「忘れられない人」

愛理

文字の大きさ
9 / 64

第9話「もう必要のないペアリング」

しおりを挟む
  それから暫くして、私は陸人のことを完全に忘れようと決心した。
  だから、私はずっとしまっていた陸人に貰ったペアリングを机の引き出しの中から箱ごと取りだした。
  そして、私はその箱を持って外に出かけた。
  何処かにこのペアリングを捨てようと思ったから。
  今日は日曜日で晴れていて、会社も休みだったから。
  私は自分の家の最寄りの駅から電車に乗って、綺麗な川がある場所へと行った。
  そして、私は橋の上から川を眺めた。
  この川は綺麗だけど、わりと流れが早くて、川の傍に行くのは危険だった。
  だから、私は川の上にある橋にいた。
  そして、私は持ってきた陸人に貰ったペアリングを箱ごと鞄から取り出し、更に箱からペアリングを取り、箱はまた鞄の中にしまった。
「この川に投げたら、もう2度と私のところには戻ってこないよね」
  私はペアリングをぎゅっと握りながらそう独りごとを言った。
  今、他に誰もここに人はいなかった。
  今は結構、朝の早い時間だからかもしれない。
  私はペアリングを少しだけ握りしめた後、少しだけそのペアリングを上にあげて眺めた。
  すると後ろから、
「亜美?」
  と忘れたくても忘れられない声がした。
  え?
  私が振り向くとそこには陸人が立っていた。
  え?
  何で?
  私は驚いて、思わずペアリングを道に落としてしまった。
  すると陸人のそばにペアリングが転がり、陸人はしゃがんで、そのペアリングを拾った。
「亜美、これ……」
  陸人はペアリングを見て驚いた顔をした。
「馬鹿みたいでしょ。ずっと持ってたの。でも、もうこのペアリング必要ないから、この川に捨てようと思ってたところなの」
「亜美……」
「だから、返してくれる?」
  私がそう言って、手を差し出すと陸人は何を思ったのか私のペアリングを今、陸人が履いているジーパンについているポケットの中に入れた。
「陸人?」
  私はそんな陸人を不思議に思って名前を呼んだ。
  するとその後、私は陸人にまた抱きしめられた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

側妃の愛

まるねこ
恋愛
ここは女神を信仰する国。極まれに女神が祝福を与え、癒しの力が使える者が現れるからだ。 王太子妃となる予定の令嬢は力が弱いが癒しの力が使えた。突然強い癒しの力を持つ女性が異世界より現れた。 力が強い女性は聖女と呼ばれ、王太子妃になり、彼女を支えるために令嬢は側妃となった。 Copyright©︎2025-まるねこ

処理中です...