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第55話 勇者、人を担いで爆走する
しおりを挟む「生きたままじゃないと、いけないのか?」
「死んでしまうと、すぐに触媒としての効果が無くなってしまうのだ。危険な事だが、高価な物だからな。定期的に、サラマンダーへと挑んで一攫千金を狙う者がいるのだが……ほとんど返り討ちだ」
「やっぱり危ないな。まぁ、だからこそ高価にもなるんだろうが……それじゃあ、俺達はそのサラマンダーから、食べようとする卵を守れば良いんだな」
「そうだ。卵の状態で1日経てば、中で成長してサラマンダーも食べなくなるからな」
「わかった」
卵の中で、ある程度成長するまで待てば良いんだな。
しかし、何故卵から出て来て無いのに、それだけで食べなくなるのだろうか……アルベーリに聞いたが、その理由はわからないらしい。
俺はフランを連れて、一緒に行きたいと言って、無理矢理ついて来たリィムとマイアも一緒に、城下町の外へと向かった。
「さて、フランはいつもの馬として……リィムとマイアはどうするか……?」
「カーライルは馬に乗らないの?」
「歩いて行くなの?」
「俺に馬は必要ないな。歩いて行くと、数日じゃ辿り着けない場所だぞ、マイア」
「ならどうするの? まさか、走って行くなんて言わないわよね?」
「そのまさかだ」
「「は?」」
俺の言葉に、リィムとマイアは驚いている。
考えてみれば、一緒にいた時に走って移動する事は無かったな……。
まぁ、それはともかく、二人の移動手段だ。
「私の馬に一緒に乗せましょうか?」
「その馬に三人はきついだろう? しかもその馬、あれだしな……そんなのに二人を乗せるのは……」
フランが二人を乗せるかと言っているが、そんな血走った眼をして暴走する馬に乗せるのは、二人がかわいそうだ。
丈夫なフランだから乗れるわけだしな。
「そうだな……こうするか……よっ!」
「きゃあ!」
「ひゃなのよ!」
「あぁぁぁ! カーライルさん、それはずるいです!」
「何がずるいんだ。お前は俺に抱えられるのが嫌なんだろ? だったらその馬で付いて来い!」
二人を左右の肩それぞれ担いで走り始める。
速度にか、それともいきなり抱えられた事に驚いたのか、二人共悲鳴を上げているが、それに構わず走り始めた。
後ろで叫んでいるフランは、俺に何か叫びながら馬を走らせ始めるが、すぐに勢いに負けて尻尾に掴まる恰好になった。
いつも思うが、それを改善しようとは思わないのか?
「何これ! 走ってるの!?」
「速いなのよー」
「今まで見せた事が無かったから、知らなくても無理は無いが……やろうと思えば馬よりも速く走れるぞ?」
肩に担いだ二人が驚いてるので、一応説明しておいた。
「着いたな。ここがサラマンダーのいる火山か……よっと」
火山の入り口で、担いでいたリィムとマイアを降ろす。
王城から走る事半日、今回はいつもより距離があったので結構な時間走っていたな。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
フランの方は、長い事馬の尻尾に掴まってたので、息を整えるのに苦労してるみたいだ。
いつも思うが、馬の方の尻尾は大丈夫なのか……?
当然今回も、馬は俺の盾魔法で止めたので、気絶している。
「リィム、手伝ってくれ。馬を繋ぐ」
「……わかったわ。けど、カーライルがこんな移動の仕方をするなんて……」
「まぁ、今までお前達の前で、走って移動する事は無かったからな」
「こんな移動ができるなんて、初めて知ったなのよ」
「結構便利だぞ? おかげでロラント王国から魔王国の王城まで、その日のうちに来れたからな」
「便利って言われても……そんな事ができるのはカーライルだけでしょ」
「そうか?」
「本物の勇者って反則なのよ。ルインのような偽物とは違うのよ」
「……そう言えば、聞いてなかったが……ルインはどうした? 何でリィムとマイアが一緒にいるんだ?」
「ここまで連れて来てから聞く事なの?」
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