「もう１度、澄んだ青空を見るために」

第１章「異変」

第６話「本当に近くにいた神天攻」

    勇気と心はとりあえず心の家から出て、心がこっちのような気がしますと言ったので、勇気と心が向いていた方から右にずっと歩いてみていた。
　そして、勇気は歩いている時に気づいた。
　いつもなら、この辺りは都会にしたら田舎の方とはいえ、こんな時間なら、まばらにだけど人は歩いているのに今は全然、歩いていないことに。
　それどころか何だか辺りが静まり返っている気さえすると勇気は思った。
　何か不気味だよな。
　勇気はそう思いながらも、口には一言も出さずに心と一緒に歩いた。
　すると心が突然、ある家の前で立ち止まった。
　その家は勇気から見ると、ごく普通の一戸建ての家だった。
「どうした？　心」
「この家から、私がさっき占いをした時に感じた気と同じ気を感じます」
「え？」
「神天攻さんがここにいるかもしれません」
　そう言い心は迷わずにチャイムを鳴らした。
　その心の行動を見て、勇気は心は一見、可愛らしくて、おとなしそうに見えるけど実際はかなり行動力のある女の子なのだろうなと思った。
「はい」
　少しして、インターホン越しに声が聞こえた。
　若い男の子の声だった。
「私は神木心といいます。神天攻という方を探しているのですが」
　心がそう言うと凄い勢いでガチャンとインターホンの受話器を置く音がした。
「何かもしかして、変な奴らだと思われたんじゃ……」
　勇気がそう言った後すぐにバタンッともの凄い勢いでドアが開いた。
　そして、勇気と心と同じくらいの年齢に見える男の子が出て来た。
　その男の子は慌てて勇気と心の前に立ち、
「お前らは普通なんだな？　俺が神天攻だ。お前ら、今のこの異常事態のことを何か知ってるのか？　とりあえず中に入れよ」
　そう言った。
　そんな神天攻の言葉を聞いて、勇気はもう心が言っていたことは全て本当なのだと認めるしかないと思った。
　そして、勇気と心は神天攻の言うとおり神天攻がいた家の中に入っていった。