324 / 1,955
妙な集団を魔法探査で発見
しおりを挟む「それでは、出立致します。街への到着予定は日が沈み切る直前となっております」
「はい、わかりました。お願いします」
「お願いなのー」
御者台でマルクスさんが予定を俺達に伝え、馬車を走らせる。
ちゃんと、昼食後の後始末はして焚き火の火は消してからの出発だ。
立つ鳥跡を濁さず、だね。
旅をよくする冒険者にとって、大事な心得だ。
「んー、大分慣れてきたかな?」
「魔法探査?」
「うん。ずっと使って集中してるからね。前よりも、反応があったところへの距離とか、反応が何者なのかがはっきりわかるようになったよ」
「本当、リクさんのおかげで警戒する必要もなくて、便利ね。……普通は、旅をすると魔物の襲撃に備えて警戒する事も必要なのだけれど……」
「まぁ、油断はし過ぎない方が良いとは思うけど……できるだけ楽に移動したいしね。けど、俺が寝てる時はさすがにできないから……」
「それくらいはね、仕方ないわ。だから、野宿する時に交代で見張りを立てるんだし。それくらいはしなきゃね」
馬車に揺られながら、魔法探査を使って周囲の反応を窺いつつ、モニカさんと話す。
モニカさんへ言ったように、以前よりも距離感とか、反応があった生き物がどんな存在なのかをはっきり感じられるようになった。
何回も使ってるし、慣れて来たというのもあるんだろうけど、情報を精査しようと集中しているおかげもあるかもしれない。
とは言え、移動中の馬車からだから、多少の誤差はあるようなんだけどね。
「ん……ん~?」
「どうしたの、リクさん?」
「いや、え~っと……すみません、マルクスさん。馬車を止めてくれますか?」
「はっ!」
魔法探査で、妙な反応があり、詳しく調べるために馬車を止めてもらう。
首を傾げる俺の様子に、モニカさんだけでなくユノや、膝の上で丸くなってたエルサも疑問の目を向けている。
「リク様、どうされましたか?」
馬車を止めて、御者台から俺に聞くマルクスさん。
「えぇっと……この辺りは、子爵邸のある街と、ロータ達がいた村以外に、人が住んでるような場所はありますか?」
「人が住むような場所ですか? ……いえ、そのような場所はないと思いますが……」
「人の反応があったの?」
俺の質問に、急いで地図を取り出して確認するマルクスさん。
それによれば、人が住んでる場所はないそうだ……でもこの反応は……。
「探査魔法の端の方なんですが……街道から随分離れた場所で、複数の人間がいるようなんです」
「街道から離れた場所……方向はどちらですか?」
「えぇと……ここから西……いえ、西南ですかね……」
「西南……街は真っ直ぐ西ですが、それよりも南ですか?」
「はい。多分、街にいる人の反応はまだありませんから、街よりもかなり手前だと思います」
「そうですか……ですが、やはりその辺りに人が住んでいるという事は……無さそうですね」
「そうなんですか?」
「はい。地図によると、そこは平野になっております。多少の木はあるでしょうが、川もなく不便です。街の近くなのに、そんなところに住む利点があまりありません。……農地というには、街から離れ過ぎていますし……」
地図を確認しながら、俺の質問に答えてくれるマルクスさん。
モニカさんも、そんなところに人がいるのだという事の意味を考えているようで、眉間に皺を寄せて考えてくれている。
本来人がいないような場所に複数の反応……。
「リクさん、冒険者とかは? 魔物を討伐しているとか……」
「んー、それも考えられるかもしれないけど、近くに魔物の反応はないんだ」
「なら、薬草を採取する依頼を受けた冒険者? でも、森でもない場所で街から離れた場所の薬草採取なんて、あまり無いか……」
「……もう少し近付いてみますか?」
「そうですね……どちらにせよ、街に向かえば近付く事になるので……お願いします」
「わかりました」
冒険者というのは俺も考えた。
けど、そのわりには人数が多いような気がする。
パーティに人数制限はないけど、大体多くても5、6人くらいというのをソフィーから聞いた事がある。
それを考えると、一つのパーティでは収まらない人数なんだよなぁ。
複数のパーティが一緒に魔物の討伐……とかなら、近くに魔物の反応があってもおかしくないし……もう魔物を倒した後とか、かな?
今考えられる可能性はそのくらいだ。
けど……この反応、魔物を倒した後にしてはあまり動いてないように思える。
休憩中とかの可能性もあるから、否定ができる材料もないんだけどね。
「リク様、どうでしょうか?」
「そうですね……」
あれから数十分くらい街へ馬車で移動し、魔法探査の範囲を西に移した。
そうする事で、端にかろうじて捕らえてた反応も、反応がある周囲の事まで調べられる。
馬車を止めて、探査に意識を集中させてる俺に、マルクスさんが聞く。
モニカさんも、俺の様子を窺ってる。
「マルクスさん、モニカさん。街から離れた場所で、十数人の人間が集まって何かをする事は、何が考えられますか? 魔物は近くにいませんが」
「……大型の魔物を討伐する依頼を、複数のパーティが受けて……協力したり、かしら?」
「何かの軍事行動ですかね。小隊で行動する事で、連携を高める訓練……とかでしょうか」
「ふむ……」
モニカさんは冒険者がと考え、マルクスさんは兵士がと考えてる。
二人共、それぞれ自分の所属と照らし合わせて考えているようだ。
「……何かを集まってしているとして、ほぼ動いていないんですが……その場合は?」
「休んでる? いえ、このくらいの時間なら、さっさと街に引き上げた方がいいわよね……休めばそれだけ帰るのが遅くなるし……」
「訓練で動かず息を潜めるという事はしますが、こんな所でする事ではありませんね……」
「それと……多分ですが、建物の中にいるような反応です……」
「建物?」
「そんな所に建物、てすか?」
何となく、広げた魔力の反応が悪い。
野盗の時もそうだったけど、建物の中だと壁があるからその分反応が悪くなるみたいだ。
木とかなら、生気のような魔力を感じるからわかるんだけど、建物の壁は生きた物じゃないから、わかりづらい。
その分、反応が悪くなる事で、そこに人工物があるんだとわかるんだけどね。
「……怪しい、ですよね?」
「確かに怪しいですね……」
「怪しいわね……」
「怪しいの!」
皆を窺うように呟いた俺の言葉に、マルクスさんやモニカさんは頷いて同意してくれる。
ユノも一緒になって難しい顔をして考えてたけど、笑顔になって怪しいと断定。
ユノ……怪しいと感じたら、笑顔になるのは何か間違ってると思うぞ?
エルサは、最初こそ話を聞いていたけど、今は興味を無くして我関せずだ。
「……行ってみますか?」
「そうですね……森にいた野盗の事もありますから……」
マルクスさんの言葉に頷く。
「こんな見晴らしの良い所で活動する野盗も、珍しいと思うけど……怪しいのは確かね」
「うん。まぁ近付いてみて、何事も無ければ、すぐに街へ向かう事にしよう」
「そうですね。街への方向とずれはあまりないようですし。少し到着が遅れるくらいで済むでしょう」
「行ってみるのー」
怪しい人間の反応を調べてみるために、俺達はそこへ近づく事にした。
途中で街道を外れる事になるだろうけど、ほとんど街の方向と同じだから、大きく遅れる事はないだろうし、そもそも時間が限られてるわけでもないから。
それに、もし何か悪い事をしようとしているのなら、今のうちに何とかしないと街の人や村に被害が出る可能性もある。
さっき考えたように、冒険者や兵士さん達で何も問題がないなら、ちょっとした寄り道程度で済ませられるだろうしね。
相談を終え、再び馬車を走らせてひとまずは街道を進み、俺が反応を確認した場所へと向かう。
それは良いけど、ユノ……何でそんなに嬉しそうなんだ?
11
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる