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Episode6
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「お引き留めしてすみませんでした」
雨が止み、話が一段落してから野島さんが言った。
沢山話をしてしまったのは私の方なのに、野島さんはペコリと頭を下げた。
私は、
「映画の話を普段話す事がなくて。久し振りに話すと止まらなくなりました。聞いて下さってありがとうございます」
とお礼をした。
「また、上映会でお会いしましょう。是非お時間ある時にでもいらして下さい」
会釈を何度か繰り返し、二人は別の方向へと向かい歩き出した。
「依子さん!」
野島さんの声。
私を呼んでいる。
振り返ると私の後ろを指差している。
指された方向を見ると、そこには虹がかかっていた。
綺麗だった。
野島さんを見ると野島さんはまたペコリと頭を下げ、
「またお引き留めしてしまいました。虹を見たのが久し振りだったので、つい」
と微笑む。
「私もです。綺麗ですね」
「はい。大雨の中話し掛けてくれて、映画の話をしてくれたお陰です」
「こちらこそ野島さんが呼んでくれなかったら、下を向いたまま虹には気付かなかったと思います」
もう一度、虹を見た。
こんなに長く眺めたのは初めてだった。
二人の会話はなんとも遠回りしているというか、丁寧すぎる気がした。
でもそれが私には心地良いとも思った。
その日の夜には曲が生まれた。
歌詞も出来た。
ふと母がよく歌っていた曲を思い出す。
なんとなく鼻歌交じりで料理をしている時に思い出した。
でも、歌詞は少ししか思い出せない。
確か私が高校生の頃だったと思う。
私が
「誰の曲?」
と聞くと母は、
「もう少し大人になったら教えてあげる。でも、依子が音楽を続けていたら出会えると思う。その人に」
と言った。
その当時もパソコンで調べたけれど見つからなかった。
「誰も...泣かない...理想...そして歌う....」
今なら分かるかもと、覚えている歌詞の一部を検索してみる。
でも見つからなかった。
母は料理をしている時、洗濯物を干す時、よくその歌を鼻歌交じりに口ずさんでいた。
2、3曲をリピートしていた気がする。
毎日のように聴いていたはずなのに思い出せない。
そもそも私が音楽を始めたきっかけは母だった。
「友達にいらなくなったギター貰ってきちゃった」
と母がウキウキしながら帰ってきた。
私が中学二年生の頃。
母はギターを適当に弾き、即興で歌った。
「依子笑って~お母さんがギターを弾くわ~毎日~」
そう歌ったのはよく覚えている。
「依子、ギター弾いてみたら?かっこいいよ!絶対モテる!」
と言い、私にギターを渡した。
その日から私はあっという間にギターに夢中になった。
ギターを弾く事になり、そこで曲が、誰かによって作られている事に気付いたというわけだ。
母がギターを貰ってくれていなかったら、いつ気付いていたのだろう。
私の今までの人生は母にかなり影響されてきた。
理由は言うまでもなく、母が大好きだからだ。
憧れだった。
今でも憧れている。
永遠に追いかけてしまうと思う。
雨が止み、話が一段落してから野島さんが言った。
沢山話をしてしまったのは私の方なのに、野島さんはペコリと頭を下げた。
私は、
「映画の話を普段話す事がなくて。久し振りに話すと止まらなくなりました。聞いて下さってありがとうございます」
とお礼をした。
「また、上映会でお会いしましょう。是非お時間ある時にでもいらして下さい」
会釈を何度か繰り返し、二人は別の方向へと向かい歩き出した。
「依子さん!」
野島さんの声。
私を呼んでいる。
振り返ると私の後ろを指差している。
指された方向を見ると、そこには虹がかかっていた。
綺麗だった。
野島さんを見ると野島さんはまたペコリと頭を下げ、
「またお引き留めしてしまいました。虹を見たのが久し振りだったので、つい」
と微笑む。
「私もです。綺麗ですね」
「はい。大雨の中話し掛けてくれて、映画の話をしてくれたお陰です」
「こちらこそ野島さんが呼んでくれなかったら、下を向いたまま虹には気付かなかったと思います」
もう一度、虹を見た。
こんなに長く眺めたのは初めてだった。
二人の会話はなんとも遠回りしているというか、丁寧すぎる気がした。
でもそれが私には心地良いとも思った。
その日の夜には曲が生まれた。
歌詞も出来た。
ふと母がよく歌っていた曲を思い出す。
なんとなく鼻歌交じりで料理をしている時に思い出した。
でも、歌詞は少ししか思い出せない。
確か私が高校生の頃だったと思う。
私が
「誰の曲?」
と聞くと母は、
「もう少し大人になったら教えてあげる。でも、依子が音楽を続けていたら出会えると思う。その人に」
と言った。
その当時もパソコンで調べたけれど見つからなかった。
「誰も...泣かない...理想...そして歌う....」
今なら分かるかもと、覚えている歌詞の一部を検索してみる。
でも見つからなかった。
母は料理をしている時、洗濯物を干す時、よくその歌を鼻歌交じりに口ずさんでいた。
2、3曲をリピートしていた気がする。
毎日のように聴いていたはずなのに思い出せない。
そもそも私が音楽を始めたきっかけは母だった。
「友達にいらなくなったギター貰ってきちゃった」
と母がウキウキしながら帰ってきた。
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母はギターを適当に弾き、即興で歌った。
「依子笑って~お母さんがギターを弾くわ~毎日~」
そう歌ったのはよく覚えている。
「依子、ギター弾いてみたら?かっこいいよ!絶対モテる!」
と言い、私にギターを渡した。
その日から私はあっという間にギターに夢中になった。
ギターを弾く事になり、そこで曲が、誰かによって作られている事に気付いたというわけだ。
母がギターを貰ってくれていなかったら、いつ気付いていたのだろう。
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憧れだった。
今でも憧れている。
永遠に追いかけてしまうと思う。
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