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第5話
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でも、結局、有川さんのことは進展のないまま、1週間が過ぎた。
その間に俺は違うクラスの女の子から告白されたりした。
だけど、断った。
「長原、3組の川崎から告白されたのに付き合えないって断ったんだって?」
山内が朝、教室に入って俺の所へ直行してきて言った。
「ん? ああ」
「へー。やっぱり有川さんに本気なんだ。だって、川崎っていったら校内全体で5位内には入る美少女って言われてるくらい綺麗な子なのに」
「……校内5位だろうが、世界1位だろうが今の俺にはそんなことはどうでもいい」
「へー、凄い。まあ、お前は前からそういうのはどうでも良くて、自分の範囲内でヒットなら付き合っても良かった感じだけどさ。でも、どう考えても川崎は今までのお前なら付き合っていた部類だと思うけど、でも、付き合わないってことは、やっぱりお前は相当、有川さんに本気ってわけだ」
山内はそう言った後、そうかあ、お前もやっと本気で人を好きになれるようになったんだななんてぶつぶつ言いながら1人でうんうんと何処か偉そうに頷いていた。
「まあ、有川さんに本気には違いないけど、あれから全然、何にも前に進まないんだよな。いっつもあの2人と一緒だし。近寄ろうとしても2人に凄い睨まれてさ」
「まあ、あの2人はわりと女子からも一目置かれてるっていうか……別に嫌われてるんじゃなくて、何だろう。特別な感じに思われてるというか…」
「どんな存在だよ」
他の女子でも中々お近付きになれないってことなのか?
だとしたら、本当にどんな存在で、しかも、その2人に守られている有川さんは更にどんな存在なんだよ。
俺はそう思いながら、心の中で大きな溜息を吐いた。
ああ、やっぱり、俺の初恋? は今までの俺のしてきたことが跳ね返ってきて、うまくはいかないんだろうか。
俺は何となく柄にもなくセンチメンタルにそんなことを思った。
だけど、そんな俺にチャンス(?)が訪れた。
その日の放課後に偶然、帰り道の途中で有川さんに会ったのだ。
有川さんは小さな女の子とその女の子のママらしき女性と3人でいて、有川さんは傍にある大きな木に向かってジャンプしていた。
俺が有川さんがジャンプしている木を見るとその木の枝に赤い風船が引っ掛かっていた。
成る程、あの風船を小さい子が手放してしまって木の枝に引っ掛かって、それを有川さんがとってあげようとしてるのか。俺はすぐにそう思った。
女の子のママらしき女性はもういいですよ、すいません、と本当に申し訳なさそうに言っている。
俺は3人の前に出て行った。
「長原くん」
有川さんは驚いた顔で俺を見た。
「俺が取るよ」
そう言い俺はジャンプして木の枝に引っ掛かっていた赤い風船を取った。
そして、女の子に渡した。
「はい、もう放しちゃ駄目だよ」
「うん! ありがとう! お姉ちゃんもありがとう!」
女の子は凄く嬉しそうな顔でそう言った。そして、その後は
「本当にありがとうございました」
女の子のママらしき女性(いや、どう見てもママだけど)がそう言い女の子と手を繋いでお辞儀を何度もしながら何処かへ去って行った。
そして、俺と有川さんは2人きりになった。
「あの、長原くん、ありがとう。助かったわ」
有川さんは少しおどおどした感じで言った。
俺はそんな有川さんを見て、まいったな。何でこんなに怖がられてるのかな。そう思った。
「別にいいよ。たいしたことしてないし。たまたま背が高かったから取れたんだしさ。でも、有川さんの役に立てたのは嬉しいかな」
俺がそう言うと有川さんは少し赤くなった。
あれ? 何か今までと反応が違うような……。
怖がられてるだけかと思ってたのに。
俺がそう思っていると、
「嫌だ。からかわないで。長原くんって凄くモテるんでしょ? だから、女の子の扱い……」
「俺さ本気で恋したこと今までなかったんだ」
俺は有川さんが言い終わる前にそう言った。
有川さんは驚いたような、でも、何処か悲しそうな顔で俺を見た。
「彼女は確かにいたし、この前、有川さんのこと守ってるあの女の子達が言っていたことも否定はできないけど、でも、有川さんのこと知って、俺、有川さんには今までにない気持ちを感じたんだ。今までが今までだから信じてもらえないかもしれないけど」
「―長原くん」
「……俺、有川さんのこと好きです。もし良かったら、俺にこれからもずっと有川さんに本気の恋をさせてもらえませんか?」
俺は今日、告白する気なんて全く無かったのに何故だか自然と告白してしまっていた。
その間に俺は違うクラスの女の子から告白されたりした。
だけど、断った。
「長原、3組の川崎から告白されたのに付き合えないって断ったんだって?」
山内が朝、教室に入って俺の所へ直行してきて言った。
「ん? ああ」
「へー。やっぱり有川さんに本気なんだ。だって、川崎っていったら校内全体で5位内には入る美少女って言われてるくらい綺麗な子なのに」
「……校内5位だろうが、世界1位だろうが今の俺にはそんなことはどうでもいい」
「へー、凄い。まあ、お前は前からそういうのはどうでも良くて、自分の範囲内でヒットなら付き合っても良かった感じだけどさ。でも、どう考えても川崎は今までのお前なら付き合っていた部類だと思うけど、でも、付き合わないってことは、やっぱりお前は相当、有川さんに本気ってわけだ」
山内はそう言った後、そうかあ、お前もやっと本気で人を好きになれるようになったんだななんてぶつぶつ言いながら1人でうんうんと何処か偉そうに頷いていた。
「まあ、有川さんに本気には違いないけど、あれから全然、何にも前に進まないんだよな。いっつもあの2人と一緒だし。近寄ろうとしても2人に凄い睨まれてさ」
「まあ、あの2人はわりと女子からも一目置かれてるっていうか……別に嫌われてるんじゃなくて、何だろう。特別な感じに思われてるというか…」
「どんな存在だよ」
他の女子でも中々お近付きになれないってことなのか?
だとしたら、本当にどんな存在で、しかも、その2人に守られている有川さんは更にどんな存在なんだよ。
俺はそう思いながら、心の中で大きな溜息を吐いた。
ああ、やっぱり、俺の初恋? は今までの俺のしてきたことが跳ね返ってきて、うまくはいかないんだろうか。
俺は何となく柄にもなくセンチメンタルにそんなことを思った。
だけど、そんな俺にチャンス(?)が訪れた。
その日の放課後に偶然、帰り道の途中で有川さんに会ったのだ。
有川さんは小さな女の子とその女の子のママらしき女性と3人でいて、有川さんは傍にある大きな木に向かってジャンプしていた。
俺が有川さんがジャンプしている木を見るとその木の枝に赤い風船が引っ掛かっていた。
成る程、あの風船を小さい子が手放してしまって木の枝に引っ掛かって、それを有川さんがとってあげようとしてるのか。俺はすぐにそう思った。
女の子のママらしき女性はもういいですよ、すいません、と本当に申し訳なさそうに言っている。
俺は3人の前に出て行った。
「長原くん」
有川さんは驚いた顔で俺を見た。
「俺が取るよ」
そう言い俺はジャンプして木の枝に引っ掛かっていた赤い風船を取った。
そして、女の子に渡した。
「はい、もう放しちゃ駄目だよ」
「うん! ありがとう! お姉ちゃんもありがとう!」
女の子は凄く嬉しそうな顔でそう言った。そして、その後は
「本当にありがとうございました」
女の子のママらしき女性(いや、どう見てもママだけど)がそう言い女の子と手を繋いでお辞儀を何度もしながら何処かへ去って行った。
そして、俺と有川さんは2人きりになった。
「あの、長原くん、ありがとう。助かったわ」
有川さんは少しおどおどした感じで言った。
俺はそんな有川さんを見て、まいったな。何でこんなに怖がられてるのかな。そう思った。
「別にいいよ。たいしたことしてないし。たまたま背が高かったから取れたんだしさ。でも、有川さんの役に立てたのは嬉しいかな」
俺がそう言うと有川さんは少し赤くなった。
あれ? 何か今までと反応が違うような……。
怖がられてるだけかと思ってたのに。
俺がそう思っていると、
「嫌だ。からかわないで。長原くんって凄くモテるんでしょ? だから、女の子の扱い……」
「俺さ本気で恋したこと今までなかったんだ」
俺は有川さんが言い終わる前にそう言った。
有川さんは驚いたような、でも、何処か悲しそうな顔で俺を見た。
「彼女は確かにいたし、この前、有川さんのこと守ってるあの女の子達が言っていたことも否定はできないけど、でも、有川さんのこと知って、俺、有川さんには今までにない気持ちを感じたんだ。今までが今までだから信じてもらえないかもしれないけど」
「―長原くん」
「……俺、有川さんのこと好きです。もし良かったら、俺にこれからもずっと有川さんに本気の恋をさせてもらえませんか?」
俺は今日、告白する気なんて全く無かったのに何故だか自然と告白してしまっていた。
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