短い恋のお話

愛理

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「君と僕の物語はずっと」

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 誰かはそんなのお伽話の世界だけだよって笑うかもしれないけど、僕は本当に心から思っているよ。
 君と僕の物語はこれからもずっと終わることなく続いていくって。

 僕もさやも仕事が休みの1月の土曜日に朝からデートして、そして、今、デートの締めくくりに都内にあるイルミネーションが綺麗な有名スポットにいた。
 土曜日の夜ということもあってか僕達以外のカップルや友達同士で来ていると思うような人達が結構いた。
 それでも、そんなに凄く混んでいるというわけでもなくて、イルミネーションは様々な場所からしっかりと見ることができている。
 そして、スマートフォンで写真もしっかり撮れている。
「ここは初めて来たけど、本当に綺麗だね」
 さやが無邪気な子どものような笑顔で言った。
 僕とさやは同じ歳で2人とも大学を卒業して、同じ会社に入って、その会社で同じ部署になり、職種は違うけど、仕事上、絡むようになり、同じ歳で同期ということもあり、段々と仲良くなり、僕の方から告白して、恋人同士になった。
 ちなみに2人とも今はまだ社会人2年目。
 だけど、2年目ともなれば、あたり前だけど、1年目の時よりは社会とはどういうものかとか、勿論、見たくなかった大人の世界の部分も見えてきた。
 そして、僕もそんな部分をできるだけスルーしている。
 でも、今一緒にいるさやは違っていた。
 社会人2年目となった今も出会った時のように(出会った時でも、今時珍しいとは思ったけど)純粋で、自分の恋人だからとかいう贔屓目なしでも、ピュアという言葉が凄く似合う女性だった。
 でも、だからこそ、僕はさやをこれからもずっと大切にしたいと思うし、ずっと一緒にいたいと思っている。
 たまに友達にこんな話をすると、そんなの今だけだよ、その子だって、変わっていくだろうし、関係も変わっていくよと言われたりするけど、僕はそう思わない。
 だって、こんなせちがらい世の中でも、まだ世間的には若いと言われる年齢とはいえ、大人と呼ばれる年齢になるまで、さやはとてもピュアなままでいたんだし、僕はそんな奇跡のような女性に巡り合えたんだから。
「たかくん、どうしたの」
 さやが少し物思いにふけてしまっていた僕を呼んだ。
 ちなみにさやは、そのまま、さやってひらがなでの名前だけど、僕の名前は孝弘(たかひろ)だ。
 恋人同士になってからは、さやは仕事以外の時は(仕事では皆の手前、勿論、お互いに名字呼びをしている)僕をこんな風に呼ぶようになった。
「ああ、ごめん。ちょっと考え事してて」
「えー? どんなこと?」
 さやはそう言い僕の顔を下から覗き込んできた。
 その目はとてもきらきらしている。
「ん? これから先もずーっとこんな風にさやと一緒にイルミネーションとか、他にも色々と一緒に同じ景色を見に行く物語は続いていくんだろうなっていう考え事」
 僕がそう言うとさやはより一層、目をきらきらさせて、
「うん、私もそう思う。たかくんとはこれからも沢山、同じ景色を見ていくんだって」
 そう嬉しそうに僕の顔をじっと見ながら言った。
 だから、僕はさやを思いっきり、抱きしめて、
「ああ、さやと僕の物語は誰が何て言おうと誰が何をしてこようと終わらないよ」 
 そう、さやの耳元で囁いた。

 そして、その2年後、俺達は結婚して、新しい関係性での終わりのない物語を紡いでいくことになった―。
                                               END
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