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エクスブロジオンオーガの実験と人体実験候補
しおりを挟むこの男性、人の事を見下した物言いなのに、自分が見下されるのは許せないみたいだ。
まぁ、こういう人間って自分が人より上だと思っていないと、我慢できなさそうだから、見下されるのには耐えられないのかもね。
というか、鉱夫さん達は多分見下すつもりはなくて、ブハギムノングでは珍しいとさえ言えるくらい体が細いから、ただ事実を言っていただけなんだと思う。
鉱夫さん達は力仕事だからね、細い体で心配になったんだろう。
俺から見ても、かなりひ弱というか……細い気がするし、力仕事とか苦手そうだし。
自分と鉱夫さん達を見比べて、確かに体格が良くないとか考えたり、それが通じるような人じゃなさそうだけど。
というか、ひ弱だとか言われてたって……もしかして……?
「えっと……もしかして、モリーツさん?」
「……ほぉ、俺の名前を知っているようだな。どうやら俺も、天才として世に名が知られるようになったか……」
「あー……えっと、そうですねー……」
「街の人間に聞いた名だからなのだわ……」
「こらエルサ、静かに……」
「はぁ……だわ」
鉱夫さん達に言われていたと聞いて、もしかしてと思ったけど、やっぱり行方知れずになっていた人らしい。
名前は鉱夫組合で聞いていただけで、本当にこの人が有名になったからというわけじゃないけど、とりあえず調子に乗らせておくために、話を合わせておいた。
エルサが余計な事をボソッと言ったので、静かにするよう注意したけど……自分に酔い始めたようにも見えるモリーツさんさんには聞こえていなかったようだね。
この人がモリーツさんさんだとすると、確かにエクスブロジオンオーガの事を最初から知っていそうだという話もわかるし、そもそも核の事を調べるためにこの鉱山へ来たんだろう。
まぁ、鉱山の中にこもっているだけで、どうして天才として名前が世に出るようになると思えるのかは、わからないけど……。
「……そうだな、やはり新しい実験をするべきか。ちょうど、人間が二人いるのだからな。そして、世界は私が天才だと思い知るだろう……」
「人間……俺達の事ですよね。でも、実験って?」
「エクスブロジオンオーガは、爆発の性質を増幅、条件の追加などができるかどうかの実験に過ぎないのだよ。本当に私が目的にしているのは、人間相手なのだからな」
「人間相手……えっと、爆発とどういう関係があるんですか?」
自分に酔っているからだろうか、微妙にさっきと言っている事が違う気がしなくもない。
さっきは、エクスブロジオンオーガの事を傑作と言っていたのになぁ。
実験の成果がちゃんと出ているという意味では、確かに傑作だと考えているのかもしれないけどね。
「本当は、鉱夫達を捕まえて来て実験しようとしていたのだが……エクスブロジオンオーガに命令はできないし、生け捕りにするなんて事も考えられない。どうしようかと考えを巡らせていたところだったのだ」
「……」
「人間相手と、エクスブロジオノーガの実験と爆発……それは……」
あ、ちゃんと説明してくれるんだ。
微妙に無視されて人間を捕まえる云々の話になったから、そこは秘密にされると思ったんだけど……やっぱり自分に酔っている状態みたいだね。
「人間に、エクスブロジオンオーガの性質を移植する事だ!」
「性質を移植……?」
「は、お前がわからないのも無理はない。これはまさに天才の発想だからな!」
「……ちっ」
おっと、思わず舌打ちが出てしまった……。
こちらを見下すのはわかっていた事だけど、自分を天才と言って憚らず、馬鹿にするような言い方に、ちょっとイラッとしてしまった。
深く呼吸をして、少し落ち着いて話を聞こう。
「教えて欲しいか? 教えて欲しいだろう? ……はっはっは! 仕方ない、天才自ら能なしの冒険者に教えてやろう、ありがたく思え! どうせ実験に使われる体だ、今のうちにありがたい話をよーく聞いておくんだな」
「……」
うーん……ぶっ飛ばしたい……。
でも、話してくれると言うんだから、聞いておくべきなんだろう。
さっきよりもさらに深く呼吸をして、エルサのモフモフを撫でて心を落ち着かせながら、耳を傾ける。
エルサの方は、先程までと違って怒っている様子がなくなっているけど、もはや呆れているせいなのかもしれない……。
「エクスブロジオンオーガの性質……つまり、爆発するという特性を、人間に与えるのだよ! それによって、人間を使った兵器ができる。エクスブロジオンオーガと違い、自分で考えて行動できる兵器だ。さらに言うなら、人間の方が魔力が多いからな……爆発の威力を引き上げる成果も追加する事で、一人でエクスブロジオンオーガ数体……いや、数十体分の爆発をさせる事ができるのだ!」
「……っ!」
エクスブロジオンオーガの性質、という時点で半ば予想はしていたけど……人間を平気として作り替えようとしているなんて……。
爆発の規模が大きければ大きい程、差し向けられた側の被害は大きいし、エクスブロジオンオーガと違って、考える事ができるから臨機応変に動く事ができる。
爆発の規模は予想できないけど、どちらにせよ一人を使うだけで多大な被害をもたらす事は、簡単に想像できる。
それこそ、仲間を装って潜り込む事だってできそうだ……この研究は完成させちゃいけない。
「数十体分という事は……」
「街一つ……というのは大袈裟だろうが、数軒の建物くらいは破壊できるだろう。それが大量にいれば……」
「街も十分に破壊できる……」
「いや違うな、街なんて小さい規模ではない! 国を一つ破壊しつくす事だってできるはずだ!」
「国一つ……」
それにはどれだけの人を巻き込めば、事足りるのだろうか……?
実際に爆発させられる人間、爆発に巻き込まれる人間……他にも様々な人間が巻き込まれてしまう。
いや、人間だけでなくエルフや獣人も。
国にいる人達が犠牲になってしまう……なんて事を考えているんだ、この人は……!
「近々、大量に人間の実験体が手に入る予定だったが、まずはここに来たお前達で試すのもいいだろう……これも俺が天才だと証明するために必要な事。礎になる事を喜ぶがいい!」
「っ……お前……!」
大きく腕を振り上げて、まるで演説をするように言うモリーツさん。
自分が天才だと世に知らしめるためには、他人の事は全て、道具のようにしか考えていないのだろうというのが、見て取れる。
まだ実際に人間相手の実験をしていないみたいだけど、このまま野放しにしてたら、いつか必ず誰かが犠牲になってしまうだろう。
それに、近々手に入ると言っていた人間の実験体……というのも気になる……。
「……その、近々手に入る人間の実験体……というのは?」
「ふっ……我々の計画は完璧だ。エクスブロジオンオーガに施す実験の元になった研究で、魔物を誘導する方法を確立させたのだ。それを使って魔物を集め、人を襲わせ、人間を回収する……無駄のない計画だよ!」
「魔物を誘導……集める……まさか、ルジナウムの!?」
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