「もう1度、澄んだ青空を見るために」

愛理

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第3章「闇の街」

第3話「少年の願い」

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  4人と少年は今、テントの中にいた。
  さっき心がせっかくだから、お茶をしましょうと言って、皆に菓子パンと紅茶を淹れてくれたので、それを食べたり飲んだりしながら、少年の話を聞くことにした。
  少年は自分にも配られたその菓子パンをあっという間に平らげてしまった。
  それを見た心が、
「よっぽどお腹が空いていたのですね。良かったら私の分もどうぞ」
  そう言って、菓子パンが乗っている自分の分の紙皿を少年の前に置いた。
「ありがとうございます。いいんですか?」
  少年は嬉しそうにそう言った。
「ええ、勿論」
  心はにこっとその少年に笑いかけて言った。
「もっと欲しかったら俺の分もやるから、とりあえずお前の名前を聞かせてくれない?
  功が言った。
「あ、はい。すいません、いきなり声をかけて御馳走にもなったうえに名乗りもせずに。僕の名前は優(ゆう)といいます。あなた達に声をかけさせていただいたのは、あなた達もさっきいた僕が住んでいる街のことでなんです」
  優は街のことを思ってか少し辛そうな表情でそう話した。
「優には悪いけどあの街はかなり異常だよな」
 勇気が言った。
「はい。でも、昔はとても素敵な街だったんです。だけど次第に街に住んでいる人の様子がおかしくなっていって」
  優はやはり辛そうな表情でそう言った。
「で、俺達にその話をしようと思ったのは何で?」
  功が言った。
「はい。僕は本当に久し振りに正常な心を持っている人間に出会いました。そして、そんなあなた達にぜひ、お力を貸していただきたくて」
  優は今度は凛とした表情で言った。
「もしかして優さんはあの街を元に戻す方法を知っているのですか?」
  守が言った。
「はい。僕が住んでいる街……正式な名前はサンというのですが、そのサンの街に住んでいる人の様子がおかしくなったのは黒い雨が降ってからなんです」
「黒い雨?」
  勇気は自分が住んでいる場所もおかしくなる前に天候が変だったことを思い出して訝しそうにそう聞いた。
「はい。ある日、突然、黒い雨が大量にサンの街に降ったんです。そして、その次から徐々に街の人の様子がおかしくなりました。今まで優しかった人が凶暴になったり、皆に気前よく物を分け与えていた人がいきなり強欲になったり……多分、僕以外にはもうまともな人はあの街にはいません」
「でも、何でお前だけがまともなわけ?」
  功が言った。
「それはもしかするとこの石のおかげかもしれません」
  優はそう言い自分が履いているズボンのポケットから小さな袋を出して、そこから小さな石を取り出した。
  その石は白くて小さいけれどもの凄い輝きを放っていた。
「その石からは強烈な神聖なオーラを感じますね。確かにその石のおかげで優さんは黒い雨を浴びても平気だったのかもしれません」
  守が言った。
「でも、その石は一体どうされたんですか?」
  心が言った。
  すると優は今までで一番真剣な表情をして、
「実は僕があなた達に力を貸していただきたいというのはこの石を見つけた場所まで一緒に行っていただきたいということなんです」
  そう言った。
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