俺の彼女は14歳のホームレスだった

しげしげ

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俺の彼女は14歳のホームレスだった

1話〜9話[まとめ読み]

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電話の音が聞こえる。俺は、岩倉さとし。高校2年生。
昨日からとても不思議なことが起きている。おっと電話だ!でなくては…電話の相手は…「ん?非通知?」「一体誰からだ?」あの時電話にでなければ、この後の出来事は起きなかっただろう。きっと…。
俺は電話にでた。
「はい。もしもし。岩倉ですが…」
「・・・」
相手は無言だった。何も話す気配がしなかった。そして電話はきれた。相手の電話からは、雨が降っている音がした。そして時計を見た。
「やべ!遅刻だ!」
下の部屋から母親の声が聞こえる。
「さとしー早くしないと遅刻よ!」
「わかってるよ」            
家から出ると急いで駅へと向かった。家から駅まで10分ほどだ。さとしが走ってると、もう1人彼女が走ってきた。彼女はそのままオレオ抜いていった。「あいつ、速いな」と笑いながら、追いかけた。すると、彼女は1枚の紙を落としていった。俺はそれを拾った。彼女はすでに駅に着いていた。彼女は電車の座席に座っていた。彼女は何かを、探しているみたいだ。「きっとこの紙だ!」と俺は思った。
彼女は自分が乗る電車と逆方向の電車に乗っていた。乗った瞬間電車は出発してしまった。
「あの…この紙落としましたよ」と俺は渡した。
すると彼女は、「ありがとうございます。助かりました」と言って頭をぺこりと下げた。彼女は走ったからだろうか、汗をかいている。汗をかいている彼女はかわいかった。俺は少し離れた席に座った。「高校生か?」と思った。それにしては、見たことがなかった。彼女はさっき自分が渡した紙を大事に持っていた。彼女のことを気にしすぎて、自分が逆方向に来ていることを忘れていた。彼女は「並木裏」という小さな駅で降りた。体が勝手に動いて、降りてしっまた。彼女は気にしてない。駅を出て、裏道へ入っていった。裏道の奥にある、1本の木の前で、立ち止まり座った。日の光が彼女を照らしていた。俺は声をかける。
「いつもここに来てるの?」
「うん。さっきのお兄さん」
「何年生?」
「中学2年生」
「え?中学生!?」「君、中学生なの?」
「うん」
「学校は休みなの?」
「休んでるの」と彼女は返した。
俺は…聞いてみた。
「どうして、休んでるの?」
すると、彼女はこう答えてくれた。
どうやら、彼女には休む理由として深いわけがあるみたいだ。彼女は数年前、両親を事故で亡くしたという。それから、実の兄弟である大学生のお兄さんと一緒に暮らしていたそうだが、とある日お兄さんと喧嘩をしてしまい、彼女の方から家出をしたという。それから彼女には家が無かったため、わけを話して、しばらくは学校の友達の家などに泊まっていたらしい。それでも、だんだんと泊まれる所も少なくなり、ついには学校にも行けなくなってしまった。つまり今、彼女は外で寝泊まりしているということだった。彼女はホームレスだったのだ。
彼女は運がついているのか、近くには無料で利用ができる温泉施設があった。お風呂などはそこを利用しているという。
俺は彼女の名前を聞いた。
すると、彼女は自分の名前を口に出した。
「井川奈々」
俺は…心の中で思った。
「奈々ちゃんか。…可愛い名前だな」
そして、俺が1番気になったのは奈々がどこでね寝ているのかだった。奈々は中学生。それなりに野外で寝泊まりするのは危険があると思ったからであった。
奈々の話を聞いていると、寝泊まりしている場所も分かってきた。奈々は近くにある公園の24時間空いている施設みたいな所で寝泊まりをしているという。そこは、他のホームレスにとっても最高の施設だった。奈々はそのホームレスと一緒にそこで、寝ているということを教えてくれた。奈々の話を聞いていると、あっという間に時間が過ぎていた。
「あ!おれ、そろそろ学校に行かないと…」
すると彼女は
「そうだね、いってらしゃい」と笑顔で見送ってくれた。
学校に行くと、無論、先生に叱られた。しかし、叱られていても俺には奈々の事しか頭に浮かんでなかった。
学校が終わり、彼女との約束を思い出した。
そして、俺は奈々から教えてもらった公園へと急いで向かった。
公園につくと、そこには、ホームレスに囲まれた奈々がいた。
奈々はホームレス達と話していた。
俺は、ホームレス達と話している奈々の方へと向かった。
すると1人のホームレスが、俺に気づいて、こっちを振り向いてきた。
そして、そのホームレスは聞いてきた。
「君が、さとしくん?」
「はい」
「奈々ちゃん!来たみたいだよ」
と、ホームレスの1人が奈々を呼んだ。
「さとしさん。来てくれたんですね!ありがとうございます!」と笑顔で言ってくれた。
笑顔の彼女もとても可愛かった。
ホームレス達はみんな、俺のことをじっと、見ていた。
そして奈々が俺に近づいてきた。
彼女は1枚の手紙を渡してきた。
俺は、「奈々。これは何?」と訪ねたが、奈々は答えることがなかった。
手紙の内容を見ると、それは…
「「告白」」だった。
今まで、自分には中々、彼女が出来ず、奈々が初めての彼女だった。
俺の初恋は「14歳のホームレス」だった。
「奈々、本当にいいのか?」
「うん」と笑顔で彼女は答えた。
それから数ヶ月が経ち、季節は夏になり、毎日のように暑い日々が続き、俺は奈々のことがとても心配だった。
そして、俺は、決断した。
母親と相談をして、奈々と一緒に住むということを。
これが1番の問題だった。家のない、奈々をどうにかするためにも、一緒に生活する方法以外、考えつかなかった。
そして、母親も奈々のことを理解してくれ、しばらくの間だか、一緒に生活することになった。
奈々と一緒に生活する最初の日。
俺は「今日からよろしくな」と奈々に向かって言った。
奈々も「よろしくね」と笑顔でかえしてくれた。
そこに母親が現れた。
「奈々ちゃん?今日から、よろしくね」と言い、奈々を部屋へ案内をした。
「よろしくおねがいします」と奈々も母親に言い、中へ入っていった。
「奈々ちゃん、ごめんね~。他に、部屋がないから、さとしの部屋になっちゃうけど、我慢してね!」と奈々に言い、部屋を出た。
その頃、俺は…
近くのバイト先で、バイト中だった。まさか、今、奈々が自分の部屋にいるとは思わなかった。
そんなことを知らずに、俺は、バイトを終わらせて、スマホを片手に家に帰った。
「ただいまぁ」
「おかえり」と奥から母親の声が聞こえる。
自分の部屋に向かい、部屋に入ると、そこには、奈々が座っていた。
俺は驚いた!
「なんだ…奈々かぁ…。ビックリしたな…!ってか何で、俺の部屋にいるん?」
「わからない」と奈々は小さな声で答えた。
そこに、母親が入ってきた。
「さとし。おかえりなさい。奈々ちゃんは、さとしの部屋で、面倒をみなね!」
と、大きな声で言い、部屋を出ていった。
「マジかよ…」と、心の中で思っていたが、同時に幸せな気持ちにもなった。
「ベッドは、この部屋に1つしかない。これって奈々と一緒に寝ることが、できるってことだよな…いや?でも、奈々は中学生だぞ?一緒に寝てくれるもんなんか?」と思っていたが、奈々は…
「ベッド、1つしかないね。さとしくん?一緒に寝る?」
俺は、「うん」と言って、うなずいてしまった。
「でも、一緒に寝てくれるって言ってくれたんだから、一緒に寝ても、大丈夫だよね。きっと…」とずっと、思っていた。
「ねぇ奈々。」と俺は、奈々に声をかける。
すると奈々はこっちを向いて返してきた。
「何?どうしたの?」
「大学生のお兄さんのことだけど…」
「…。それがどうしたの?」
「いやー。家出をするほど、お兄さんと喧嘩をしたのかなぁって」
「…。」
奈々はしばらく黙ったままだった。
「あ!ごめん!きにさわった?」
俺は奈々に謝った。
彼女は俺が言ったことに、うなずいた。
そして…
「さとしー!奈々ちゃんー!ごはんですよー!」と下の階から母親の声が聞こえた。今、自分の父親もこの家にはいない。オーストラリアへ出張している。また奈々が来る前、俺には妹がいた。雪が降った日に産まれたという理由で名前をつけた「雪」という名前の子だった。しかし、妹はとある事件で殺されてしまった。まだ、幼い妹を俺は失った。奈々はその妹である「雪」に、似ていた。
「奈々ちゃん、おかず美味しいかなぁ?」と母親は奈々に聞いていた。
その日のおかずは「雪」が大好きであった、コロッケだった。
奈々は、母親に向かって笑顔で応えていた。
「美味しいです!私、コロッケが、大好きなんです!」
だか、俺は、コロッケが出る度に、妹の「雪」を思い出してしまう。
だから、食べずらかった。
あの事件すら起こらなければ、雪も今は中学2年生になっていて、俺の人生もこんなことにはならなかったはずだったのに…。
それは去年のことだった。
当時、俺は高校1年生。妹の雪は、中学1年生だった。
妹は、走ることがとても大好きだった。そのため、中学校に入学したら陸上部に入部した。雪もとても可愛い。中学校で1番と言われるほど、男子からも女子からも人気があった。性格もとても良く、頭もものすごく良い。俺とは真逆だった。雪の人気ぶりは、部活にも影響が出ていた。雪と長くいれるという理由に陸上部に入ったり、クラスが一緒になったら、神とか、隣の席になったら、ラッキーみたいな…他校でも、その噂が広まり、陸上部に入った人がいたとか?それほど、人気があった。
そして、陸上部の大会があるとか言って、朝から大会会場へと笑顔で向かったが…それ以降、妹の笑顔で元気な姿を見ることは出来なかった。雪は、事故に巻き込まれた。周りの友人から詳細を聞くと、当時大学2年生だった、「井川武志」という男にバイクで殺された。だが、そいつは雪を助けずに、逃げたという。奈々は、周りの友人によってすぐ、病院へと搬送されたが、意識が戻らないまま、死んでしまった。
数日後、雪の友人達の供述により、「井川」の存在が出てきた。「井川」はすぐに犯行を認めた。なんと…無免許運転だった。
それらのことから、無免許運転とひき逃げの罪で逮捕された。
「井川」は両親をバイクによる事故で、失っていた。当時一緒だったのは、妹である「奈々」という子だけだった。
「ん?奈々?井川奈々?」と俺は思った。
「あ!」
俺は大きな声で叫んだ。奈々はこっちを振り向いた。
「どうしたの?さとしさん?」
「まさか、そんなわけ…」
「どうしたの?」
「なぁ…奈々…お兄さんの名前は?」
「え?井川武志だけど…。それがどうしたの?」
「…。」
俺は、黙り込んでしまった。
「さとしさん?どうしたの?お兄さん?」
「…。」
「どうしたの?お兄ちゃんと知り合いなの?」
「…」
俺は、言葉すらでなかった。
まさか…奈々が雪を殺したやつの妹なんて…
「いや。奈々のお兄さんとは知り合いではないよ…」
本当は知っている。だか、言えない。
「そうなんだ。」
「うん。」
「お兄さんってどんな人?」
「お兄ちゃんは奈々にとても優しかったよ。」
「そうなんだ。」
「うん。」
俺は聞きたくない、質問を言ってしまった。
「お兄さんってバイクに乗ったこととかある?」
すると…
「うん。…。でも、お兄ちゃん…バイクで人を殺しちゃったの…。たしか、私と同い年の女の子を…。」
「そうなの?それは、大変だね…!」
と思いながらも、雪を殺したのが、奈々のお兄さんであることが、確実だということが分かった。
「奈々は、その事故にあった女の子と知り合いなの?」
「うん。同じ部活だった子だよ。学校は違ったけど、かなり可愛くて、人気だったみたいだよ!」
「奈々は陸上部だったの?」
あ!と思いながらも、続けた。
「え?!なんで、奈々の部活知ってるの?」
「え…。いや~なんとなく…!」
「なんだ~なんとなくかぁ(笑)」
「うん。その子の名前とか、分かったりする?」
「どうして?」
「いやーちょと気になってね…。」
「みんなが、ゆきちゃんとか、ゆき先輩って言ってたから、そんな感じの名前じゃないかな。」
「ゆきちゃんか…。知ってるなぁ…。」
「え?どういうこと?」
「あ!いや、なんでもないよ。」
俺と奈々の間には、気まずい空気がただよっていた。
「ねぇさとしくん。何か、隠してるの?」
「え…。別に隠してなんかは…」
「何かあるんでしょ?」
「何もないよ!」
「教えて!」
「…。あー!もう、いやだ!あのな、雪は俺の妹なの!お前のお兄さんに殺された、雪の兄なの!お前のお兄さんのせいで、雪は死んだ!雪はお前のお兄さんに殺されたんだよ!」
と、怒りながら、言った。
「さとしくん…。ごめん…。私、もう、ここにいられる立場じゃないよね…。今までありがとう。」
と、最後に言い残して、さとしの部屋を出て行った。外は、少しずつ雨が降ってきていた。しばらくの間は一切、動かなかった。
すると、下の階から母親が何かを言っている。しかし、俺の耳には全く入ってこなかった。雨が強く、降り始めた。
「少し、言い過ぎたかな…。」
「奈々…。奈々…。」
と俺は呟き、雨が降る中、急いで奈々を見つけた。
奈々を見つけるため、ひたすら走った。びしょ濡れになりながら、走った。
奈々を見つけるまで、とにかく走り続けた。
そして…
俺は、奈々と最初に出会った、公園へと向かった。
そこには、雨の中、びしょ濡れになりベンチに座っている1人の女の子の姿があった。
「奈々…。」
「さとしくん…。」
「奈々…。大丈夫か?」
「うん。」
そう言った直後、奈々は倒れた。
「奈々ー!奈々ー!」
奈々は濡れた体で、意識を失っていた。
「ひどい熱だ…。」
俺は、奈々の体を抱きかかえながら、その場を離れようとした…
と…その時…。
こちらへと、1人の女性が近づいてきた。
「さとしくん?」
「え?!莉奈さん…。」
そこに現れたのは、同じクラスの「石井 莉奈」だった。
俺は、奈々に内緒で、この子と付き合っている。
「ねぇ?その子は誰?誰なの?」
「え…えーと…莉奈…。」
「さとしくん…その子とここで何をしているの?」
「…。これには、深いわけが…!」
「もしかして…さとしくんって、その子と付き合ってたりする?」
「別…別に…そんなわけでは…。」
すると、弱っている奈々が言葉を発した。
「そうなの?さとしくんは、私と付き合ってくれたんじゃないの?ねぇ。さとしくん…。」
「あ…あー。」
「え?さとしくん…。どういうこと?その子と付き合ってるの?」
その言葉に奈々がこっちを振り向く。
「うん…。」
もう、こう言うしかなかった。
「最低…。もう、さとしくんなんか知らない!」
と言って、莉奈はその場を去っていった。
「莉奈ー!違うんだ!信じてくれ!」
だが、彼女にはその言葉は伝わらなかった。
奈々がこっちを振り向いた。
「ねぇ。さとしくん。さとしくん!」
俺は、顔を上げれなかった。とてもショックを受けていた。
雨は少しずつやんできたが、さとしの心はまだ降り続いていた。
「奈々…。お願いだから今、俺にはなしかけないでくれ…」
「ねぇ。さとしくん。実はね…私…私にも…。」
「さとしくん…。実は、私にも…彼がいるの…。ごめんなさい…!いつかは言わないといけないと思ってたけど、私…言えなかった。」
「うん。別にいいよ…。お互い様だよ。」
「あのな…。名前を聞いてくれる?さとしさんなら、きっとわかってくれる。きっと…。」
「うん。わかった。奈々…。その子の名前を教えてくれる?」
「…。前川 隼人。」
「え?!隼人!」
「うん…。」
「奈々…。それは…本当なの?」
「うん。本当だよ…。」
俺は、驚きすぎて、声が出なかった。隼人は知ってるも何も…。
「1年前、雪が事故に巻き込まれる前まで、付き合っていた子ではないか…。雪とはとても仲が良くて、評判が良かった。俺も隼人とよく話していた。よく、家にも泊まりに来ていた。」
そして…なぜ、奈々と雪はここまで似ているのか…。
「あ!もしかして…。」
「なに?」
と奈々はさとしに言った。
「奈々…。一体、お前は誰なんだ!誰なんだ…。1年前、事故で死んだ、自分の妹。雪なのか?雪…?雪なんだろう?おい!雪!返事をしてくれ。」
「え?何を言ってるの、お兄ちゃん?私は雪だよ。」
「え?お前は雪なのか?」
「そうだよ…忘れたの?」
「お前は奈々じゃないのか?」
「奈々?その子は誰?ついに、可愛い妹の兄にも彼女ができたの?」
「彼女?何、言ってるの。お前が俺の彼女だろ!」
「え?!」
雪の顔が赤くなった。
パシン!!!(雪のビンタ)
「痛い…!」
「お兄ちゃんの変態!!どこをさわってるの?!早く、起きなさいよ!」
え…
「雪…?なんで、俺の部屋にいるの?」
「お兄ちゃんが、朝から私の名前をずっと呼んでるからでしょ!」
「え…。じゃあ、もしかして今までのは…夢…夢だったのか?!」
「何、言ってるの?お兄ちゃん?(笑)」
雪はその可愛い声と笑顔で
「お兄ちゃん」
と言った。

終わり
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