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第1話
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自分ではよく解らないけど俺は「女好き」する顔らしく、加えて長身のせいもあってか幼稚園の頃から女の子の方からいつも寄ってきてくれた。
だから、俺はわりと小さな頃から「自分の彼女」というものに不自由することはなかった。
だけど、その代わりに相手に恋焦がれるとかそんな気持ちも持ったことがなく……。
だから、何となく物足りないとも思っていた。
だけど、俺はある相手に出会って初めて女の子に対して何とも言えない気持ちになった。
それは高校2年生のゴールデンウィークの連休明けのことだった。
腹が減ったので食堂の購買にパンを買いに行って教室に戻ろうとしていた時、
「きゃあっ! 危ないっ!」
と後ろから可愛いけど大きな声が聴こえてきた。
俺が“え?”と思いながら振り返るとおもいっきり誰かとぶつかった。
そして、そのぶつかった相手は両手一杯に持っていたらしい大量の書類をバサバサと廊下に落とした。
「あー、もう、嫌だー。あ、それよりすいませんでした!」
そう言ったのは小柄な女の子でその子は深々と俺に頭を下げた。
「別にいいって。それより早く落とした大量の書類を拾わないと駄目なんじゃないの?」
「あ……」
女の子はそうだったと慌ててしゃがんで書類を拾い出す。
この女の子は小柄で顔も可愛くて、動作がちまちまとしていて何だかリスのようで……。
何故だかこの子を見ていると俺の心臓の動きが速くなっているような気がした。
あれ? 何だろ? この感じ。
そう思いながらも女の子が落とした書類はまだかなり散らばっていたので俺も一緒に拾うことにした。
「これで全部だよな?」
「はい! 凄く助かりました! ありがとうございます!」
俺が最後の分の書類を渡すと女の子は嬉しそうにそう言った。
そして、じゃあと言って、俺の所から去ろうとしたけど、
「待って。そんなに大量の書類何処に持って行くわけ? 君、小柄だからそんなに大量の書類持ってたら前見えないだろ? 俺が持っていってやるよ」
俺はそう言って女の子から書類を全部受け取った。
「職員室まで行くんですけど、いいんですか? 本当にすいません」
女の子は本当に申し訳なさそうにそう言った。
そして、俺達は職員室に着いた。
「菱川先生、書類持ってきました!」
女の子が言う。
「あ、有川、ありがとう。あれ? 君は2組の長原じゃないか。有川の代わりに持ってきてくれたのか」
菱川先生は5組の担任で数学を教えていて、俺は2組だけど数学はこの先生に教えてもらっていた。
ちなみに俺達の学年は8組まである。
そして、菱川先生の今の言葉でこの女の子は有川っていうんだと思った。
さっきは名札を見る余裕はなかったから。
そして、俺は名札も見て、この女の子は5組で菱川先生が担任なんだと解った。
「先生、こんな小柄な子にこんなに沢山の書類を持たせたら危ないじゃないですか」
「へー、意外とお前、女の子に優しいんだな」
俺が言ったことに対してどういう意味だというような感じの言葉が菱川先生から返ってきた。
「どういう意味ですか?」
「君は相当モテるらしいから、君の元彼女だとかいう子達とかから色々聞いたりするんだけど、皆が君が誰のことも本気にならないって嘆いていたからさ」
「誰だよそんなこと言ってる奴……」
「君の元彼女とかいう子、全員」
俺達がそんな会話をしている中、俺がちらっと有川さんを見ると何だかさっきまでとは様子が違い、何だか俺のことを戸惑いの表情で見ている感じがした。
何だろう? 何か俺、変なこと言ったっけ?
俺がそう思っていると、
「長原くんなんだ」
有川さんがいきなりそう言った。
「え? そうだけど」
だから、俺はそう答えた。
すると、
「ここまで付き合ってくれて、本当にありがとうございました! じゃあ、私はこれで失礼します!」
そう言い有川さんは何だか慌てたように職員室から出て行った。
え? 何? 俺、本当に何か変なこと言った?
俺は有川さんが職員室から出て行ってからそう思って暫く呆然とした。
そして、俺はその日から何故だか有川さんのことが頭から離れなくなった。
だから、俺はわりと小さな頃から「自分の彼女」というものに不自由することはなかった。
だけど、その代わりに相手に恋焦がれるとかそんな気持ちも持ったことがなく……。
だから、何となく物足りないとも思っていた。
だけど、俺はある相手に出会って初めて女の子に対して何とも言えない気持ちになった。
それは高校2年生のゴールデンウィークの連休明けのことだった。
腹が減ったので食堂の購買にパンを買いに行って教室に戻ろうとしていた時、
「きゃあっ! 危ないっ!」
と後ろから可愛いけど大きな声が聴こえてきた。
俺が“え?”と思いながら振り返るとおもいっきり誰かとぶつかった。
そして、そのぶつかった相手は両手一杯に持っていたらしい大量の書類をバサバサと廊下に落とした。
「あー、もう、嫌だー。あ、それよりすいませんでした!」
そう言ったのは小柄な女の子でその子は深々と俺に頭を下げた。
「別にいいって。それより早く落とした大量の書類を拾わないと駄目なんじゃないの?」
「あ……」
女の子はそうだったと慌ててしゃがんで書類を拾い出す。
この女の子は小柄で顔も可愛くて、動作がちまちまとしていて何だかリスのようで……。
何故だかこの子を見ていると俺の心臓の動きが速くなっているような気がした。
あれ? 何だろ? この感じ。
そう思いながらも女の子が落とした書類はまだかなり散らばっていたので俺も一緒に拾うことにした。
「これで全部だよな?」
「はい! 凄く助かりました! ありがとうございます!」
俺が最後の分の書類を渡すと女の子は嬉しそうにそう言った。
そして、じゃあと言って、俺の所から去ろうとしたけど、
「待って。そんなに大量の書類何処に持って行くわけ? 君、小柄だからそんなに大量の書類持ってたら前見えないだろ? 俺が持っていってやるよ」
俺はそう言って女の子から書類を全部受け取った。
「職員室まで行くんですけど、いいんですか? 本当にすいません」
女の子は本当に申し訳なさそうにそう言った。
そして、俺達は職員室に着いた。
「菱川先生、書類持ってきました!」
女の子が言う。
「あ、有川、ありがとう。あれ? 君は2組の長原じゃないか。有川の代わりに持ってきてくれたのか」
菱川先生は5組の担任で数学を教えていて、俺は2組だけど数学はこの先生に教えてもらっていた。
ちなみに俺達の学年は8組まである。
そして、菱川先生の今の言葉でこの女の子は有川っていうんだと思った。
さっきは名札を見る余裕はなかったから。
そして、俺は名札も見て、この女の子は5組で菱川先生が担任なんだと解った。
「先生、こんな小柄な子にこんなに沢山の書類を持たせたら危ないじゃないですか」
「へー、意外とお前、女の子に優しいんだな」
俺が言ったことに対してどういう意味だというような感じの言葉が菱川先生から返ってきた。
「どういう意味ですか?」
「君は相当モテるらしいから、君の元彼女だとかいう子達とかから色々聞いたりするんだけど、皆が君が誰のことも本気にならないって嘆いていたからさ」
「誰だよそんなこと言ってる奴……」
「君の元彼女とかいう子、全員」
俺達がそんな会話をしている中、俺がちらっと有川さんを見ると何だかさっきまでとは様子が違い、何だか俺のことを戸惑いの表情で見ている感じがした。
何だろう? 何か俺、変なこと言ったっけ?
俺がそう思っていると、
「長原くんなんだ」
有川さんがいきなりそう言った。
「え? そうだけど」
だから、俺はそう答えた。
すると、
「ここまで付き合ってくれて、本当にありがとうございました! じゃあ、私はこれで失礼します!」
そう言い有川さんは何だか慌てたように職員室から出て行った。
え? 何? 俺、本当に何か変なこと言った?
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