Struggle against destiny

月見

文字の大きさ
3 / 3

3.転生

しおりを挟む




 ・・・・・・あったかい。ふわふわするし、花?みたいな良い香りまでする。まるで花畑で日向ぼっこしてるみたいな心地良さ。
・・・・・・まぁしたことはないんだけど。


 閉じている瞼の裏の暗闇が少し明るくなり、ふわりと意識が浮上する。


 「イアちゃ~ん、その愛らしいおめめを開いて、どうか母様に見せてちょうだい」


 母さん・・・?いや、今自分の事「母様」って言ってなかったか?俺の記憶だと母さんはそんなお上品なキャラじゃなかったはずなんだが。今さらながらキャラ変したのか・・・・・・?今したとて本来備わってる粗雑な性格は無くならないと思うけど。
 というか学校がある日は絶対アラームセットしてるはずだし一回でちゃんと気づくんだが、わざわざ母さんが起こしにきたってことは・・・・・・もしや遅刻?!


 俺は慌てて目を開・・・・・・けようとしたけど中々開けられない。まるで接着剤でしっかり塗り固められてるみたいに強力だ。

 (くっそなんで開いてくれないんだ。この状況で尚俺の体はまだ起きたくないと駄々をこねるのか)
 
 でも、そんなことは言ってられないため、なんとかして重い目をこじあけてみたら見知らぬ顔が2つパッと映り込んだ。


 「!!あなた!イアちゃんが目を覚ましたわ!!はぁ・・・・・・良かった」
 「本当か?!・・・っはー、このまま目覚めなかったらどうしようかと・・・」
 「ああ、本当にお目覚めになられて何よりでございます!すぐに屋敷の者達全員に伝えて参ります!」




 ・・・・・・え?待って待って誰?さっきから知らない人ばかり次々出てくるんど、ちょっとは俺に配慮とかないわけ?


 だんだんと頭が覚醒してきた。確か俺、さっきまでやばい男から女の子に助けてもらったんだった。あの2人はどこに消えたんだ。
 トラックに轢かれてから場面転換が多すぎてもーよく分かんくなってきてるんだが。誇れる事じゃないが通知表はほぼオール3、その中にたまに2が紛れているのが常。そんな俺の頭のレベルを侮ってもらっちゃ困る。



 俺の視界全体は、薄い光の膜に包まれていた。その向こう側で見知らぬ美人が涙を浮かべてこっちを見ている。その横にはクールビューティーな男前と周りにメイド服を着た女の人達が複数人立っていた。
 なんだかみんな俺を見ている。


 (まじでこの状況は何?!お願いだから誰か説明してくれ!)


 驚き余って起きあがろうとした・・・・・・が起き上がれない。上半身に力がうまく入れられない。
 ふと俺の右手が視界に入り、じっくり見てみるとクリームパンのようなムチムチおててに変化している。それに加えて、前よりも大幅に腕が縮んでる??

 「あぅ?」

 喋ろうとし声を出してみたはいいものの言葉がうまく出てこない。酒で酔いまくったサラリーマンよりも呂律が回っていない。俺が喋るのと同じタイミングでどこからか赤ん坊の声が聞こえてくるんだが、幻聴が聞超えてるわけじゃないよな?

 

 「今の所体に異変はなさそうだわ・・・」
 「すぐにフィロを呼んで診てもらおう。カミラ、すぐにフィロを連れてこい」
 「かしこまりました」
 「イアちゃん、私達のこと分かるかしら。貴方の父様と母様よ」


 父様母様?誰の?・・・・・・え、もしかして俺の?
 いやいや俺の父さんはどこにでもいる至って平凡なサラリーマンだし、母さんも普通の家庭の専業主婦だったはず。こんな日本人離れした、美形の両親を持った覚えはないんだが。


 「なんだか驚いた顔をしているわね。生まれて早々泣きもしなければ、ずっと眠ってたものしょうがないわよね。本当に目を覚ましてくれて良かったわ」
 「ええ、私共もとても心配しておりましたが、坊ちゃんがお目覚めになられた今、心から安堵しております」


 この場にいるみんながこちらに心の底から慈しむような優しげな目を向けて話す。
 俺を覗き込む美人の綺麗な黄緑色の少し潤んだ瞳をよく見ると、むちむちの赤ちゃんの姿が映っている。俺の方を見ているのだから、それに反射するのは俺以外の姿ではないはずだ。


 (?・・・・・・いやいや、まさか。そんなわけないだろ)



 俺が右手を挙げれば赤ん坊も全く同じタイミングで挙げる。瞬きをしても、口を開けても、手を振ってみても。この赤ちゃん、俺と動きが全く一緒じゃん。極め付けは俺の発する声が全てあうあうと赤ちゃんが発するものだということ。
 これらのことを併せて言えること。
 それは......




 俺、赤ちゃんになってるやないかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!
 

 








しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

藤崎さんに告白したら藤崎くんに告白してた件

三宅スズ
BL
大学3年生の鈴原純(すずはらじゅん)は、同じ学部内ではアイドル的存在でかつ憧れの藤崎葵(ふじさきあおい)に、酒に酔った勢いに任せてLINEで告白をするが、同じ名字の藤崎遥人(ふじさきはると)に告白のメッセージを誤爆してしまう。 誤爆から始まるBL物語。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

あの頃の僕らは、

のあ
BL
親友から逃げるように上京した健人は、幼馴染と親友が結婚したことを知り、大学時代の歪な関係に向き合う決意をするー。

婚約破棄をしようとしたら、パパになりました

ミクリ21
BL
婚約破棄をしようとしたら、パパになった話です。

俺達の関係

すずかけあおい
BL
自分本位な攻め×攻めとの関係に悩む受けです。 〔攻め〕紘一(こういち) 〔受け〕郁也(いくや)

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

青龍将軍の新婚生活

蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。 武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。 そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。 「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」 幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。 中華風政略結婚ラブコメ。 ※他のサイトにも投稿しています。

処理中です...