24 / 84
第24話 勇者、馬を止める
しおりを挟む「大丈夫なのかー?」
「なんとかぁぁぁぁぁ……大丈夫ですー! ……ああぁぁぁぁぁぁ……!」
馬の横に並んで走りながらフランに声を掛けたが、フランからは大丈夫という答え。
俺から見ると全然大丈夫に見えないんだがな……。
なにせフランは、馬に乗れていない。
振り落とされないよう、馬の尻尾に捕まって振られている状態だ。
……それでよく落ちないもんだ。
「……まぁ、良いか」
「あぁぁぁぁぁぁぁ……!」
フランの事だから、この程度は何とかなるだろう。
そう考えて、俺は目標の村に向かって走り続ける。
……というかこの馬が大丈夫なのか……?
目が血走っていて、全身から赤いオーラのような魔力が出ている。
確かに元気にはなってるが……アルベーリは一体どんな魔法を掛けたんだ……。
「……ここか」
「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……」
日も高くなった頃合いで、村へと到着。
フランは地面にへたり込んで息を整えている。
良く振り落とされずにここまで来たもんだ、と感心するな。
「ぜぇ……はぁ……荒っぽい止め方は勘弁ですよ、カーライルさん」
「あれしか止め方が思い付かなかったからな」
目が血走ってる馬は、一切止まる気配が無かった。
しかも、制御しないといけないはずのフランが尻尾に捕まってるので精一杯なのだ、止めようにも止められない。
仕方なく、俺が前方に魔法の盾を出してぶつける事で止めさせた。
馬の方は大丈夫か心配になったが、衝撃で気を失った以外は何事も無さそうだ。
「柔らかい盾とかできなかったんですか?」
「それだと突き抜けてしまうだろうが」
フランと言い合いながら、気絶してる馬を木に繋いで逃げないようにして、村へと向かう。
「ようこそおいで下さいましただぁ。あたしゃここの村長ですだぁ」
「フランです。それで、鏡の魔物は?」
「はぁ、鏡ぃ? 何言ってるだ、このむすめんこはよぉ」
「この近くで魔物が出ると聞きましたが?」
「おぉ、こりゃ若くてイクメン? な、むすこんこやねぇ」
村に着いた俺達は、早速村長の家を訪ねて鏡の魔物の事を聞こうとしたのだが、よぼよぼの婆さんが出て来て要領を得ない。
……イクメンは育児をする父親の事で、言いたかったのはイケメンだろうな……。
「だぁ! お婆ちゃん、この近くで出る魔物の事です! いるんでしょ、早く出して下さい!」
痺れを切らしたフランがお婆さんに怒鳴るように言うが、出そうと思って出せるものじゃないだろうに。
「鏡の魔物ぉ? おぉ、おぉ、バックミラーの事ですなぁ」
魔物の名前はバックミラーと言うのか……跳ね返すからバックなのだろうが、どこぞに付いてる物のように聞こえるな。
「そう、そうです。そのバックミラーはどこにいるんですか?」
「バックミラーはのぉ……魔法をのぉ……厄介な魔物じゃてぇ……」
怒鳴りながらも、フランが根気強く聞き出した話によると、そのバックミラーと言う鏡の魔物は村の裏に集まってるらしい。
村人は、家の中まで入り込まれないよう、戸締りに気を付けて、魔法も気軽に使えない状況との事だ。
この国で生活するのに、魔法が気軽に使えなくなるのは不便だろうに。
「あそこか……」
「そうみたいですね……はぁ……」
お婆さんから話を聞くのに疲れた様子のフランが、溜め息を吐きながらついて来る。
まぁ、話しを聞くだけで結構な時間が取られたからな、溜め息が出るのも仕方ない。
「……小さいんだな」
「そうですね。大きさは掌より少し大きいくらいでしょうか」
村の裏、そこには予想より小さい鏡が無数に集まっていた。
大きさは掌より少し大きいくらいで、形は丸くて手鏡のようだ。
俺の膝から腰くらいまで浮いているのもいれば、地面に落ちているのもいる。
地面に落ちているのは微動だにしないから、死んでいるのかと思ったが、鏡部分の上に付いてる一つ目がキョロキョロ動いているから生きてはいるんだろう。
100や200じゃきかなさそうな数が集まって、ギョロギョロと目を動かしているのが正直気持ち悪いな……。
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる