「忘れられない人」

愛理

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第19話「溢れる涙」

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  信じたくないけど、陸人が私の弟の雅人を車で轢いたことは事実なので、私は京都から帰ってきた次の日は有給休暇を取っていたので、その次の日に会社に行った時に君山課長に事情を話して、今後は陸人が絡む仕事に私が関わらないようにしてもらった。
  君山課長もこの事実を知って、凄く驚いていた。
  また、陸人が私の弟の雅人を車で轢いたということは内密にするとも言ってくれた。

「これでもう本当に陸人とは終わり」
  君山課長に陸人のことを伝えた日の夜、私は自分の部屋のベッドに仰向けに寝て、そう言った。
  するとその後すぐに涙が出た。
  これで全てが解った。
  陸人が私に突然、連絡してこなくなった理由も。
  お母さんが私に雅人を車で轢いた人のことを知らない方がいいと言っていた理由も。
  そして、陸人と再会して、何処かいつも様子がおかしかった陸人の理由も。
  じゃあ、何で。
  陸人はモデルになんかなったの。
  そんな過去があるのに。
  それに陸人がモデルにならなければ私達はもう2度と会うことがなかったかもしれないのに。
  だけど―。
  そうは思っても陸人を憎みたくても憎めきれない私がいる。
  だって、私は本当に陸人のことが好きだったから。
  ずっと会えなくても、いつも何処かで陸人のことを想っていたくらいに。
  そして、陸人に再会して、陸人の態度に戸惑うことも多かったけど、やっぱり、いつも心の何処かでは陸人をまだ好きだということを実感していて。
  だから、本当は色々な葛藤を抱いていたとしても陸人にまた会えて、恋人同士という形じゃなくても一緒にいれて嬉しかった。
  でも―。
  こんなとんでもない事実を今更知ることになるのなら、もう2度と陸人に会いたくなんてなかった。
  陸人が雅人を車で轢いたことを知らない方が良かった。
  私はそう思っているうちにどんどん涙が溢れてきて、その涙は暫く止まらなかった。
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