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祖父への連絡は孫にお任せ
しおりを挟む「いえ陛下、祖父には私から。こちらの近況も含めて連絡をする必要があるので。それに、リクの事やハウス栽培? の事も伝えるように致します」
「そう、わかったわ。それじゃあお願いね。できるだけ早く!」
「姉さん……そんなに急かさなくても……。あ、エフライム、俺と姉さんの事は……」
「もちろん、伝えないでおき……おくさ。信じてもらえるかという事より、これは多くの人に知られない方がいいだろう?」
「そうね。何か変な考えを起こす人がいても面倒だしね。あ、クレメン子爵がそう考えるとは思っていないわよ?」
「はい、陛下の考えはわかるので、大丈夫です。お爺様には、陛下とリクが親しい程度くらいにしておきます」
姉さんがヒルダさんに言って、伝令の用意を始めようとしていたのを、エフライムが止めた。
レナもこの王城……というか、今俺の隣で夕食を頂いているし、色々と報告する事があるんだろう。
それも含めて、エフライムが自分で報告するつもりみたいだ。
姉さんに任せたら、エフライムやレナの事には触れず、ただ鉱石の話を求める伝令になりそうだからね。
それと、エフライムは俺と姉さんの関係については、ただ親しいとだけにしてくれるみたいだ。
姉さんが言うような、変な考えをクレメン子爵はしないだろうけど、多くの人に知られない方がいいというのは同感。
人の口には戸が立てられないというし、どこから漏れるかわからないものだからね。
俺はまだしも、姉さんは女王様だから困るような事があったらいけない。
「あ、そうそう。クレメン子爵にも聞くけど、りっくんはフィリーナ達にも聞いておいてね?」
「フィリーナ達にも?」
「えぇ。魔法に関しては、人間よりもエルフの方が知識が多い事が多いのは間違いないわ。だったら、もしかすると有効な手立てや、エフライムの言う鉱石の事も知っているかもしれないからね」
「確かにそうだね。うん、わかった。……今日はさすがに聞けないと思うけど、明日にでも聞いておくよ」
「お願いね」
フィリーナとアルネなら、もしかすると何か重要な知識を持っているかもしれない。
それこそ、俺の魔力を蓄積する事のできる物の事を、知っていてもおかしくないよね。
さすがに今日は、研究モードに入って文献を漁ってるみたいだし、邪魔をするのは悪いから、明日にでも話をして聞いてみよう。
「それと、さっきも話したけど……冒険者ギルドのギルドマスターが来てたわよ? りっくんを訪ねて来ていたみたいね」
「え? さらっと話してたから、姉さんとかに用があって来たものだと思ってたけど、俺だったの?」
「そうよ。りっくん、ギルドに何も言わずにヘルサルへ行ったでしょう? まぁ、エルサちゃんが暴走しそうだったから、仕方ないと思うけど……それで、最近りっくんが冒険者ギルドに来ていないと気にして、訪ねて来たみたいなの。まぁ多分、りっくんに任せたい依頼があったのかもしれないわね。緊急性はないみたいだから、暇な時にでも行ってみるといいんじゃないかしら?」
「そうだね、わかったよ。ありがとう姉さん」
マティルデさんは、国に対するようで王城に来たと思ってたんだけど、違ったみたいだ。
俺に依頼を頼もうとしたのかな? さすがに、顔を見に来ただけという事はないと思うけど……忙しい人だし。
何も言わずにヘルサルへ行ったのは、エルサが急かしていたからも大きいけど……誰かに伝言なり頼めば良かったね。
明日からはエアラハールさんからの訓練もあるし、アルネとフィリーナに話を聞いてみないといけないから……ちょっと無理そうだ。
でもまぁ、近いうちに様子見がてら冒険者ギルドに行ってみようと思う。
ヘルサルでは突発的に依頼をこなしたけど、訓練をする間ずっと依頼を受けないというわけにもいかない。
俺もモニカさんもソフィーも、冒険者なんだから依頼をこなすのは普通だし、エアラハールさんも元冒険者だから、その辺りはわかっていると思う。
しばらくは、訓練と依頼で忙しくなりそうだなぁ……あ、アルネ達とも魔法に関する話をしないといけないか。
なんて事を考えながら、姉さんにお礼を言った。
「お礼は、対応をしたヒルダにね。りっくんのお世話係専任のようになってるから、基本的に王城へりっくんを訪ねて来た人は、ヒルダが対応しているわ」
「そうなんだ。ありがとうございます、ヒルダさん。色々と手間をかけさせてるみたいで……」
「いえ、リク様が王城にいる限りは、私の仕事と心得ております。これからも何かあればご用命ください」
「……元々は、私の侍女だったのに……りっくんに取られちゃったわ」
「今でも、姉さんが仕事をサボったら、注意したりもしてくれるみたいだし、俺が取ったとはいえないんじゃない?」
「前言撤回。りっくん、ヒルダを取っちゃって構わないわよ」
「……リク様だけでなく陛下の事も、お世話させて頂きます」
「いい侍女を持ったね、姉さん?」
「有能過ぎるのも、考えものだわ……」
なんというか、ヒルダさんが有能でこれから先も色々とお世話になってしまいそうだ。
姉さんもたまには息抜きをするくらいは構わないと思うけど、仕事が滞ってしまうようなら、ヒルダさんに注意された方がいいだろう。
女王様の仕事だから、他に誰かが変わってやるわけにもいかないし、国全体にかかわる事だからね。
数年後には俺も姉さんも、ヒルダさんに頭が上がらなくなっていそうだな……なんていう予想をしながら、苦笑する姉さんに俺も苦笑を返した。
――――――――――――――――――――
「ふぁ~……」
「だわ~……」
「おはようございます、リク様」
「ヒルダさん、おはようございます。……今日は部屋に来るのが早いですね?」
翌朝、目が覚めて体を起こし、エルサと共鳴したかのように、同時にあくびをしながらベッドから降りる。
それと同時に、部屋にいたヒルダさんから挨拶をされたのに返しつつ、首を傾げた。
いつもなら、気配を感じるのか物音を聞いたからなのか、俺が朝の支度を終えた頃に部屋へ来るんだけど……。
ん、何か不自然に壁を背にしてるね……どうしたんだろう?
「リク様にお客様が参られていましたので、ご案内させて頂いておりました。寝ている間に部屋へ入った事、申し訳ありません」
「あーいえいえ、それは全然いいんですよ。お世話になっているんですから、それくらいは。……それで、お客様というのは……やっぱり?」
俺が寝ている間に部屋へ入った事を謝罪するヒルダさん。
色々お世話をしてくれてるし、特に俺へ何かするわけでもないので、寝ている時に部屋へ入るのは全然構わないんだけどね……むしろありがたい。
ヒルダさんに気にしないでと手を振りながら、通したお客様が座っていると思われるソファーへと顔を向ける。
そちらには、ベッドに背を向けて座っている男性の背中……ソファー越しだからはっきりとはわからないけど、ヒルダさんが不自然に壁を背にしている事といい、起きてすぐエルサがジト目をしている事といい、間違いなくあの人だよね……。
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