味ですよ。
今の現状は、遊びではないのです」
僕が躊躇していると、彼女は舌を出し、覚悟を決めた目をした。
私はあなたの為なら死ねるよ・・・と。
「!」危険を察した僕は、
「死ねる」
と咄嗟に言ってしまった。
彼女は舌をしまうと、儚げに微笑んだ。
その後、僕らは周囲を警戒しながら、公園の駐車場を抜け出し、国道で尾行が無いことを確認した後、
酷道へと入って行った。
整備の行き届いていない荒れた国道の事を、物好きな冒険家たちは酷道と呼ぶ。
物好きな冒険者たちは、荒れていれば荒れているほど、歓喜する。それが酷道。
真夜中の酷道は完全な暗闇で、僕の心は不安で満たした。
もし主犯の皆さんに襲われたら、きっとその暗闇に葬りさられてしまうだろうし・・・
酷道でワゴンを降りて、そこから山道を歩くことになった。
「えっ、タルタルソースの箱持って行くんですか?」
僕はなぜか、『白夜のタルタルソース』を、持って行かなければならない衝動に襲われていた。
「うん、なんとなく・・・」
由良穂香は、不思議そうな顔をして
「迷うと大変ですから・・・」
と段ボールを抱える僕の腕を掴んだ。
懐中電灯も無い状態での山道を、足元を確認しながら歩いた。
時折、彼女は背後を確認した。
闇の中には風の音だけがあった。
20分くらい歩いた先の空き地に、錆びついた古いスクールバスが止まっていた。
「とりあえず、ここは安全地帯です」
由良穂香は、錆びついたバスのドアを開けた。
つづく
由良穂香(ゆらほのか)は言った。
僕はポケットの中を探してみたが、持ってなった。
そして、車の中を一通り探してみたけど、鍵は見つからなかった。
「ごめん」
「パシリさんだし、しょうがないですね。携帯的なものは?」
「ごめん」
「だよね」
「家に帰ります?送るけど・・車の鍵は有るみたいだし」
「デートの帰りじゃないんだから、もう」
「ごめん」
「でも、例えば帰ったとしてもですね・・・・」
由良穂香はじっと考えた。そして、
「とりあえずこの場所から離れたいです。
いつ主犯の皆さんが帰ってくるかも解らないですし・・・」
「うん、解った」
「ねえ、パシリさん」
「何?」
「私を本当に裏切らない?」
由良穂香は、僕をじっと見つめた。
僕が頷くと、
「私の為に死ねます?」
「急にそんなこと言われても・・・」
「裏切らないって、そう言う意味ですよ。
今の現状は、遊びではないのです」
僕が躊躇していると、彼女は舌を出し、覚悟を決めた目をした。
私はあなたの為なら死ねるよ・・・と。
「!」危険を察した僕は、
「死ねる」
と咄嗟に言ってしまった。
彼女は舌をしまうと、儚げに微笑んだ。
その後、僕らは周囲を警戒しながら、公園の駐車場を抜け出し、国道で尾行が無いことを確認した後、
酷道へと入って行った。
整備の行き届いていない荒れた国道の事を、物好きな冒険家たちは酷道と呼ぶ。
物好きな冒険者たちは、荒れていれば荒れているほど、歓喜する。それが酷道。
真夜中の酷道は完全な暗闇で、僕の心は不安で満たした。
もし主犯の皆さんに襲われたら、きっとその暗闇に葬りさられてしまうだろうし・・・
酷道でワゴンを降りて、そこから山道を歩くことになった。
「えっ、タルタルソースの箱持って行くんですか?」
僕はなぜか、『白夜のタルタルソース』を、持って行かなければならない衝動に襲われていた。
「うん、なんとなく・・・」
由良穂香は、不思議そうな顔をして
「迷うと大変ですから・・・」
と段ボールを抱える僕の腕を掴んだ。
懐中電灯も無い状態での山道を、足元を確認しながら歩いた。
時折、彼女は背後を確認した。
闇の中には風の音だけがあった。
20分くらい歩いた先の空き地に、錆びついた古いスクールバスが止まっていた。
「とりあえず、ここは安全地帯です」
由良穂香は、錆びついたバスのドアを開けた。
つづく
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