神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
607 / 1,955

エクスブロジオンオーガの実験と人体実験候補

しおりを挟む


 この男性、人の事を見下した物言いなのに、自分が見下されるのは許せないみたいだ。
 まぁ、こういう人間って自分が人より上だと思っていないと、我慢できなさそうだから、見下されるのには耐えられないのかもね。
 というか、鉱夫さん達は多分見下すつもりはなくて、ブハギムノングでは珍しいとさえ言えるくらい体が細いから、ただ事実を言っていただけなんだと思う。
 鉱夫さん達は力仕事だからね、細い体で心配になったんだろう。

 俺から見ても、かなりひ弱というか……細い気がするし、力仕事とか苦手そうだし。
 自分と鉱夫さん達を見比べて、確かに体格が良くないとか考えたり、それが通じるような人じゃなさそうだけど。
 というか、ひ弱だとか言われてたって……もしかして……?

「えっと……もしかして、モリーツさん?」
「……ほぉ、俺の名前を知っているようだな。どうやら俺も、天才として世に名が知られるようになったか……」
「あー……えっと、そうですねー……」
「街の人間に聞いた名だからなのだわ……」
「こらエルサ、静かに……」
「はぁ……だわ」

 鉱夫さん達に言われていたと聞いて、もしかしてと思ったけど、やっぱり行方知れずになっていた人らしい。
 名前は鉱夫組合で聞いていただけで、本当にこの人が有名になったからというわけじゃないけど、とりあえず調子に乗らせておくために、話を合わせておいた。
 エルサが余計な事をボソッと言ったので、静かにするよう注意したけど……自分に酔い始めたようにも見えるモリーツさんさんには聞こえていなかったようだね。
 この人がモリーツさんさんだとすると、確かにエクスブロジオンオーガの事を最初から知っていそうだという話もわかるし、そもそも核の事を調べるためにこの鉱山へ来たんだろう。
 まぁ、鉱山の中にこもっているだけで、どうして天才として名前が世に出るようになると思えるのかは、わからないけど……。

「……そうだな、やはり新しい実験をするべきか。ちょうど、人間が二人いるのだからな。そして、世界は私が天才だと思い知るだろう……」
「人間……俺達の事ですよね。でも、実験って?」
「エクスブロジオンオーガは、爆発の性質を増幅、条件の追加などができるかどうかの実験に過ぎないのだよ。本当に私が目的にしているのは、人間相手なのだからな」
「人間相手……えっと、爆発とどういう関係があるんですか?」

 自分に酔っているからだろうか、微妙にさっきと言っている事が違う気がしなくもない。
 さっきは、エクスブロジオンオーガの事を傑作と言っていたのになぁ。
 実験の成果がちゃんと出ているという意味では、確かに傑作だと考えているのかもしれないけどね。

「本当は、鉱夫達を捕まえて来て実験しようとしていたのだが……エクスブロジオンオーガに命令はできないし、生け捕りにするなんて事も考えられない。どうしようかと考えを巡らせていたところだったのだ」
「……」
「人間相手と、エクスブロジオノーガの実験と爆発……それは……」

 あ、ちゃんと説明してくれるんだ。
 微妙に無視されて人間を捕まえる云々の話になったから、そこは秘密にされると思ったんだけど……やっぱり自分に酔っている状態みたいだね。

「人間に、エクスブロジオンオーガの性質を移植する事だ!」
「性質を移植……?」
「は、お前がわからないのも無理はない。これはまさに天才の発想だからな!」
「……ちっ」

 おっと、思わず舌打ちが出てしまった……。
 こちらを見下すのはわかっていた事だけど、自分を天才と言って憚らず、馬鹿にするような言い方に、ちょっとイラッとしてしまった。
 深く呼吸をして、少し落ち着いて話を聞こう。

「教えて欲しいか? 教えて欲しいだろう? ……はっはっは! 仕方ない、天才自ら能なしの冒険者に教えてやろう、ありがたく思え! どうせ実験に使われる体だ、今のうちにありがたい話をよーく聞いておくんだな」
「……」

 うーん……ぶっ飛ばしたい……。
 でも、話してくれると言うんだから、聞いておくべきなんだろう。
 さっきよりもさらに深く呼吸をして、エルサのモフモフを撫でて心を落ち着かせながら、耳を傾ける。
 エルサの方は、先程までと違って怒っている様子がなくなっているけど、もはや呆れているせいなのかもしれない……。

「エクスブロジオンオーガの性質……つまり、爆発するという特性を、人間に与えるのだよ! それによって、人間を使った兵器ができる。エクスブロジオンオーガと違い、自分で考えて行動できる兵器だ。さらに言うなら、人間の方が魔力が多いからな……爆発の威力を引き上げる成果も追加する事で、一人でエクスブロジオンオーガ数体……いや、数十体分の爆発をさせる事ができるのだ!」
「……っ!」

 エクスブロジオンオーガの性質、という時点で半ば予想はしていたけど……人間を平気として作り替えようとしているなんて……。
 爆発の規模が大きければ大きい程、差し向けられた側の被害は大きいし、エクスブロジオンオーガと違って、考える事ができるから臨機応変に動く事ができる。
 爆発の規模は予想できないけど、どちらにせよ一人を使うだけで多大な被害をもたらす事は、簡単に想像できる。
 それこそ、仲間を装って潜り込む事だってできそうだ……この研究は完成させちゃいけない。

「数十体分という事は……」
「街一つ……というのは大袈裟だろうが、数軒の建物くらいは破壊できるだろう。それが大量にいれば……」
「街も十分に破壊できる……」
「いや違うな、街なんて小さい規模ではない! 国を一つ破壊しつくす事だってできるはずだ!」
「国一つ……」

 それにはどれだけの人を巻き込めば、事足りるのだろうか……?
 実際に爆発させられる人間、爆発に巻き込まれる人間……他にも様々な人間が巻き込まれてしまう。
 いや、人間だけでなくエルフや獣人も。
 国にいる人達が犠牲になってしまう……なんて事を考えているんだ、この人は……!

「近々、大量に人間の実験体が手に入る予定だったが、まずはここに来たお前達で試すのもいいだろう……これも俺が天才だと証明するために必要な事。礎になる事を喜ぶがいい!」
「っ……お前……!」

 大きく腕を振り上げて、まるで演説をするように言うモリーツさん。
 自分が天才だと世に知らしめるためには、他人の事は全て、道具のようにしか考えていないのだろうというのが、見て取れる。
 まだ実際に人間相手の実験をしていないみたいだけど、このまま野放しにしてたら、いつか必ず誰かが犠牲になってしまうだろう。
 それに、近々手に入ると言っていた人間の実験体……というのも気になる……。

「……その、近々手に入る人間の実験体……というのは?」
「ふっ……我々の計画は完璧だ。エクスブロジオンオーガに施す実験の元になった研究で、魔物を誘導する方法を確立させたのだ。それを使って魔物を集め、人を襲わせ、人間を回収する……無駄のない計画だよ!」
「魔物を誘導……集める……まさか、ルジナウムの!?」


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...