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子供と見られる人間を探知
しおりを挟む「リク様、奴らの装備ですが……」
「はい、確かに気にかかりますね」
マルクスさんに言われて、見張りをしている人達の装備を確認。
全て見えてるわけじゃないから、何かを隠し持ってるとかはあるかもしれないけど、とりあえずは見える範囲での確認だ。
腰に剣を下げている以外は、目立った特徴がない。
というより、特徴がなさすぎる。
一応剣を持っている……というだけで、鉄や革の鎧を見に付けたりなど、身を守る物を身に付けてない。
それだけ腕が立つと自負している可能性は否定できないけど……こんなところで見張りをするには軽装過ぎる。
街中で普通に歩いていても、誰に見咎められる事も無く、紛れ込めるような恰好だ。
「軽装過ぎます。冒険者や兵士ではないかと」
「そうですね……魔物が来る可能性のある場所で、あんな格好はしませんよね」
冒険者でも兵士でも、ここは街中ではなく魔物がいる平野だ。
魔物や誰かが、近づいて来るのを警戒するための見張りなはずなのに、軽装過ぎる。
街中ではともかく、こんなところで剣一つでいるなんて逆に違和感しかない。
「あ……マルクスさん、すみません。いくつか追加情報です」
「今は些細な情報でも欲しい状況です。なんでしょう?」
「建物の中にいる人間なんですが……奥にいる2人のうち、1人はおそらく子供ですね」
「子供……こんなところに子供が……?」
魔法探査の範囲を狭めて、濃度を濃くしてみた。
そうすると、何となくだが建物の中にいて見えない人達の体格もわかるようになった。
とはいえ、さすがに身長がいくつくらい……程度だけどね。
それでわかったのは、奥にいる2人のうち1人と身長が低すぎるという事。
「恐らくですが、俺のお腹くらいの身長しかありません。今は座っていますが……」
「リク様の体から考えると……確かに子供かもしれませんね」
俺の体に視線を這わせて、大体の大きさを確認したマルクスさん。
俺の身長は、この世界に来る前の学校で行う身体測定で図った時、175センチくらいだったから、そのお腹くらいという事は、大体120センチ前後だろう……誤差はあるだろうけど。
ロータが確かそれと同じくらいだったはずだ。
マルクスさんもロータの大きさを思い出して、子供だろうと結論付けた。
「どうしてこんな所に子供が……?」
「わかりませんね。奥にいる2人……子供ともう1人は、寄り添うようにして座っているようです。子供の方が、時折立ち上がってはいるようですが……」
「……寄り添うように……もしかして、捕らわれている……とは考えられませんか?」
「捕らえられている、ですか?」
「はい。何が目的かはわかりませんが……子供ともう1人……仮に親子としましょう。その親子が捕まってここに捕らわれているのかもしれません」
「……野盗の時と同じように、ですか?」
「あの時は女性達でしたが……今回は親子で……ですが、野盗と考えると装備が不十分に見えるのも、納得できます」
「成る程……」
こいつらは野盗の可能性が高い……と。
奥の2人が野盗達に捕まって、それを逃さないために他の人員は見張りをしている……と考える事もできるか。
野盗なら、身を守る鎧を身に付けてない事も説明できなくもない……という事だね。
ただ、森で襲って来た野盗達が、剣や斧、槍を持っていたのに対し、ここから見える見張り達は全員剣を持っているのが少し気になる。
それに、剣も手入れされていて、ある程度良い物のようにも見える。
「野盗にしては、剣が上等な気がしますが……」
「……確かにそうですね……ですが、どちらにせよまともな集団ではないでしょう」
「そうですね」
野盗にしろ、そうでないにしろ、子供を捕まえているような様子があるんだから、まともな集団ではないのは間違いない。
まぁ、実際に中を見たわけじゃないし、推測できる範囲での結論だけどね。
でも、何となく野盗に捕まっていた女性達と状況が似ている気がする。
あの時は、全員野盗と思ってたから、細かく魔法探査をする事はなく、はっきり同じとは言えないんだけど。
「私が、巡回している見張り2人、リク様が2人……その後入り口の見張り3人を協力して……でどうですか?」
現在の状況の事を考えている間に、マルクスさんから突入する計画を提案された。
もうマルクスさんからすると、ここにいる人間達はまともではなく、捕まえるべき集団と考えてるようだ。
俺も、似たような意見だけどね。
「それだと、中に知られる可能性がありますね……もし本当に親子が捕まっていて、人質に取られたら……」
「確かに……ですが、他に手は……」
「久しぶりに使ってみるかな……」
「何か有効な手立てが?」
小さく呟いた俺の言葉に、マルクスさんが反応する。
俺が思いついたのは、以前にも2回使った事のある魔法。
センテの森で野盗を捕まえる時と、王城で姉さんを助け出す時だ。
「魔法で、見張りと建物内の人間を眠らせます。一応、奥の2人は眠らせないよう範囲には気を付けますが……」
こういう調節はあまりした事がないから、保証がない。
できるだけ、奥にまで魔法が届かないとうに気を付けるようにするしかできないからね。
「そのような魔法が……」
「はい。ただ……」
「何か?」
「いえ、俺の近場から発生して、空気で流れて行くので……しばらく呼吸に気を付けて下さい。エルサもだぞ?」
「……わかりました」
「わかったのだわ。また寝ないように気を付けるのだわ。……リクにしては、平和的な解決法なのだわ」
眠らせる魔法……スリープクラウドは、その名前のイメージ通り眠らせる雲や霧のようなものが、空気を伝わり吸い込む事で寝る魔法だ。
マルクスさんはあまりよくわからないながらも、注意するように顔を引き締めた。
エルサにも注意したけど、逆に失礼な呟きを返された。
……俺、今ままでできるだけ平和的に解決して来たつもりなんだけどなぁ?
野盗のボスの事は考えない事にする。
エルサからすると、俺は魔法をぶっ放して、周囲に何かしらの被害や爪痕を残すような人間に見えてるのかもしれない。
……気を付けよう。
「では、使いますね……スリープクラウド」
「ん……」
「だわ……」
魔法を使うために集中し、眠りの霧を発生させるイメージを浮かべる。
俺が魔法名を呟くあたりで、マルクスさんとエルサは自分の手で、口を塞いで吸い込まないようにしていた。
エルサは、何となく頭にくっ付いて動いてる感覚から、そうだと思っただけだけどな。
「……もう大丈夫です。霧は全て向こうへ流れて行きましたから」
「はい」
「……だわぁ……だわぁ……」
「やっぱり寝るのか……」
魔法で霧が発生し、ゆっくりと流れて建物の方へ向かうのを見送り、自分達の周囲には無くなった事を確認してから、マルクスさんとエルサに伝える。
マルクスさんはしっかり息を止めてたのか、ちゃんと起きててくれるけど……エルサは……うん、考えないようにしておこう。
寝ててもがっしりくっ付いてるから、俺の頭から落ちる事も無いようだし、何で吸い込んだのかとか、気にするだけ損だね……はぁ。
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