短い恋のお話

愛理

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「君に優しい光が降りそそぐようにと」

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    ぎゅっと俺は彼女の果恋(かれん)を抱きしめた。
 ここは俺が1人暮らしをしているマンション。
 俺達はお互いに社会人で、どちらも土曜日と日曜日が休みの会社に勤めているから、土曜日の今日、デートしてから、ここに果恋も一緒に帰ってきた。
 今日、果恋はここに泊まるから。
 そして、今、俺達はリビングルームの床に座っていて、今までDVDで映画を一緒に見ていた。
 でも、俺は映画を見終わってからすぐに果恋を抱きしめた。
 いつも抱きしめてるけど、何か今は絶対に抱きしめなくちゃいけないような気がして。
 映画を見ている時から思ってたけど、今日の果恋は何か元気がない気がしていて。
「果恋、何かあった?」
「何かって?」
「何か今日、沈んでない?」
「そう?」
「うん。どうした?」
 そう言うと果恋はじっと俺を見た。
「何で真司って、いつも私のこと、そんな風に解るの?」
 少し頬を膨らませながら果恋が言った。
「他の人には絶対に元気がないとか思われないのに」
「……ていうか他の人に解って、俺が解らない方が駄目だろ」
 俺は果恋を更に強く抱きしめながら言った。
「それに俺は果恋のことは全部知ってるつもりだから」
 俺がそう言うと果恋は真っ赤になった。
「何それ。何か恥ずかしい」
「別に恥ずかしくないだろ。それに俺、果恋のこと凄く愛してるから、いつも果恋には笑ってもらいたいって思ってるから、こんな風に果恋の変化には敏感なの」
「真司……」
「だってさ、愛してる恋人には、いつも笑ってて欲しいじゃん? だから、俺、果恋が悲しんでるなら、何とかしてあげたいっていつも思ってるし」
「真司……」
「いつも俺は果恋に優しい光が降りそそぎますようにって思ってるから」
 俺がそう言うと果恋は更に真っ赤になった。
「真司は相変わらず気障でロマンチストだよね。つきあい始めた大学生の時からずっと……もうあれから、4年も経つのに……」
 果恋はそう言いながらも、俺の背中に手を回して、
「でも、ありがとう。そう言ってくれて凄く嬉しい。だから、本当にこれからも私に真司の優しい愛を降りそそいでね。私にとっては真司の優しい愛が光だから……」
 そう言った。
 だから、俺は、
「ああ、もちろん、これからも眩しくなるくらいに俺の愛の光を果恋に降りそそぐから、むしろ覚悟しとけよな」
 そう言い果恋に長いキスをした。
 そして、キスが終わると果恋は本当に幸せそうな笑顔を俺に向けてくれた。
 ちなみにこの日、果恋が元気なかったのは昨日、仕事で久し振りに大きなミスをしたんだと果恋が眠りに落ちる寸前に教えてくれた。
 だから、俺は、大丈夫、そのミスは果恋の成長に繋がるよと言って、果恋をおもいっきり抱きしめて、一緒に夢の中へと堕ちていった。

 なあ、果恋、本当にこれからもずっと俺の愛を降りそそぐから、だから、いつまでも俺の傍で笑っていてくれよな。
                                                      END
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