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第67話 勇者、次の仕事を聞く
しおりを挟む「何でドラゴンが草原なんかにいやがんだよ、おぉ!?」
「急にどうした、落ち着け」
「これが落ち着いていられるかってんだ! ドラゴンだぞ!? 最強種とも言われる魔物だ。そんなもんが気軽に草原にいるわけねぇだろ! どうなってんだ魔王国!」
ドラゴンは、サラマンダーにも通じる性質なのだが、山の中や洞窟の奥を好んで生息する。
種類によってまちまちだが、好戦的なドラゴンが住む山や洞窟に足を踏み入れた人間は、生きて帰ることができないだろうと言われ、その場所には誰も近付かなくなる。
それが何で草原なんかにいるのか……変な魔物の多い魔王国だが、町や村から多少離れてるとは言え、俺が走るのと同じような速度で飛ぶ事のできるドラゴンが草原にいれば、距離なんてあまり関係ないはずだ。
「それでも、実際に草原にドラゴンがいるのが魔王国だ。そなたは勇者、勝てぬ相手ではなかろう?」
「そりゃ……勝てるけどな……」
「勇者がドラゴンに挑む……素晴らしい英雄譚ではないか。後世に語り継がれるぞ?」
「英雄譚になんかで語られたくねぇよ」
昔からあるおとぎ話で、ドラゴンを退治する英雄の話というのはよく語られてる事だ。
ロラント王国では、唯一勇者のみが討伐可能だと言われている。
まぁ、力の規模が人間とは比べ物にならないからな、勇者でもないと勝てるわけが無いのは当然だろう。
「面倒くせぇ……」
「だが、行ってもらわなければならん。そうしなければ、魔王国が困るからな」
「そりゃドラゴンなんていたら、困るだろうよ。で、退治して来ればいいのか?」
「いや、退治はしなくても良い。話し相手になって欲しいのだ」
「は? 話し相手? ドラゴンが?」
「うむ」
ドラゴンを退治するのではなく、話し相手になれと言うアルベーリ。
……また変な仕事だな、おい。
ドラゴンが話をする事に不思議はない。
中には、人の言葉を理解して使用するドラゴンもいる、という話は聞いたことがある。
まぁ、サラマンダーだけじゃなく、ブリザードが喋るくらいだ……ドラゴンが話をしても驚きは無いだろう。
「話し相手になるだけなら、俺じゃなくても良いんじゃないか?」
「それがな……そのドラゴンなんだが、変り者でな……」
「話し相手を欲しがる時点で、変り者なのはわかるが……」
「話し相手に対して、腕試しをするのだ」
「腕試し……ドラゴンが? 何のために?」
「なんでも、実力の見合う相手でないと、話す気が無いそうだ。そこらの魔族を向かわせてみたんだが……全て返り討ちにあってな……」
「そりゃそうだろ。ドラゴンの腕試しだろ? 多少は手加減してるとしても、その攻撃に耐えられる奴なんて早々いねぇよ」
「うむ。それで多くの者が死んでな……しかし、討伐するよりも話し相手を用意した方が良いのは事実なのだ。草原を守ってくれているからな」
「迷惑なドラゴンだ……」
話し相手は欲しいが、腕試しをして駄目だったら却下する。
耐えれるような人物を用意するのも苦労するが、討伐しようとしたらもっと被害が出るのは、簡単に予想ができる。
草原をどう守ってるのかは知らないが……他に迷惑を掛けないのなら、話し相手を用意しておいた方が国としては楽だという事だろう。
ちょうど、俺という勇者がここにいるしな。
「はぁ……面倒だが、他にやれる奴もいなさそうだしな……受けるしかないか」
「うむ。そうしてくれると助かる」
「城下町を出たら、西に真っ直ぐ行ってレロンの町を経由。そこから北に行けばいいんだな?」
「そうだ。レロンから北に進めば草原がある。その広大な草原のどこかにいるはずだ」
草原までの道のりを簡単に確認する。
複雑な道じゃないから、迷う事は無さそうだ。
草原だと見晴らしが良いだろうから、ドラゴンの大きさなら見逃す事も無いだろうしな。
と言うか、レロンの町の名前をちゃんと言えるんじゃねぇか。
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