勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

龍央

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第24話 勇者、馬を止める

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「大丈夫なのかー?」
「なんとかぁぁぁぁぁ……大丈夫ですー! ……ああぁぁぁぁぁぁ……!」

 馬の横に並んで走りながらフランに声を掛けたが、フランからは大丈夫という答え。
 俺から見ると全然大丈夫に見えないんだがな……。
 なにせフランは、馬に乗れていない。
 振り落とされないよう、馬の尻尾に捕まって振られている状態だ。
 ……それでよく落ちないもんだ。

「……まぁ、良いか」
「あぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 フランの事だから、この程度は何とかなるだろう。
 そう考えて、俺は目標の村に向かって走り続ける。
 ……というかこの馬が大丈夫なのか……?
 目が血走っていて、全身から赤いオーラのような魔力が出ている。
 確かに元気にはなってるが……アルベーリは一体どんな魔法を掛けたんだ……。

「……ここか」
「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……」

 日も高くなった頃合いで、村へと到着。
 フランは地面にへたり込んで息を整えている。
 良く振り落とされずにここまで来たもんだ、と感心するな。

「ぜぇ……はぁ……荒っぽい止め方は勘弁ですよ、カーライルさん」
「あれしか止め方が思い付かなかったからな」

 目が血走ってる馬は、一切止まる気配が無かった。
 しかも、制御しないといけないはずのフランが尻尾に捕まってるので精一杯なのだ、止めようにも止められない。
 仕方なく、俺が前方に魔法の盾を出してぶつける事で止めさせた。
 馬の方は大丈夫か心配になったが、衝撃で気を失った以外は何事も無さそうだ。

「柔らかい盾とかできなかったんですか?」
「それだと突き抜けてしまうだろうが」

 フランと言い合いながら、気絶してる馬を木に繋いで逃げないようにして、村へと向かう。

「ようこそおいで下さいましただぁ。あたしゃここの村長ですだぁ」
「フランです。それで、鏡の魔物は?」
「はぁ、鏡ぃ? 何言ってるだ、このむすめんこはよぉ」
「この近くで魔物が出ると聞きましたが?」
「おぉ、こりゃ若くてイクメン? な、むすこんこやねぇ」

 村に着いた俺達は、早速村長の家を訪ねて鏡の魔物の事を聞こうとしたのだが、よぼよぼの婆さんが出て来て要領を得ない。
 ……イクメンは育児をする父親の事で、言いたかったのはイケメンだろうな……。

「だぁ! お婆ちゃん、この近くで出る魔物の事です! いるんでしょ、早く出して下さい!」

 痺れを切らしたフランがお婆さんに怒鳴るように言うが、出そうと思って出せるものじゃないだろうに。

「鏡の魔物ぉ? おぉ、おぉ、バックミラーの事ですなぁ」

 魔物の名前はバックミラーと言うのか……跳ね返すからバックなのだろうが、どこぞに付いてる物のように聞こえるな。

「そう、そうです。そのバックミラーはどこにいるんですか?」
「バックミラーはのぉ……魔法をのぉ……厄介な魔物じゃてぇ……」

 怒鳴りながらも、フランが根気強く聞き出した話によると、そのバックミラーと言う鏡の魔物は村の裏に集まってるらしい。
 村人は、家の中まで入り込まれないよう、戸締りに気を付けて、魔法も気軽に使えない状況との事だ。
 この国で生活するのに、魔法が気軽に使えなくなるのは不便だろうに。

「あそこか……」
「そうみたいですね……はぁ……」

 お婆さんから話を聞くのに疲れた様子のフランが、溜め息を吐きながらついて来る。
 まぁ、話しを聞くだけで結構な時間が取られたからな、溜め息が出るのも仕方ない。

「……小さいんだな」
「そうですね。大きさは掌より少し大きいくらいでしょうか」

 村の裏、そこには予想より小さい鏡が無数に集まっていた。
 大きさは掌より少し大きいくらいで、形は丸くて手鏡のようだ。
 俺の膝から腰くらいまで浮いているのもいれば、地面に落ちているのもいる。
 地面に落ちているのは微動だにしないから、死んでいるのかと思ったが、鏡部分の上に付いてる一つ目がキョロキョロ動いているから生きてはいるんだろう。
 100や200じゃきかなさそうな数が集まって、ギョロギョロと目を動かしているのが正直気持ち悪いな……。


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