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エルサのお風呂
しおりを挟む「あぁ~、気持ちいいのだわ~」
「ははは、本当にお風呂が気に入ってるなぁ、エルサ」
モニカさんとの昼食を終え、ユノやエアラハールさんとも会って話をした後、ブハギムノングへと戻ってきた。
冒険者ギルドに寄ってベルンタさんから、今回の報酬をもらいながらソフィーに聞いたけど、鉱山では特に問題もなくエクスブロジオンオーガが発見される事もなかったらしい。
採掘に関しては、クォンツァイタも含めて広範囲で再開され始めており、何もなければ数日で元通りになるとの事だ。
夕食を頂いた後は、宿に戻って誰も入っていないのを確認してから、エルサとお風呂に入って綺麗に洗ってやっている。
「人間が考えた物の中で、一番なのだわ。リクと契約するまでは、川や池に飛び込むしかできなかったのだわ。暖かいお湯は気持ちいいのだわ~」
「大袈裟じゃないか? 川や池は冷たいけど……でも、エルサならお湯を沸かすくらいはできるんじゃないか?」
「やってもいいのだけどだわ、それをやると魚が浮かんでくるのだわ」
「あー、温度が上昇して生きられないのか……」
契約しなくとも、エルサなら川や池の水を暖めるくらいはできると思ったんだけど、そこに棲んでいる息斧に影響してしまうか。
……魚が浮かんでくるのを知っているという事は、やった事があるんだろうな……無数の魚がプカプカと浮かんでいるお湯に浸かるのは、エルサでなくとも嫌だなぁ。
穴を掘って水を溜めて……とかもできるだろうけど、そこまでするのが面倒だったとも付け加えられた。
暢気で長生きのくせに、手間がかかる事は嫌うんだよなぁ、エルサって。
「よーし、いつものいくぞー?」
「あぁ~……これが一番気持ちいのだわぁ。……だわぁ……」
「寝たか。寝る子は育つ……か? でも、俺どころかエルフのアルネ達より長生きだし、子というのは違う気がするけど。それだけ気持ち良くて喜んでいるんだと思っておくかな」
お風呂から上がり、ドライヤーもどきの魔法を使うと、気持ち良さそうな声を出しながらすぐにコテンと横に倒れて寝てしまうエルサ。
長寿で文字通り桁が違う年数を生きているエルサを相手に、子というのもおかしな気がしたけど、小さくなっているのも相俟って小さい子の面倒を見ている気分だ。
まぁ、実際は俺どころか家よりも大きくなれるんだけど……それはともかくだ。
「よし、いつも通りの綺麗なモフモフになったな。……俺も寝るか……よっと」
「だわぁ……だわぁ……」
エルサの毛が乾いたのを確認し、モフモフを堪能しながらベッドへ移動。
明日はソフィーと一緒にルジナウムへ行き、モニカさんと合流した後ヴェンツェルさんとの合流地点に向かう予定だから、ゆっくり休んでおかないとね。
ちなみに、エアラハールさんとユノは、ルジナウムに残る事になっている。
エアラハールさんが街でゆっくり過ごすと言ったのと、女性に変な事をしないようお目付け役としてユノが残る形だ。
まぁ、今回は研究施設らしき場所が目標だから、街を見て楽しみたいというのがユノの本音らしいけどね――。
―――――――――――――――
「それじゃ、数日後にはまた戻って来ると思うので、何かあればその時に」
「あぁ、わかった。まぁ、昨日の様子からすると問題はなさそうだがな。依頼の方も、ベルンタ爺さんと話して進めておく」
「久しぶりに頑張るかのう」
「お願いします。それじゃエルサ」
「了解したのだわー」
翌日、朝食を食べた後に出発するため街の外に出ようとしたら、出入り口の辺りでフォルガットさんとベルンタさんが待っていた。
なんでも、俺が移動する時エルサに乗っているのは聞いているけど、実際に見てみたいという事で見学を希望するためらしい。
少し離れた場所には、ガッケルさんと衛兵さん達の姿も見える事から、街の有力者が揃って見学といった風だ。
とは言え、住民を驚かせたりしないよう街から離れた場所まで移動したけど。
エルサに大きくなってもらう前に、フォルガットさん達と話して何かあれば戻って来てから……という話。
エクスブロジオンオーガもほぼいないと思って良さそうだし、そうそう問題もなさそうだけどね。
依頼の事も含めて、お願いしてからエルサに大きくなってもらう。
「おぉ……これが……」
「この年になっても、驚く事が多いのう……」
「ははは、それじゃ! エルサ、頼むよ」
「飛ぶのだわー」
大きくなったエルサに驚いているフォルガットさん達を尻目に、荷物を持ってソフィーと一緒に乗り込み、声をかけてゆっくりと浮かび上がる。
地上では、あんぐりと口を開けている衛兵さんやガッケルさんが見えたので、そちらにも手を振っておく。
十分な高さに浮かんだ後、ルジナウム目指して移動を開始だ。
「リク、エルサ、もう少し速度を落としてもらえると……」
「あ、ごめん。最近一人で乗る事が多かったから……エルサ、もう少しゆっくり行こう」
「仕方ないのだわ」
空を飛び始めて少しすると、ソフィーから速度を落としてくれとのお願い。
前に皆で乗った時、ちょっと速めに飛んでから少し恐怖心が出たのかもしれない。
結界があるから、風の抵抗とかはないんだけど、眼下に見える景色がいつもより速いせいなのかも? あと、少し高めに飛んでいるからかな。
ヴェンツェルさんとは今日中に合流するという、ざっくりとした予定なだけなので、急ぐ必要もない事だし、エルサに声をかけて速度を落としてもらう。
エルサとしては、気持ち良く速度を出して飛ぶ方が好きなんだろうけど、それはまたの機会にしてもらおう。
諸々を片付けた後、また以前のようにユノも連れて全力で空を飛んでもいいかもね。
「リクさん、ソフィー!」
「お待たせ、モニカさん」
「久しぶりだな、モニカ」
ルジナウム北門から少し離れた場所に降りると、先に待っていたモニカさんが駆け寄ってきた。
その後ろには、ユノやエアラハールさんの姿もあるから、見送りに来たんだろう。
「そうじゃリク、昨日話忘れておったのじゃがな?」
「どうしたんですか、エアラハールさん?」
合流したモニカさん達と挨拶をしながら、昨日頼んでおいた荷物なんかをエルサに乗せていると、エアラハールさんから話しかけられた。
荷物は、野営もするだろうから買わないといけない物は買っておいてと、モニカさんに頼んでおいた物だ。
「ワシは見ておらんのじゃが、魔物と戦っている時に最善の一手を使えたのじゃろ?」
「あぁ、はい。まぁ、あの時は使えるとは思っていませんでしたし、使おうと思ったわけじゃないんですが……これも、エアラハールさんの指導とあの剣を使っていたおかげです。今は使える気がしませんが……」
「最初はそんなものじゃろう。それにしても、ワシが考えていたよりも早かったのう……」
「あの時は……極限の状態とも言えましたからね……」
エアラハールさんが言っているのは、ルジナウムで魔物達と戦っている時の終盤、意識したわけじゃないけど最善の一手を使えた事だろう。
あの時、意識して使ったわけじゃないけど、魔力も少なくなってもまだ魔物が多く、怪我もしていて危険な状態に陥っていたから、咄嗟にできたのかもしれないな――。
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