「もう1度、澄んだ青空を見るために」

愛理

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第1章「異変」

第1話「ずっと暗い空」

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 午後4時。
 6月だというのに今日は夜みたいに暗くなってきた。
 天気予報では雨が降るなんて一切言ってなかったのに雨でも降るんだろうか。
 勇気はそんなことを思いながら通っている高校のグランドで空を見上げていた。
 勇気は“情愛学園”という私立高校に通う高校2年生。
 先月の5月で17歳になったばかりだった。
 勇気がこの高校を選んだのは勇気が大好きなサッカーのクラブが強いことで有名だったからだ。
 でも、学力も決して低いわけではなく、勇気はこの高校に入るために勉強もかなり頑張った。
 そして、勇気は大好きなサッカー部に入り、1年生の時にレギュラーまで勝ち取り、今は3年生の先輩はそれで引退となる試合に向けての練習をしていた。
 だけど、突然、真っ暗になり、勇気を含めた今、サッカーの練習をグランドでしていた全員が活動を辞め、空を見上げていた。
 ライトアップしてもらったら、練習続行は可能だろうけど。
 勇気はそんなことを思う。
 この情愛学園は私立ということと、サッカー部が強いということもあり、サッカー部に対してはかなり優遇してくれていた。
 でも、大雨が降ったら無理だよな。
 勇気がそんなことも思った時、いきなり大雨が降りだした。
 そして、今日のサッカー部の活動は強制終了となった。

「ったく、せっかく練習いっぱいしようと思って、張りきってたのに」
 勇気はそう言った後、ハンバーガーにかぶりついた。
 勇気は今、中学生の時からずっとクラスと部活が一緒で高校も一緒となった親友の実とファーストフード店にいた。
 そこで高校生にも優しい値段のハンバーガーセットを2人とも頼んだ。
「本当だな」
 実も残念そうに言った。
「ほんとだよ」
 勇気がそう言い実の方を見た時だった。
 さっきまでは全然、そんなことを思わなかったのに何故か今、勇気は実に違和感を覚えた。
「どうした?」
 そんな勇気に気づいたのか実は不思議そうに言った。
「いや、別に」
 何だろう。一瞬、実が何か別人に見えたような……。
 まさかな、気のせいだよな。
 勇気はそう思ないながら、やっぱり、何処か実に違和感を覚えながらも実と一緒にハンバーガーセットを食べ続けた。

 勇気は家に帰ってすぐに自分の部屋に行き、ベッドに横になった。
 勇気と実がファーストフード店を出る頃にはすっかり雨はやんでいた。
 だけど、空は相変わらず真っ暗なままだった。
 そして、その空は次の日の朝になっても真っ暗なままだった。
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