初めての本気

第2話

　有川さんのことが気になるようになった俺は有川さんの情報をさり気なく同級生達から聞き出すことにした。
　意外なことに俺がよくつるんでいる山内という奴が有川さんについてよく知っていた。
　俺と一緒に昼休みに食堂で飯を食ってる時に、
「あー、有川？　有川理菜っていうんだけど知る人ぞ知る隠れファンの多い子で、ほわっとした雰囲気で天燃。でも、本当は優等生で勉強も成績はトップクラスに近いらしいしスポーツも万能っていう……まあ、凄くギャップのある子だよ」
　山内はそう言った後、ラーメンをズズッとすすった。
「優等生でスポーツ万能……」
　とてもそうは見えなかったなと思った。
「何？　長原、もしかして有川のこと好きになった？　まあ、お前は相当モテるけど有川を落とすのは無理なんじゃないかな」
「何で！」
　俺は思わず大きな声でそう言ってしまった。
　だから、山内が少し驚いた表情をした。
　でも、すぐに、にやりと笑って、
「へーっ。マジかあ。お前がねぇ」
　と言った後、
「まあ、お前がそんなに本気なら協力してやらないこともないけどさ。でも、多分、やっぱり有川と恋人同士になるのは難しいとは思うけど。何てたって有川には有川を守ってる姉さん的な存在が２人もいるからな」
「姉さん的存在？」
「そう。有川とは幼馴染でさ、有川って優等生ではあるけど、泣き虫だし、人に騙されやすかったりもするから、いつもその２人が守ってるんだよ」
「へー」
　俺はこの時、山内が言う有川の姉さん的存在の大きさの意味がまだ具体的には解らなかった。
　でも、わりとすぐ後で山内の言ったことを理解することになった。