598 / 1,955
エクスブロジオンオーガの違い
しおりを挟む「ふっ! ……ん?」
「ギギィ!」
「ギィ! ギィ!」
ある程度慣れてきたもので、動きの遅いエクスブロジオンオーガの攻撃を避けながら、剣を使って倒していく。
ものの数分で半分くらい倒せたかな。
目の前にいたエクスブロジオンオーガに剣を突き立て、致命傷を与えて爆発させる。
小さい傷程度じゃ爆発しないけど、大きな傷を与えたら爆発するから、止めを刺す手間が省けるとも言えるかもね。
これも何度か戦って慣れた事で、どれくらいのダメージを負わせたら爆発するかが、なんとなくだけどわかってきたおかげだね。
部位を斬り離したり意識を完全に奪うまでしなくとも、放っておいたら……という程度の傷を負わせればいい。
剣に気を使って戦わなければいけない状況では、少しありがたい……爆発で迷惑している鉱夫さん達にとっては、ありがたくないんだろうけど。
そんな中、爆発をさせた目の前のエクスブロジオンオーガがいなくなった事で気付く。
「あいつだけ、少し違う……かな?」
残っているエクスブロジオンオーガのうち、一番俺から遠い場所にいるのだけ、違うような気がする。
鉱山内は薄暗く、他のエクスブロジオンオーガの後ろにいるため、体の一部しか見えないけど、色が違って見えた。
「……考えるよりも、近付いてみれば早いかな。……せい!」
「ギギィ!」
動きを止めて考えるのではなく、気になったら見に行くという方を選択。
足に力を込め、まずは一番近いエクスブロジオンオーガに駆け込みながら剣を振り下ろし、爆発させる。
爆発すると一瞬だけ視界を奪われるので、足を止める事になるけど、ソフィーのように備えなくてもいいのは楽かもね。
まぁ、爆発に伴って四散する体に当たると、血が付いたりするから、できるだけ避けるようにしてるけども。
ん……? 血……?
そういえば、エクスブロジオンオーガが爆発する時、体の一部以外に血液が付いていない……というより、体が四散するのに対して血が飛び散ったりする事はない……。
今まで気にしていなかったけど、どういう事だろう? 剣で斬った部分からは、ちゃんと血が流れているのに……。
……いや、今は考えている状況じゃないね。
さっき気になった奴もまだよく見えないし、とりあえずそっちを優先しよう。
考えを打ち切り、エクスブロジオンオーガを倒す事に集中した。
考えるのは、後でもできるからね。
「はぁ! ……ふぅ。やっぱり、他のエクスブロジオンオーガと色が違う……」
「ギギ!?」
違和感のあるエクスブロジオンオーガ以外を倒し終えて、残っているのに注目すると、違和感の正体がわかった。
そのエクスブロジオンオーガだけ、肌の色が赤みがかっておらず、緑色をしていたから。
とはいえ、やはり土や埃で汚れているため、黒や茶色も混ざっている。
「ギィ……ギィ……」
「怯えてる? 他のエクスブロジオンオーガとは違うのかな?」
今まで戦ったエクスブロジオンオーガは、人間……というより俺達を見ると、問答無用で襲い掛かって来ていた。
まぁ、驚いたりする事はあったけど、人間に対して明確に敵意を持っていた。
なのに緑の肌色を持つエクスブロジオンオーガは、俺へと襲い掛かる事もなく、仲間と言える他のやつらがいなくなった事を確認するように、顔をキョロキョロとさせながら、俺から後退りをしている。
「うーん……怯えてる魔物を倒すのは、気が引けるけど……」
散々エクスブロジオンオーガを倒しておいて、今更だろうけど、やっぱり怯えてこちらに向かって来ない相手を倒すのは気が引ける。
多分、エアラハールさんとかがいたら、甘いと言われてしまいそうだけどね。
「ギィ……ギッ!」
「っ!?」
どうしようかと考えていたら、突然残ったエクスブロジオンオーガが、こちらへ手を向けた。
怯えた様子なのはそのままだけど、力を込めたように思う手からは目に見えない何かが飛び出したように感じる。
その瞬間、俺の体に見えない何か……多分魔法だと思うけど、それが当たって弾けた。
「ギィ! ……ギ? ギギ!?」
「今の、風の魔法……だよね? アルネとかが使ってた……」
エクスブロジオンオーガからは、一瞬だけどうだ! というような声が聞こえたけど、俺が傷を負う事もなく魔法を受けて何事もない事を確認し、驚いた様子で声を上げていた。
見えない魔法……確か、アルネやフィリーナが使っていた風の魔法は、目で見えなかったっけ。
風の刃……同じような魔法だとすると、アルネ達の威力が弱い魔法を使ったんだと思う。
幸いにして、俺にはよくわからない魔力の防御があるから、ほとんど何も感じなかったけど、身に付けている革の鎧……ではなく、その下に着て鎧から出ている部分の服が少しだけ切れていた。
やっぱり、風の刃を放ったって事なんだろう。
さっきまで、一切魔法を使って来なかったエクスブロジオンオーガ。
鉱夫さん達は、発見した当初は使っていたと言っていたけど、俺が見るのは始めてだね。
やっぱり、一体だけ緑色の肌をしているのは、何か理由があるのかもしれない……。
「ギ! ギ!」
魔法でビクともしない俺を見て、さらに怯えて混乱した様子のエクスブロジオンオーガは、何度も同じ魔法を放つ。
「うーん……怯えてるのを倒すのは気が引けるって言っても、魔物だし、話は通じそうにないからなぁ……仕方ない。……はぁ!」
「ギギィーー!?」
魔法自体は大したことがなくても、相手は魔物。
このまま逃がすわけにもいかないし、連続で魔法を放っているから、そろそろ服がボロボロになってしまいそうだ。
仕方なく、剣を構えて魔法を放つエクスブロジオンオーガがかざす手の横をすり抜けさせ、そのまま胸部へと突き刺してすぐに抜き去る。
断末魔のような声を上げ、エクスブロジオンオーガの目に光がなくなり、爆発……しない?
「……あれ?」
少しだけ身構えていた体の緊張を解き、ピクリとも動かなくなったエクスブロジオンオーガを見る。
大の字になって後ろに倒れ、目は見開かれているけど白目になっている。
呼吸もしておらず、完全に絶命している事がわかるけど……爆発しなかった。
「えーと……なんで?」
よくわからないけど、そのエクスブロジオンオーガだけが爆発せず、五体満足と言っていいのかわからないけど、初めて形を保ったまま倒せてしまっている。
首を傾げつつ、一応時間差で爆発する事がないよう少し様子を見てから、結界を解除した。
「リク!」
「ソフィー。えっと、こいつなんだけど……」
「あぁ、結界の外から見ていた。離れて見ていてもわかったが、やはり肌の色が違うな」
結界を解除してすぐ、ソフィーが俺に声をかけながら駆け寄る。
近くに来たソフィーに応えつつ、倒れたまま爆発していないエクスブロジオンオーガを示した。
「爆発しなかったのはなんでだろう……? あ、それとこいつ、魔法を使ったんだ」
「結界の外だと何も音は聞こえないから、わからなかったが……あの手をリクへ向けた時か?」
「うん。アルネ達が使う風の魔法よりも弱かったけどね。ほら……」
1
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる