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第29話 捕らわれの元勇者パーティマイア抜き
しおりを挟むカーライル達が王城に帰り着いた頃、ロラント王国の王城では、国王の前にルイン達三名が連れて来られていた。
縄でぐるぐる巻きにされているのは相変わらずだ。
謁見の間にて、国王エヴェル・フォン・ロラント21世が玉座より、縛られたまま転がされた三人を見下ろしている。
「ルインよ……そなたの罪、わかっておろうな?」
「こ、国王様……お言葉ですが……私ルインは本物の勇者であり、この扱いはあまりにも……」
「黙れ! この期に及んでまだそんな世迷い事を申すのか、この痴れ者が!」
国王の前では、さすがのルインも畏まった物言いではあるが、自分が勇者であるという主張は変えない。
臣下の手前、怒りを抑えて尊大に振舞おうとしていたロラント王だが、変わらぬルインの態度に刺激され、怒声を浴びせた。
「しかし国王様……」
「口答えをするでない! そなたは勇者では無いのだ! 勇者はカーライルである。私もそれを確認しておるのだ! それをそなたは……」
「……カーライル……カーライルカーライルカーライル……カーライルゥゥゥゥ!」
「な、なんだ?」
「どうしたのルイン?」
「国王様の前で……気でも触れたか?」
エヴェル21世がカーライルの名前を口にした途端、畏まっていたルインの様子が一変した。
狂ったようにカーライルの名前を連呼しているルイン。
それを見て、ロラント王や、同じく縛られて転がされていたミオリムやムオルナも動揺しているようだ。
謁見の間に、ルインの叫びが響き渡る。
「どいつもこいつもカーライル! あいつがなんだってんだ! 罰せられるべきなのは偽物の勇者であるあいつの方だろうが!」
名前を連呼する状況が終わった次の瞬間、ルインはカーライルへの恨みのような物を吐き出し始めた。
それを聞いて、謁見の間にいる者達は唖然としている。
「大体あいつが何をやったってんだ! たまたま能力があっただけで勇者扱いってか? それで称えられて良い気になってるあいつが目障りなんだよ! 本当の勇者は俺なのによぉ! あの偽勇者がぁ!」
「……ルイン……何を言っているの? ルインは戦士でしょ?」
「カーライルが勇者だった事は事実だ。それなのに何故勇者などと……」
「こやつ……どうしたというのだ……」
「鎮まれ! 王の御前であるぞ!……ぐっ!」
喚き、叫ぶルインを見て、ミオリムもムオルナも声を掛けるが、それに聞く耳を持つ様子は無い。
それどころか、さらに取り乱す始末。
それを見るロラント王は及び腰だ。
国王の面前で取り乱し始めたルインを、近衛兵が押さえて止めようとするが効果は無い。
口を押さえようとする手を噛み、近衛兵から逃れようとするルイン。
「離せ! 俺は勇者だぞ! こんな扱いをされる謂れはねぇ! これはカーライルの役目だろう! とっととあいつを捕まえて来いよ!」
「こいつ!」
「黙れ!」
「……んー!……んー!」
一人では対処できなかったルインだが、数人でついに取り押さえられた。
口には猿轡をされ、さらに近衛兵が上から押さえているため、もう喋ることはできない。
辛うじて鼻で呼吸ができるくらいだ。
「ふぅ……ようやく静かになったか……おい!」
「はっ!」
「こやつらを連れて行け。申し開きの必要すら無い!」
「畏まりました……」
ロラント王が、控えていた近衛兵に連れて行くように命令を下し、ルイン達三人は謁見の間から連れて行かれた。
静かになった場所で、そこに残ったロラント王が一人、誰にも聞こえない声で呟いた。
「カーライルが偽物だと……? 何を馬鹿な事を……。私はこの目で確認したのだぞ? ルインが勇者であるわけが無い……まさかな……」
その呟きを聞く者は誰もいなかったが、その言葉にはルインの叫びに対する疑惑が湧き上がって来ていた……。
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