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〜猫とお化けトンネル~ACT7(幕間)
キッチンに向かい、私は夕方にいれたコーヒーをカップに注いだ。もうぬるく冷めてしまったコーヒーを一口飲みながら、ノート型PCや資料をひろげたテーブルへと向かう。
いつもコーヒーをいれる時は、多めにいれて、チビチビと長い時間をかけて飲む。今日は、自宅で仕事をしているが、休みの日に予定が無い時は、一日かけて冷めたコーヒーを飲みながら過ごすのが好きだ。
最近ではリモートで仕事をする事も多くなったが、今日は事務所に一度顔を出している。夕方に帰宅してから、ずっと資料をあさっていた。
私は立花凛子、職業はライターだ。雑誌などに記事を掲載している。少し前におきた事件の記事が好評だったためか、最近では少し余裕を持って仕事が出来るようになったかもしれない。
その事件とは、今年のはじめにおきた、バラバラ殺人事件(猫の悪霊退治~猫とバラバラ殺人~を参照)だ。この事件の記事が好評だったのには訳がある。
それは、私自身が当事者だったからだ。私は、この事件の被害者でもあり、犯人逮捕に一役買っているとも言える。実際に犯人と対峙し、話しを聞いているからだ。
ただ、私一人で犯人と対峙したわけではない。私は、この事件を調べている時に、奇妙な探偵に出会った。いや、奇妙な探偵達と言った方がいいかもしれない。
彼は、常に猫を連れていた。彼らは二人、いや、一人と一匹で探偵なのだ。
彼等は、不思議な力を持っていた。猫の源之助は、人間以上の知能を持ち、人と会話ができた。と、言っても、源之助の言っている事は普通の人間には聞き取れないのだが。
その源之助と唯一会話ができるのが、もう一人の探偵である、大貫健吾だ。彼の方は、悪霊と戦う力を持っていた。そうなのだ、彼等は悪霊と戦う探偵なのだ。
彼等の事をそのように形容した私は、少し恥ずかしくなった。悪霊と戦う探偵というのは、何処かのヒーローのキャッチフレーズのようだったからだ。
そうなのだ、そのバラバラ殺人の犯人は、悪霊に取り憑かれていた。だからと言って悪霊が殺人事件をおこしたわけではない。彼等はこう言っていた。
「幽霊に人殺しなんてできません。人を殺せるのは人間だけです」
結局、この世でおこる事は、この世で生きる私達が決定する事でおこるのだろう。
私は、この事件を通して彼等と知り合う事ができた。そして、今、彼等の手伝いをしている。なんだか、彼等に認められたようで嬉しく思う。
今回、彼等が関わっているのは、お化けトンネルと地元では有名な心霊スポットだ。私が最初にやった事は、ネットで調べるという方法だった。まぁ、現代人としては、あたりまえの方法だろう。しかし、ネット上では、ありきたりな心霊スポットくらいの情報しか拾えなかった。
一般的に、心霊スポットとして有名なトンネルのようだが、詳しい内容が見つからなかった。もっとも、心霊スポットとして、白い服の女性を見たとか、赤ん坊の声がするなどの良く聞く怪談話はあったのだが。
私は、仕方なく地元の関係機関や新聞社などに連絡をとり、資料などをかき集める羽目になった。本当なら、仕事でもない事にここまでの事をする事はないが、彼等の頼みでもあるので、出来る限りの事はしようと思ったのだ。
ただ、彼等に頼まれたという理由だけでなく、私自身もこのお化けトンネルという心霊スポットに興味がでていた。いや、このトンネルに、何かを感じていたのかもしれない。
どうやら、前回のバラバラ殺人事件以来、そういうカンが強くなったように思う。そして、調べれば調べるほど、このトンネルには不可解な点が多いと感じた。それは、実際に行方不明になっている人間がいたからだ。
よくある怪談話や、偶発的な事件ではなく、トンネルに関わっていると思える内容であった。実際、いくつかの事件は、神隠し事件として、新聞やテレビでも報道されている。ただ、何か違和感のようなものを感じていた。
何か、これらの事件が意図的に目立たないようにされているように感じたからだ。そのため、私は取り寄せた資料を端から端まで調べてみた。そうして分かった事があった。
このような事件が一回や二回ではなく、異常な数あったという事だ。公に報道されていない神隠し事件などが他にも多数あったのだ。まだ昭和の終わりくらいまでしか調べきれてないが、その頃から今までの間で、確認できただけでも、三十件以上あった。
これは、年に一回のペースだ。普通に考えれば、あり得ない数だと思う。そして、さらに遡って調べれば、さらに増えるかもしれない。もちろん、調べた中には、トンネルと関連があるというだけで、直接的な関わりがあるものだけでもない。
それでも、やっぱり異常な数だとしか言えない。わたしは、このトンネルが、ただの心霊スポットではないと直感的に感じている。やはり、悪霊が関わっているのだろうか。でも、霊が直接人間を行方不明にする事はできないと、大貫健吾は言っていた。
では、誰か生きた人間が関わっているという事なのだろうか。私は、そのような事を考えながら役場の資料を漁っていた。役場のような公的機関の資料は、普通では手に入らない。
そこは、ライターとしての人脈をつかって入手した。役場の資料にも、行方不明事件の資料として、当時の報告書などが保存されていた。一番最近では、一年半ほど前に行方不明事件がおきていた。
この報告書を書いた、浅井陽一というトンネルに関して担当している人物に連絡をとってみる必要があるかもしれない。そんな事を考えていた時、フッと何か違和感のようなものを感じたのだ。
そして、役場の過去の資料を見返してみた。そして、一つの可能性が頭に浮かんでいた。これは私のカンでしかない。ただ、資料の一部を確認して、それを確認しなければならないと強く思った。
「もしもし、申し訳ないのですが、少し調べていただきたい事がありまして…」
私は、すぐに現地の新聞社に連絡していた。この新聞社に知り合いがいる訳ではないが、私の先輩のツテをたよって連絡している。申し訳ないと思ったが頼る事にした。
「やっぱりそうでしたか」
程なくして、新聞社から折り返しの連絡があった。
「この事実が、何か関係があるのですか」
相手の新聞社の方は、意味がわからないといった状況であった。
「まだ分からないのですが、もしかしたら重大な事かもしれません」
「そうですか、なら、いいネタなら真っ先にウチにまわして下さい」
そう言って、新聞社の方は、電話を切った。真っ先にネタが欲しいと言ったところは、やはり同業者だと思う。
たぶん、私の行動から、ただならぬ何かを感じたのかもしれない。私は、もう一度資料を確認する。そして、役場の担当の名前を順に時代をさかのぼって読んでみた。
「浅井陽一、浅井輝朝、浅井輝昭、堂上貴一」
途中、浅井から堂上の姓になっているが、元々、この浅井家は堂上家から別れた分家のようだ。
そして、このトンネルが開通する前から、この堂上家はこの辺りに住んでいた有力な一族だったらしい。そして、全ての行方不明事件の周辺に、この一族が関わっているように思えた。
実際、役場で彼等が担当になる前から、この一族と関わりがある場所で行方不明事件がおきている。
「もしも、彼等がずっと…」
そう口にした時、私は体全体が震える程の寒気を覚えた。私は、恐ろしい想像をしている。いや、まだカンの域を越えてはいないが、確信を感じていた。
「彼等一族は、ずっと昔から、この場所で人を拐ってきた…」
私は、まだ仮説の段階でしかないこの考えに恐怖を感じている。そして、心の何処かでこの仮説に確信をもっていた。
「大貫さんに、この事を伝えないと」
思わずそう呟いた私は、すぐにスマホを手に取り電話をかける。しかし、留守電になるばかりで、連絡がとれなかった。
私は、スマホの時計を見て理解した。もう、撮影が始まっている時間だったからだ。また彼等は危険なめに会うかもしれない。そう思った時、私の口から出たのは、こんな言葉だった。
「これは彼等の運命なの?」
まるで芝居のセリフのような言葉だと自分でも感じていた。まるで、誰かが私に言わせているかのようだった。
何か目に見えない力が働いているのだろうか。だから、彼等も、そして私もこのトンネルに関わっている。そうなのだ、私達はこのお化けトンネルに呼ばれているのだ。私は、この時にそう理解した。
いつもコーヒーをいれる時は、多めにいれて、チビチビと長い時間をかけて飲む。今日は、自宅で仕事をしているが、休みの日に予定が無い時は、一日かけて冷めたコーヒーを飲みながら過ごすのが好きだ。
最近ではリモートで仕事をする事も多くなったが、今日は事務所に一度顔を出している。夕方に帰宅してから、ずっと資料をあさっていた。
私は立花凛子、職業はライターだ。雑誌などに記事を掲載している。少し前におきた事件の記事が好評だったためか、最近では少し余裕を持って仕事が出来るようになったかもしれない。
その事件とは、今年のはじめにおきた、バラバラ殺人事件(猫の悪霊退治~猫とバラバラ殺人~を参照)だ。この事件の記事が好評だったのには訳がある。
それは、私自身が当事者だったからだ。私は、この事件の被害者でもあり、犯人逮捕に一役買っているとも言える。実際に犯人と対峙し、話しを聞いているからだ。
ただ、私一人で犯人と対峙したわけではない。私は、この事件を調べている時に、奇妙な探偵に出会った。いや、奇妙な探偵達と言った方がいいかもしれない。
彼は、常に猫を連れていた。彼らは二人、いや、一人と一匹で探偵なのだ。
彼等は、不思議な力を持っていた。猫の源之助は、人間以上の知能を持ち、人と会話ができた。と、言っても、源之助の言っている事は普通の人間には聞き取れないのだが。
その源之助と唯一会話ができるのが、もう一人の探偵である、大貫健吾だ。彼の方は、悪霊と戦う力を持っていた。そうなのだ、彼等は悪霊と戦う探偵なのだ。
彼等の事をそのように形容した私は、少し恥ずかしくなった。悪霊と戦う探偵というのは、何処かのヒーローのキャッチフレーズのようだったからだ。
そうなのだ、そのバラバラ殺人の犯人は、悪霊に取り憑かれていた。だからと言って悪霊が殺人事件をおこしたわけではない。彼等はこう言っていた。
「幽霊に人殺しなんてできません。人を殺せるのは人間だけです」
結局、この世でおこる事は、この世で生きる私達が決定する事でおこるのだろう。
私は、この事件を通して彼等と知り合う事ができた。そして、今、彼等の手伝いをしている。なんだか、彼等に認められたようで嬉しく思う。
今回、彼等が関わっているのは、お化けトンネルと地元では有名な心霊スポットだ。私が最初にやった事は、ネットで調べるという方法だった。まぁ、現代人としては、あたりまえの方法だろう。しかし、ネット上では、ありきたりな心霊スポットくらいの情報しか拾えなかった。
一般的に、心霊スポットとして有名なトンネルのようだが、詳しい内容が見つからなかった。もっとも、心霊スポットとして、白い服の女性を見たとか、赤ん坊の声がするなどの良く聞く怪談話はあったのだが。
私は、仕方なく地元の関係機関や新聞社などに連絡をとり、資料などをかき集める羽目になった。本当なら、仕事でもない事にここまでの事をする事はないが、彼等の頼みでもあるので、出来る限りの事はしようと思ったのだ。
ただ、彼等に頼まれたという理由だけでなく、私自身もこのお化けトンネルという心霊スポットに興味がでていた。いや、このトンネルに、何かを感じていたのかもしれない。
どうやら、前回のバラバラ殺人事件以来、そういうカンが強くなったように思う。そして、調べれば調べるほど、このトンネルには不可解な点が多いと感じた。それは、実際に行方不明になっている人間がいたからだ。
よくある怪談話や、偶発的な事件ではなく、トンネルに関わっていると思える内容であった。実際、いくつかの事件は、神隠し事件として、新聞やテレビでも報道されている。ただ、何か違和感のようなものを感じていた。
何か、これらの事件が意図的に目立たないようにされているように感じたからだ。そのため、私は取り寄せた資料を端から端まで調べてみた。そうして分かった事があった。
このような事件が一回や二回ではなく、異常な数あったという事だ。公に報道されていない神隠し事件などが他にも多数あったのだ。まだ昭和の終わりくらいまでしか調べきれてないが、その頃から今までの間で、確認できただけでも、三十件以上あった。
これは、年に一回のペースだ。普通に考えれば、あり得ない数だと思う。そして、さらに遡って調べれば、さらに増えるかもしれない。もちろん、調べた中には、トンネルと関連があるというだけで、直接的な関わりがあるものだけでもない。
それでも、やっぱり異常な数だとしか言えない。わたしは、このトンネルが、ただの心霊スポットではないと直感的に感じている。やはり、悪霊が関わっているのだろうか。でも、霊が直接人間を行方不明にする事はできないと、大貫健吾は言っていた。
では、誰か生きた人間が関わっているという事なのだろうか。私は、そのような事を考えながら役場の資料を漁っていた。役場のような公的機関の資料は、普通では手に入らない。
そこは、ライターとしての人脈をつかって入手した。役場の資料にも、行方不明事件の資料として、当時の報告書などが保存されていた。一番最近では、一年半ほど前に行方不明事件がおきていた。
この報告書を書いた、浅井陽一というトンネルに関して担当している人物に連絡をとってみる必要があるかもしれない。そんな事を考えていた時、フッと何か違和感のようなものを感じたのだ。
そして、役場の過去の資料を見返してみた。そして、一つの可能性が頭に浮かんでいた。これは私のカンでしかない。ただ、資料の一部を確認して、それを確認しなければならないと強く思った。
「もしもし、申し訳ないのですが、少し調べていただきたい事がありまして…」
私は、すぐに現地の新聞社に連絡していた。この新聞社に知り合いがいる訳ではないが、私の先輩のツテをたよって連絡している。申し訳ないと思ったが頼る事にした。
「やっぱりそうでしたか」
程なくして、新聞社から折り返しの連絡があった。
「この事実が、何か関係があるのですか」
相手の新聞社の方は、意味がわからないといった状況であった。
「まだ分からないのですが、もしかしたら重大な事かもしれません」
「そうですか、なら、いいネタなら真っ先にウチにまわして下さい」
そう言って、新聞社の方は、電話を切った。真っ先にネタが欲しいと言ったところは、やはり同業者だと思う。
たぶん、私の行動から、ただならぬ何かを感じたのかもしれない。私は、もう一度資料を確認する。そして、役場の担当の名前を順に時代をさかのぼって読んでみた。
「浅井陽一、浅井輝朝、浅井輝昭、堂上貴一」
途中、浅井から堂上の姓になっているが、元々、この浅井家は堂上家から別れた分家のようだ。
そして、このトンネルが開通する前から、この堂上家はこの辺りに住んでいた有力な一族だったらしい。そして、全ての行方不明事件の周辺に、この一族が関わっているように思えた。
実際、役場で彼等が担当になる前から、この一族と関わりがある場所で行方不明事件がおきている。
「もしも、彼等がずっと…」
そう口にした時、私は体全体が震える程の寒気を覚えた。私は、恐ろしい想像をしている。いや、まだカンの域を越えてはいないが、確信を感じていた。
「彼等一族は、ずっと昔から、この場所で人を拐ってきた…」
私は、まだ仮説の段階でしかないこの考えに恐怖を感じている。そして、心の何処かでこの仮説に確信をもっていた。
「大貫さんに、この事を伝えないと」
思わずそう呟いた私は、すぐにスマホを手に取り電話をかける。しかし、留守電になるばかりで、連絡がとれなかった。
私は、スマホの時計を見て理解した。もう、撮影が始まっている時間だったからだ。また彼等は危険なめに会うかもしれない。そう思った時、私の口から出たのは、こんな言葉だった。
「これは彼等の運命なの?」
まるで芝居のセリフのような言葉だと自分でも感じていた。まるで、誰かが私に言わせているかのようだった。
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