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第18話
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ーーー季節は春。
ここはとある王国の首都、王都。
その中心にある探索者ギルドには、いつものように多くの探索者が集っていた。
広間の掲示板にはギルドが迷宮の情報を掲載しており、多くの探索者が群がっている。
併設された酒場では真昼間だというのに酒を飲んで顔を赤らめている者達もいた。
そんなギルドの一室。
関係者以外立ち入り禁止の応接間に三人の影があった。
一人はどこか困ったような笑みを浮かべた青年、マコト。
一人は厳つい顔で腕を組んだ壮年、クレイグ。
そしてもう一人は見事な白髪と白髭をたくわえ、穏やかに微笑む好好爺。
彼は王都探索者ギルドの運営責任者であるギルドマスターだ。
元は超一流の探索者であり、ゆったりとしたローブの下には鍛えられた肉体が隠されている。
「それで、話ってのは何なんだ、マコト?」
クレイグが一番に口を開いた。
この日、マコトがクレイグとギルドマスターに頼んで時間を作ってもらい、こうして会合していたのだった。
「以前から何度か相談をさせていただいていたんですが……実は、この街を出ようと思ってるんです。」
「……そうか。まぁ、お前がここでできる事はもうねぇからな。」
そう、マコトは既に王都の上級迷宮を踏破していた。
未だかつて誰も成し得なかった偉業を、探索者となって一年足らずで達成してしまったのだ。
アークデーモン討伐の一件で広まっていたマコトの名は、上級迷宮単独踏破者として、もはや大陸各地のギルドで伝説となっていた。
マコトは約一年暮らしてきたこの王都を気に入っているが、折角神に与えられた第二の人生をもっと楽しみ尽くしたかった。
「お前の気持ちは良くわかるし、俺としては応援するが……レイラはどうするんだ?」
「レイラとは既に話し合いました。彼女も一緒に連れて行きたいと考えています。」
およそ一月前、マコトが28歳を迎える誕生日。
お祝いと称したレイラとのデートで、「私を貰って下さい。」と言われ、遂に陥落。
マコトとレイラは正式に恋人となったのであった。
「そうか…まぁ、お前らが決めた事なら俺は反対しねぇよ。お前の師匠としても、あいつの父親としてもな。」
ニヤリと笑みを浮かべているが、どこか寂しそうな様子であった。
「クレイグさん…ありがとうございます!」
マコトは丁寧に頭を下げた。
心配事が一つ減った、とマコトは胸を撫で下ろした。
そしてギルドマスターへ向き直る。
ギルドマスターは難しそうな顔をして髭を撫でている。
「ふぅむ……ギルドとしてはあまり歓迎できぬ話ではあるのう。マコト君は我がギルドが誇る探索者の筆頭じゃからな。」
「ギルドマスターよぉ、気持ちはわかるが、クランに所属してる訳でもねぇ探索者を縛りつける権利はお前らにはねぇぞ。」
クレイグが顔を顰めてそう言った。
「わかっておるよ。残念なことじゃが、この街に残る事を強制するつもりはない。じゃが、レイラ君は……。」
「あの、ギルドマスター。レイラがギルドをやめると何か問題でもあるんですか?レイラからは、正規の手続きさえ踏めば問題はないと聞いているのですが。」
「もちろんそうじゃよ。じゃが、あの子は職員からの信頼も非常に厚い。ゆくゆくはギルドの運営に携わってほしいと思っておったのじゃが…。」
「おい、それは本当か?」
クレイグが目を見開いて問いかけた。
一介の受付嬢がギルドの運営に携わる理事になるなど、普通ではありえないレベルの出世だ。
レイラがそこまでギルドに認められていたとは知らなかったマコトも、ギルドマスターの言葉に衝撃を受けていた。
「こんな事で嘘などつかんよ。マコト君、未練がましいかもしれぬが、もう一度話し合ってはくれぬか?」
「……わかりました。今夜、もう一度レイラと話し合ってみます。」
レイラがギルドの仕事を愛している事はマコトもよくわかっている。
自分の為に愛する人の将来を奪ってしまって良いのか。
そんな不安と悩みを抱えつつ、マコトはレイラと話す事にした。
「え、私はマコトに付いて行くわよ。当たり前じゃない。」
その夜、ギルドマスターとの話をレイラにしたところ、至極当然のことのようにレイラは言った。
「私は確かに今の仕事が好きだし、ギルドだって大好きよ。でも、それ以上にマコトの事が好きなの。貴方と離れたくないのよ。」
そう言って優しく笑うレイラに、マコトは何も言えなかった。
ただレイラに対する愛情が加速度的に大きくなるのを自覚し、彼女を強く抱きしめた。
「ありがとう……ありがとう、レイラ。」
自然と目が潤むのを感じつつ、マコトはレイラを一生大切にしてみせる、と覚悟を新たにしたのであった。
ここはとある王国の首都、王都。
その中心にある探索者ギルドには、いつものように多くの探索者が集っていた。
広間の掲示板にはギルドが迷宮の情報を掲載しており、多くの探索者が群がっている。
併設された酒場では真昼間だというのに酒を飲んで顔を赤らめている者達もいた。
そんなギルドの一室。
関係者以外立ち入り禁止の応接間に三人の影があった。
一人はどこか困ったような笑みを浮かべた青年、マコト。
一人は厳つい顔で腕を組んだ壮年、クレイグ。
そしてもう一人は見事な白髪と白髭をたくわえ、穏やかに微笑む好好爺。
彼は王都探索者ギルドの運営責任者であるギルドマスターだ。
元は超一流の探索者であり、ゆったりとしたローブの下には鍛えられた肉体が隠されている。
「それで、話ってのは何なんだ、マコト?」
クレイグが一番に口を開いた。
この日、マコトがクレイグとギルドマスターに頼んで時間を作ってもらい、こうして会合していたのだった。
「以前から何度か相談をさせていただいていたんですが……実は、この街を出ようと思ってるんです。」
「……そうか。まぁ、お前がここでできる事はもうねぇからな。」
そう、マコトは既に王都の上級迷宮を踏破していた。
未だかつて誰も成し得なかった偉業を、探索者となって一年足らずで達成してしまったのだ。
アークデーモン討伐の一件で広まっていたマコトの名は、上級迷宮単独踏破者として、もはや大陸各地のギルドで伝説となっていた。
マコトは約一年暮らしてきたこの王都を気に入っているが、折角神に与えられた第二の人生をもっと楽しみ尽くしたかった。
「お前の気持ちは良くわかるし、俺としては応援するが……レイラはどうするんだ?」
「レイラとは既に話し合いました。彼女も一緒に連れて行きたいと考えています。」
およそ一月前、マコトが28歳を迎える誕生日。
お祝いと称したレイラとのデートで、「私を貰って下さい。」と言われ、遂に陥落。
マコトとレイラは正式に恋人となったのであった。
「そうか…まぁ、お前らが決めた事なら俺は反対しねぇよ。お前の師匠としても、あいつの父親としてもな。」
ニヤリと笑みを浮かべているが、どこか寂しそうな様子であった。
「クレイグさん…ありがとうございます!」
マコトは丁寧に頭を下げた。
心配事が一つ減った、とマコトは胸を撫で下ろした。
そしてギルドマスターへ向き直る。
ギルドマスターは難しそうな顔をして髭を撫でている。
「ふぅむ……ギルドとしてはあまり歓迎できぬ話ではあるのう。マコト君は我がギルドが誇る探索者の筆頭じゃからな。」
「ギルドマスターよぉ、気持ちはわかるが、クランに所属してる訳でもねぇ探索者を縛りつける権利はお前らにはねぇぞ。」
クレイグが顔を顰めてそう言った。
「わかっておるよ。残念なことじゃが、この街に残る事を強制するつもりはない。じゃが、レイラ君は……。」
「あの、ギルドマスター。レイラがギルドをやめると何か問題でもあるんですか?レイラからは、正規の手続きさえ踏めば問題はないと聞いているのですが。」
「もちろんそうじゃよ。じゃが、あの子は職員からの信頼も非常に厚い。ゆくゆくはギルドの運営に携わってほしいと思っておったのじゃが…。」
「おい、それは本当か?」
クレイグが目を見開いて問いかけた。
一介の受付嬢がギルドの運営に携わる理事になるなど、普通ではありえないレベルの出世だ。
レイラがそこまでギルドに認められていたとは知らなかったマコトも、ギルドマスターの言葉に衝撃を受けていた。
「こんな事で嘘などつかんよ。マコト君、未練がましいかもしれぬが、もう一度話し合ってはくれぬか?」
「……わかりました。今夜、もう一度レイラと話し合ってみます。」
レイラがギルドの仕事を愛している事はマコトもよくわかっている。
自分の為に愛する人の将来を奪ってしまって良いのか。
そんな不安と悩みを抱えつつ、マコトはレイラと話す事にした。
「え、私はマコトに付いて行くわよ。当たり前じゃない。」
その夜、ギルドマスターとの話をレイラにしたところ、至極当然のことのようにレイラは言った。
「私は確かに今の仕事が好きだし、ギルドだって大好きよ。でも、それ以上にマコトの事が好きなの。貴方と離れたくないのよ。」
そう言って優しく笑うレイラに、マコトは何も言えなかった。
ただレイラに対する愛情が加速度的に大きくなるのを自覚し、彼女を強く抱きしめた。
「ありがとう……ありがとう、レイラ。」
自然と目が潤むのを感じつつ、マコトはレイラを一生大切にしてみせる、と覚悟を新たにしたのであった。
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