白銀皇女の覇道譚 ~侵略国家の皇女は覇道を歩む~

YUU

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第三章 婚約破棄騒動編

45 ノワール

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 そんな茶番劇から時は遡る事、暫く。

 その日、アルメリアはアイシャの工房に訪れていた。そんな彼女を出迎えるのはこの工房の主であるアイシャだった。

「アルメリア様、お待ちしておりました」

 そして、アイシャはアルメリア達を自らの工房に招き入れる。
 今日の彼女達の目的、それは遂に出来上がったアルメリアの為の魔獣の受け渡しだった。

「アイシャ、魔獣の準備は済んでいるのかしら?」
「ええ、勿論です。既にアルメリア様にお渡しする準備も完了しております」
「あなたの作った魔獣には期待してもよろいしのかしら」
「はい、今回の魔獣は間違いなく、私の最高傑作の一つです。是非ともご期待ください」

 そこには自信に満ち溢れたアイシャの顔があった。

「ふふっ、それは楽しみですわ」
「では、ご案内いたします」

 そして、アルメリア達はこの工房を見て回りながら、奥へと進んでいく。

 それから少しすると、彼女達は工房の奥に辿り着いた。そこにあったのはあの時に見た魔獣が入っていたものと大きな装置だった。
 そして、アイシャはその装置に手を向けた。

「では、ご覧ください。こちらがアルメリア様の為の魔獣です」
「これが、わたくしの為の魔獣ですのね」

 アルメリアはそう言いながら、アイシャが指し示した装置へと視線を向ける。
 その装置の中は液体で満たされており、その中で一匹の魔獣が眠っていた。これが、アルメリアの為の魔獣なのだろう。
 その時、魔獣を見たアルメリアはふと既視感を抱いた。

「……あら、この魔獣、あの時に戦った魔獣とそっくりですわね」

 そう、そこにいた魔獣は少し前にこの工房で戦ったあの魔獣に酷似していたのだ。アイシャも我が意を得たりと力強く頷く。

「ええ、その通りです。この魔獣はあの時の魔獣を元にして作りました」

 そして、アイシャがそう言いながら装置を操作すると中にある液体が排出された。
 その直後、装置の扉が開くとその中にいた魔獣が目を覚ました。
 その魔獣はアルメリアの元まで歩みを進めると、そのまま彼女に服従を誓うかの様に跪いた。

「ふふっ、可愛らしい仔犬ですわね。気に入りましたわ」

 その様子を見たアルメリアはその魔獣の頭を優しく撫でる。

「この子はわたくしの為の魔獣。折角ですし、この子の名前を考えましょうか。
 …………決めましたわ。
 この子の名前はノワールにしましょう」

 そして、ノワールと名付けられたその魔獣はその名前を受け入れたかの様に一度だけ『オン』と鳴いた。

「では、早速このノワールをアルメリアの眷属にしましょう。アルメリア様、ノワールに私にした時と同じ様に魔力を流してください」
「分かりましたわ」

 そして、アイシャの言葉に従い、アルメリアはノワールに魔力を流した。
 すると、徐々に自分とノワールが繋がった様な感覚を覚えた。それから、少しするとその繋がりが強固になる感覚へと変わった。
 これでアルメリアとノワールの間で確かな繋がりが出来たのだろう。

「おめでとうございます。これで、ノワールは名実共にアルメリア様の魔獣となりました」
「この子がわたくしの初めての魔獣ですのね……」

 そして、アルメリアはその事を実感すべく、ノワールの体を再びそっと撫でた。

「では、早速ノワールの能力のお披露目を始めましょう。アルメリア様、ノワールに隠れるようにお命じ下さい」
「分かりましたわ。ノワール、隠れなさい」

 アルメリアがそう命じた直後、ノワールは駆け出しそのまま彼女の影がある所へと飛び込んだ。
 その直後の事、ノワールはまるで泥の中にでも潜るようにして彼女の影の中へと消えていったのだ。その様子に流石のアルメリアも驚きを隠せない。

「あら、ノワールが消えてしまいましたわよ」
「では、続けてノワールに現れる様に命じて下さい」
「分かりましたわ。……ノワール、来なさい」

 アルメリアがそう告げると、ノワールは彼女の影から勢い良く飛び出した。それら一連の様子を見たアルメリアはノワールの能力を理解する。

「あら、これは面白い能力ですわね。ノワールはわたくしの影に隠れる事が出来ますのね」
「その通りです。お気に召しましたでしょうか?」
「ええ、とても気に入りましたわ」

 ノワールのこの能力は非常に便利だ。
 この能力があればノワールを普段から連れ歩く事が出来るだろう。
 そして、魔獣を連れて行く事が出来ない様な場所であっても、魔獣を連れて行く事が出来る様にもなる。
 また、アイシャ曰く、ノワールの戦闘能力もかなり高く仕上がっているとの事だ。
 護衛としてこれ程までに優秀なものはそうは無いだろう。しかも、いざという時には奇襲にも使えるかもしれない。
 ノワールが再び自分の影に隠れる様子を見ながら、アルメリアはその能力に満足気な笑みを浮かべるのだった。
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