初めての本気

愛理

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「初めての本気 リターンズ」

第12話

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 佐々野はすっかり夏期講習の休憩時間の時などに俺と理菜のところに来て、俺に対しても、まるで、前からお友達でしたみたいに気軽に何でも話してくるようになっていた。
 理菜も佐々野には心を許してるらしく、学校の男子にさえあまり話したりしないのに佐々野にはわりと自分から色々話していた。
 理菜が楽しいならいいことだとは思う。
 それに俺が初日に佐々野が何か企んでるような気がしたのも別に違うのなら、トラブルが起きないのが一番なので、それがいいし。
 だけど!
 やっぱり、彼氏としてはあまりこの状況は嬉しくないわけで。
 だって、友達とはいえ男子だし、それに理菜も懐いてるし。
 ああ、この前も思ったけどこれが嫉妬ってやつなんだよな。
 今まで俺、理菜以外の彼女だった子にこんな気持ち持ったことなかったからな。
 色々と直接、彼女だった子に俺が他の女子とあまり話さないでとか言われることはあったけど。
 正直、その時は面倒くせえなと思ってたし。
 だけど、今になって、彼女だった子達の気持ちがよく解る気がする。
 そりゃ自分の彼氏や彼女が他の男子や女子と仲良くしてたら、取られるんじゃないかとか不安にもなるよな。
 今は夏期講習の前半と後半の間の休憩時間で、俺は目の前で楽しそうに会話している、理菜と佐々野を見ながらそう思っていた。

 まあ、でも夏期講習は2週間で、もうすでに5日が過ぎたから、理菜と佐々野が会話している光景を見るのも後少しだから、いいんだけど。
 それに夏期講習以外ではそんな光景を見ることもないし。
 俺はそう思いなおしたけど、やっぱり、理菜を独占できると嬉しいわけで、授業が終わり、これからは理菜と2人でいれると思い、はりきって、隣に座っている理菜にさあ、帰ろうかと声をかけた。
 理菜はうんと返事をしたけど、その後、小声で、でも、やっぱり、トイレに行ってきていい? すぐ帰るからと言い教室を出ていったので、俺は理菜が帰ってくるまで待つことにした。
 だけど、10分経っても理菜は教室に戻ってこないで、代わりに何故かもう帰ったはずの佐々野が教室に戻って来た。
「長原くん」
「何だよ」
「有川さん、待ってるんだよね?」
「ああ、そうだけど」
「俺、忘れ物して戻ってきたんだけど、偶然、さっき、有川さんに会って、何か家から急用の連絡が来たから、長原くんにごめんなさい、先に帰るって伝えてほしいって言われたんだ」
「え? マジか」
 家からの急用って何だろう。
 理菜が先に帰るんだから、よっぽどのことなのかな。
「とりあえず俺も帰るわ。伝言ありがとうな」
 俺はそう言い教室を出て、家に帰ることにした。

 だけど、その日の夜になっても、理菜からの連絡がなく、段々俺は不安になってきた。
 そして、そんな不安を抱えていると、山内からLINEで、花蓮から連絡があったんだけど、有川がまだ家に帰ってないみたいなんだけど、長原何か知らない?
 とメッセージが来て、俺の不安はますます大きなものへと変わった。
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