5 / 10
喜びと羞恥
しおりを挟む
(え、これヤバいかも。喜んで、とか言ったのに、けっこう恥ずかしい!)
周りの女子からは、嫉妬と憎悪の眼差しが向けられている。
そして繋いだ手の先には、子犬化した王子、如月剛。
(でも、こんなこと幾度となくやってたのにな。なんで如月くんの時だけこんなに恥ずかしいんだろう。)
その答えはもうとっくに出ているのだが、希美はそれに気づく事は無かった。
気付けばもう目の前に校門が。
(ヤバい!結局このまま来ちゃった!)
繋いだ手を見つめて、希美は思う。
だが、子犬もとい如月は手を繋いだまま容赦なく進む。
(あぁ…女子達の視線が痛いよう…)
恥ずかしさに頬を赤らめ、俯いて歩く希美に対し、如月は、「この手を繋いでいるのが、俺の自慢の希美だ」というように誇らしげに歩いていく。
希美の教室に着くと、如月はとても寂しそうな顔をして、これまでよりもっと強く、優しく手を握りしめる。
「離れるの、やだよぅ…」
今にも泣き出しそうな声と目が、天使のように輝いていた。
「わ、わかったから、泣かないで、ね?」
「うぅ、うん」
「そうだ、お昼一緒に食べよ?そしたらまた会えるよ?」
そういうと、これまでの表情が一転、キラキラした、満面の笑みに変わった。
「ほんと!?やったぁ!」
如月は子供のように喜ぶ。
「ふふ、希美ちゃんと一緒にごはん♪」
「じゃあ、またお昼休みにね?」
「うん、ばいばい!」
如月は手を振ったあと、走り去っていった。
「のーぞーみっ!」
「あ、美優!」
「どぉ~したの、あんな仲良くなっちゃって~笑」
「あっ、そうだ美優、実は気になることがあって・・・」
希美は自分が気になっていたことを、美優に全て話した。
「んー、それって、俺様と子犬系男子、つまり2個あったってこと?」
「そうなんだ。昨日は、全然違う人だったのに。」
「つまりつまり、つまりそれって、二重人格じゃない!?」
興奮ぎみに話す美優をじっと見つめて、希美はくり返す。
「二重人格?」
「そう。」
(二重人格ってほんとにあるんだ)
美優の表情が真剣になり、再び話し始める。
「でもねぇ、美優。二重人格ってことは、その両方の性格の如月さんを愛さなきゃいけないんだよ?」
「わかってる。私は、俺様な如月様も、子犬な如月くんも、全部大好きだから。」
「そっか!」
そういって、美優は希美の頭をくちゃくちゃになるまでなでた。
「まぁとにかく、昼休み頑張りな!」
「おうよ!!」
それは、希美が何かを固く決心した瞬間、また、美優と希美との絆がまた一つ増えた瞬間だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回、私事で投稿遅れますが、
お昼休みの王子とビッチの話です!
周りの女子からは、嫉妬と憎悪の眼差しが向けられている。
そして繋いだ手の先には、子犬化した王子、如月剛。
(でも、こんなこと幾度となくやってたのにな。なんで如月くんの時だけこんなに恥ずかしいんだろう。)
その答えはもうとっくに出ているのだが、希美はそれに気づく事は無かった。
気付けばもう目の前に校門が。
(ヤバい!結局このまま来ちゃった!)
繋いだ手を見つめて、希美は思う。
だが、子犬もとい如月は手を繋いだまま容赦なく進む。
(あぁ…女子達の視線が痛いよう…)
恥ずかしさに頬を赤らめ、俯いて歩く希美に対し、如月は、「この手を繋いでいるのが、俺の自慢の希美だ」というように誇らしげに歩いていく。
希美の教室に着くと、如月はとても寂しそうな顔をして、これまでよりもっと強く、優しく手を握りしめる。
「離れるの、やだよぅ…」
今にも泣き出しそうな声と目が、天使のように輝いていた。
「わ、わかったから、泣かないで、ね?」
「うぅ、うん」
「そうだ、お昼一緒に食べよ?そしたらまた会えるよ?」
そういうと、これまでの表情が一転、キラキラした、満面の笑みに変わった。
「ほんと!?やったぁ!」
如月は子供のように喜ぶ。
「ふふ、希美ちゃんと一緒にごはん♪」
「じゃあ、またお昼休みにね?」
「うん、ばいばい!」
如月は手を振ったあと、走り去っていった。
「のーぞーみっ!」
「あ、美優!」
「どぉ~したの、あんな仲良くなっちゃって~笑」
「あっ、そうだ美優、実は気になることがあって・・・」
希美は自分が気になっていたことを、美優に全て話した。
「んー、それって、俺様と子犬系男子、つまり2個あったってこと?」
「そうなんだ。昨日は、全然違う人だったのに。」
「つまりつまり、つまりそれって、二重人格じゃない!?」
興奮ぎみに話す美優をじっと見つめて、希美はくり返す。
「二重人格?」
「そう。」
(二重人格ってほんとにあるんだ)
美優の表情が真剣になり、再び話し始める。
「でもねぇ、美優。二重人格ってことは、その両方の性格の如月さんを愛さなきゃいけないんだよ?」
「わかってる。私は、俺様な如月様も、子犬な如月くんも、全部大好きだから。」
「そっか!」
そういって、美優は希美の頭をくちゃくちゃになるまでなでた。
「まぁとにかく、昼休み頑張りな!」
「おうよ!!」
それは、希美が何かを固く決心した瞬間、また、美優と希美との絆がまた一つ増えた瞬間だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回、私事で投稿遅れますが、
お昼休みの王子とビッチの話です!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる