392 / 1,955
アルネは男性エルフです
しおりを挟む「アルネさんは、男性……なのですか?」
「む? いや、見てわかるだろう?」
「いえ……すみません、フィリーナさんと同じ女性だとばかり……」
「……くっ」
「うふふふ、レナちゃん。アルネはれっきとした男で、私の兄よ?」
「兄妹……だったんですね。似ている雰囲気がありましたので、姉妹とばかり。……すみません!」
どうやらアルネは、レナには女性として見えていたようだ。
確かに、フィリーナと似た雰囲気があって、美形で線が細いから、女性に見えなくもない。
髪も、背中に届きそうなくらいの長さをしているからね。
うん、言われてみると確かに女性に見える。
フィリーナと似ているのは兄妹だからだし、美形なのはエルフ特有なんだけどね。
体を鍛えていないから、細身なのもそう見られる原因か……フィリーナもそうだしね。
レナはアルネが男性とわかって、全力で謝る。
俺の後ろでは、メイさんが驚いてる気配もするね……貴女もか!
ちなみに、がっくりとしたアルネに対し、遠慮なしに笑ってるフィリーナと同じく、俺も笑いを堪えてる。
さすがに、俺まで笑うのはかわいそうだしね。
「まぁ、人間から見ると、そう見られる事もあるのかもしれんな」
「そうねぇ。それに、こんな小さい子だから、見間違えるのも仕方ないんじゃない? えっと、いくつだったっけ?」
「十一歳になりました! フィリーナさん達はいくつなんですか?」
「それくらいなら子供の考える事と思って、許してあげなさいよ、アルネ? ――私は……年齢の事は内緒よ?」
「さすがに怒ったりはしないから、安心してくれ。ともあれ十一歳か……大人と子供、というには年月の差が激しいな。人間とエルフ、わかってはいた事だが。あぁ、俺は三百十六歳だ」
「三百十六歳ですかぁ!?」
「っ!」
年齢を聞いたレナは驚くよりも、年齢としてよくわからない数字だったらしく、首を傾げてる。
それはいいんだけど、何故かアルネの年齢を聞いて、俺の後ろにいたメイさんが叫んだ。
いきなりの事で驚いたし……距離が近かったから、ちょっと耳が痛い。
しかしフィリーナ、自分から年齢の話にしてレナに聞いたのに、自分は内緒で済まるのはどうなんだろう?
はっきりとはわからないけど、エヴァルトさんやアルネと話した事で、なんとなく想像できる。
まぁ、女性に年齢の話はデリケートだし、あまり知られたくない気持ちもわからなくもないけどね……。
「どうしたら、そんなご高齢なのに……失礼しました。えっと、見る限り若く見えますが……」
「ははっ、まぁそこらは人間とエルフの違いだな。あまり気にしていないから、大丈夫だ。だが……どうしたらと聞かれると困るな……」
「エルフの年齢と、人間の年齢の差は、あまり気にしない方がいいんじゃないかしら? ほら、寿命がそもそも違うんだし……」
「そうなのですか?」
「それは、確かに……」
数字だけだと、確かにメイさんの言うように高齢と思えるけど、そもそもの寿命や年齢への感覚が違うから、人間と比べて考えるのは間違いなんだろうね。
年齢の部分は数字が大きくて実感がない代わりに、寿命が……という部分でレナも興味を持ったようだ。
まだ子供だから、年齢とかよりも、人間とエルフの違いの方が興味を持ちやすいのかもね。
それにしても、メイさんの食いつきは凄いね……何か、年齢に対して思う事があるのかもしれない。
そういえば、メイさんは何歳なんだろう?
見た感じだと、二十代に見えるけど……こういう事を気にしてる女性に聞くのは、危険そうだから、止めておこう。
「人間とエルフの寿命の差は……十倍から十五倍になるのだったな。なので、私は人間で考えると、二十代と言えるかもな」
十倍から二十倍……そんなに差があったんだ。
人間が百歳まで生きるとしたら、エルフは千から千五百歳まで生きる……ものすごい長生きだ。
あ、いや……この世界の人間が、どれくらい生きるかわからないな。
日本でも平均寿命は百歳じゃないし……詳しくないけど、医療が発達していないように思うから、五十歳が平均とすると、五百から七百五十歳か……それでも十分過ぎる程長いね。
平均して考えて計算すると、大体アルネが二十代前半から後半くらいで……フィリーナは……まぁ、計算するのは止めておこう。
とにかく、人間で例えるとそこまで俺達と年齢が離れていない……という事だね。
「寿命の差で考えると、確かに珍しいとは言えないのは確かですが……それにしても数百年、若さを維持できるというのは……」
「エルフってすごく長生きなんですねぇ……」
メイさんは寿命の差で納得しつつも、長年若さを保つという部分にひっかかり、レナはただただ長く生きる事に感心しているようだ。
ここで俺が発言して話に混ざると、フィリーナあたりに睨まれそうな事を言いそうなので、少しだけ距離を取る。
とは言え、同じ部屋の同じソファーに座ってるから、あまり離れてないけど。
メイさんのお尻から、ようやく俺の頭に戻って来たエルサを相手に、モフモフしつつ話を聞き流しておこう。
あ、ヒルダさんがいるから、話し相手になってもらおうかな……?
と思ったけど、無理そうだ。
いつも静かに佇んで待機している場所より、フィリーナ達に近付いており、皆の話を聞く事に集中してたから……。
やっぱり、女性にとって年齢や若さの話は、大きな関心なんだろうなぁ……。
なんて、少々肩身が狭く感じながら、エルサを撫でてゆっくりしていた。
「ただいま。帰ったわよ、リクさん」
「帰ったのー。お腹減ったのー」
「お帰り。町の方はどうだった?」
「言われていた通り、問題無かったな。私達をい見ても、特に何も大きな反応はなかったぞ。まぁ、中には顔を覚えていて、指を差してくる者がいたくらいだな」
夕食前くらいの時間になると、モニカさんとソフィー、ユノが部屋へと戻って来た。
三人を迎えつつ、町に出てどうだったかを聞く。
ソフィーによると、特に問題はなかったらしい。
指を差されるくらいはあったみたいだけど、以前の人が集まって来る事に比べたら、全然マシだね……失礼だとは思うけど。
いいなぁ、俺も町に出て色々見て回りたい……。
「冒険者ギルドへの報告も、終わらせて来たわ。ロータの事や、オシグ村の事も含めてね。あっちの方は、既に依頼報告は終わってるけど、事情を知る人には詳しく説明しておいたから」
「ありがとう、モニカさん」
事情を知る人というのは、マティルデさんやミルダさんの事だろう。
依頼の達成報告はしても、ロータや村がどうなったのかは、ちゃんと説明しないとね。
ミルダさんには、ロータのお世話もしてもらってたし……ちょっと危険な香りもしたけど。
「それじゃ、報酬を……」
「あっちは、何を話しているんだ?」
「あぁ、あれは……」
モニカさんが、依頼報告で受け取った報酬が入っているであろう革袋を取り出す。
この場で、皆と分けるんだね……報酬は、さっさと分けないと後でもめる原因になるからと、受け取ったらできるだけ早く分けるようにしてる。
まぁ、モニカさんやソフィーさんが、多少の事で問題にするとは思えないけど、お金の事はしっかりしておかないとね。
冒険者や、パーティとしての鉄則だ。
11
あなたにおすすめの小説
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる