神降人達の無限重合

神魔

文字の大きさ
1 / 2

神谷 慎二

しおりを挟む
  光なき世界。
  その名の通り光1滴と存在しない世界。その世界に俺はいた。
  いくら歩いても世界は変わらない。
・・・寂しい。
  その感情しかない。
すると、目の前にいくつもの赤い光が現れる。
・・・誰だ?
  その光は段々と近づいてくる。その瞬間、背筋が凍った。目の前に現れたのは、得体の知れない、怪物。悪魔と言ってもいいかもしれない。
  足がすくんで歩けない。それはどんどんと近寄ってくる。悪魔の手がこちらに伸びてきている。もうすぐ俺に触れようとしたが、明るい光が現れそれらは消え去った。
  光は段々と大きくなる。よく見ると、光の中に何やら人影がみえた。体格からして男であろう。その光に向かって歩こうとした刹那   世界が歪んだ。そのままその光は薄れていく。
・・・にしている。
その声が聞こえると、光は虚空に消えた。

ピピピ
「ん、朝か。」
ベッドの脇に置いていたスマホのアラームを止める。
「あぁ、今日からだったな。学校」
そう呟きさっきの夢を思い出す。
「・・・あの人、なんか言ってたよな。」
 (・・・にしている、か。なんて言おうとしてたんだろうな。)
「にしても、あの姿どこかで・・・。」
  あの姿をいつかどこかで見たことがあるような感じがした。しかし、それが思い出せない。
「まぁ、いいか。それより準備しないと。」
  そうして、ベッドから体を起こし今日の準備をする。
  俺は神谷 慎二。一応今日から高校生である。
  俺は小さい時から椎崎という財閥の家に住んでいる。なんでも、俺の両親から引き取ったらしい。 
  今は、財閥の一人娘の執事として過ごしている。とは言っても、空いている時は、掃除などの雑務もやっているような感じだ。
  今日は、朝食の手伝いを頼まれているので、いつもより早い5時半に起きた。
  そこから、いつもの執事服を着て、鏡で身だしなみを確認。
「よし」
俺は、部屋を出てキッチンへと向かった。
《キッチン》
「おはようございます。」
「おぉ、済まないね神谷くん。朝食の手伝いをさせて。」
  キッチンに入ると、体格の良い中年の男がいた。
  彼はここの料理長だ。あと、料理人が二、三人いるが彼らは休暇を取っていて居ないのだ。
「いえいえ、何をすればいいですか?」
「じゃあ、そこを任せていいかい。」
「分かりました。」
 そう言い、俺は野菜などを切り始めた。
  ちなみに、俺は普段は料理の手伝いはしないが、今日みたいに手数が足らない時にはこうして手伝いをしている。料理は5年前から料理長から教わっている。今では腕もかなり上昇した。
「そう言えば、今日からだったね。学校」
  急に料理長が声をかけてきた。
「はい、そうですね。」
「緊張するか?」
「いえ、そんなにしませんよ。」 
「そうか。お前も学生だ。青春してこい。だが、くれぐれも気をつけろよ。お嬢さまの護衛という任務をな。」
「はい、分かっています。料理長、野菜切り終えました。」
「ありがとう、じゃあ次にあれを頼む。」
「分かりました。」
  今日はいつもよりも忙しく感じていた。

《午前7時》
  我々は、食事をしていた。普通執事やメイドは別のところで食事をするのだが、俺は例外だった。
  理由はここのお嬢様にある。この椎崎家の娘
椎名 真琴(しいな まこと)は俺の幼馴染であり俺の主人的な存在だ。先程も言ったが、俺は執事をしている。この椎名 真琴の執事を。
「真琴、今日から学校だが緊張するかね?」
「いいえ、お父様。私は大丈夫です。」
  真琴と共に食事をしているのはこの椎崎家当主であり真琴の父親 椎崎 拓真である。俺はいつもご主人様と呼んでいる。
「そうか、それなら良い。慎二君。」
「は、はい」
「君も学校に通い色々と学ぶだろうが、くれぐれも真琴の護衛の任を忘れないように。」
「はい、心得ております。」
「そうか、なら宜しい。」
  基本は、一般宅のように過ごしてはいるが今日は特別な日だから少し緊張している。
  俺はいちはやく食事を終え時計を見る。時刻は7時半をまわっていた。
「お嬢さま、そろそろお時間でございます。」
「そう、ありがとう。ではお父様行ってまいります。」
「あぁ、気をつけて」
俺達は、リビングを後にした。
《玄関》
「おはようございます、お嬢さま」
玄関の車の前に立っていた運転手の熊野 英二が元気よく挨拶をする。
「おはようございます、今日はよろしくお願いいたします」
「いえいえ、それにしてもお二人共制服がお似合いで」
「有難うございます」
「さ、それでは行きましょうか。」
そうして、真琴と慎二は後部座席に乗り学校に行く。
大きな玄関の門をくぐり、小道にでる。
「誰も見てないわね。」
真琴は外を念入りに確認する。実は、この3人にはある秘密をもっている。
「もう大丈夫ね。」
「ふー、一息つける。」
そう言って俺は背もたれに深く腰を倒した。
「にしても、2人もとうとう高校生か。」
「はい、私少し緊張しますね。」
「ハッハッハ。初日だからね。。そういうものですよ。」
  そう、ここでは主従関係はないのだ。これは、真琴の頼みだった。彼女はあまりお嬢様と言われるのは好きではないのだ。この時、俺は本当の幼馴染になれるのだ。
 「にしてもあんなに小さかった真琴ちゃんと慎二君がもう高校生か。」
  「からかわないでくださいよ。」
真琴の頬に少し赤みがました。
  「小さい頃から学校の送り迎えやってるんだからそう言いたくなるよ。」
  「ねぇ、シンジ。あなた、能力はまだダメなの?」
  「ん? あぁ、一応展開までもう少しなんだけどな。」
  「んー、シンジはなんで展開出来ないんだろう。」
  「さあな。俺にもわかんねぇ。」
  「慎二くん、まだダメだったのかい?」
  「はい、どうにも上手くできなくて。」
  これが、俺の欠点である。実は、よりしろになれないのである。真琴は、中学生あたりでよりしろになれたのだが、同じタイミングで始めた俺は何故か神の力が出ないのだ。理由は未だ不明。俺もほぼ諦めかけている状態だ。
  「うーん、慎二くんには何かが足りないんだろうね。」
  「何かって?」
  「それは俺にも分からないよ。例えばそうだな、おもい、とか?」
  「おもい?」
  「何かに対する強い思い、みたいな。」
  「シンジの何かに対する強い思い。」
  真琴は顎に手を当て考えている。
  「ま、そのうち分かるでしょ。」
  「それがいつになるか分からないよ。シンジ。」
  「なに、気長に待つさ。」
  「あ、そう言えば2人とも知ってるかい?」
  「え、何がです?」
  真琴は少し不安そうに聞く。
  「なんでも、アビスの動きが活発化してきているみたいだよ。」
  「え、それ本当ですか?」
  「あぁ、今朝あってたんだ。」
  「いずれ私たちも行かなきゃいけないんだものね。」
  変異種(アビス)今から10年前、突如として現れた魔物。多種多様な形や戦い方をする。現代の兵器でも倒せるものの物量の差で人類が劣勢と化している。そこで、世界はよりしろ達に対アビス用の戦闘具を装備させ戦わせるようになった。しかし、それでも戦えるものは少なく問題になっている。その事から俺達に白羽の矢が立った。まだ若いよりしろにアビスと戦えるように訓練をする施設を用意した。それが今向かっている学園。その名は降神学園。通称アカデミーと言われている。
  ここを卒業したら、そのまま対アビス専門の部隊に配属される。しかし、緊急事態が起きた場合、生徒でも戦闘が許されている。いわゆる、命をかける学園だ。
  「さぁ、二人ともそろそろ着くよ。」
  「はい。じゃあシンジ。これから護衛として宜しく。」
  「了解しましたよ。お嬢様。」
少し笑みを浮かべ言う言葉に俺は少しあきれながら答えるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

処理中です...