「行方知れずの恋」

愛理

文字の大きさ
33 / 43

第33話「この恋の行方が……」

しおりを挟む
 私は最近、克己のマンションに週1で泊まりに行くようになっていた。
 そして、今日は金曜日で、また克己の家に泊まることになっていた。
 私は大学での今日の全ての授業が終わり、克己のマンションに着くまで凄く幸せな気持ちでいた。
 でも……。
 今日、克己のマンションに行くと克己のお父さんが克己の部屋のドアの前にいて、私は幸せな気持ちから一転して、もの凄く緊張感を持った。
「……君はまだ克己と続いていたのか」
 克己のお父さんは私を見るなり明らかに迷惑そうに言った。
「はい。でも、私も克己もどうしても一緒にいたいんです。だから、どうか許してくださいとは言いませんが私と克己のことはそっとしておいて頂けないでしょうか?」
 私は克己のお父さんの目を真っ直ぐに見てそう言った。
 前の私ならこんな風に言えなかったと思うけど私はもう本当に克己と生きていくって決めているから……。
 すると克己のお父さんは大きな溜息を1つ吐いた後、
「私だって自分の息子の恋を本当は応援したい。それに克己は学費を打ち切ったら、自分でちゃんと生活も立て直して、そこは親馬鹿だと言われるかもしれないが偉いと思っている。でも……克己の恋の相手が君だとどうしても私は別れた妻のことを思い出してしまうんだ……」
 私は克己のお父さんのその言葉に胸がズキンっと痛んだ。
 そりゃそうよね。この人からしたら私は自分の家庭を壊した当事者の娘だもんね……。
 それはどうしたって何があったってこれから先も変わることはない事実だから……。
 私はそう思って何も言えずにいるといきなり克己の部屋のドアが開いた。
「真弥、親父……」
 克己は驚いた顔をしてそう言った。
「何か俺の部屋のドア辺りが騒がしい気がしたから、様子見ようと思って、ドアを開けたんだけど、まさか2人がいるなんて。親父、また真弥に何か言ったんじゃないだろうな」
 克己はそう言った後、自分のお父さんを睨みつけた。
「……お前に話があったんだけど、今日は出直すよ」
 克己のお父さんは克己が言ったことには何も答えずにこの場を去った。
 その後すぐに私は克己にぐいっと腕を引っ張られ中に入れられた。
 そして、克己がドアを閉めて鍵をかけるとすぐに玄関で克己におもいっきり抱きしめられた。
「克己……」
「真弥、親父にまた何か言われたんだとしたら気にすることないから。俺はいつも言ってるけど真弥が傍にいてくれるだけでそれだけでいいから」
「克己……」
 ねぇ、克己……。
 私だって克己が傍にいてくれるだけでいいよ。
 それだけで私はいつも幸せでいられるよ。
 でもね、何だろう。
 お互いにこんなに愛し合ってるって解っているのに私は何だか今、不安になっているよ。
 私と克己のこの恋の行方は一体、最終的には何処に辿り着くのかなって。
 絶対に克己のこの手をもう離さないって思ってはいるのに。
 どうしてだろう。
 私はそう思いながら克己の背中に手を回して、その手におもいっきり力を込めた。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

俺の可愛い幼馴染

SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。 ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。 連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。 感想もご自由にどうぞ。 ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。

走馬灯に君はいない

優未
恋愛
リーンには前世の記憶がある。それは、愛を誓い合ったはずの恋人の真実を知り、命を落とすというもの。今世は1人で生きていくのもいいと思っていたところ、急に婚約話が浮上する。その相手は前世の恋人で―――。

これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー

小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。 でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。 もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……? 表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。 全年齢作品です。 ベリーズカフェ公開日 2022/09/21 アルファポリス公開日 2025/06/19 作品の無断転載はご遠慮ください。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

カメリア――彷徨う夫の恋心

来住野つかさ
恋愛
ロジャーとイリーナは和やかとはいえない雰囲気の中で話をしていた。結婚して子供もいる二人だが、学生時代にロジャーが恋をした『彼女』をいつまでも忘れていないことが、夫婦に亀裂を生んでいるのだ。その『彼女』はカメリア(椿)がよく似合う娘で、多くの男性の初恋の人だったが、なせが卒業式の後から行方不明になっているのだ。ロジャーにとっては不毛な会話が続くと思われたその時、イリーナが言った。「『彼女』が初恋だった人がまた一人いなくなった」と――。 ※この作品は他サイト様にも掲載しています。

処理中です...