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赤いオーガを発見
しおりを挟む「リク、何かいるのだわー」
「ん?」
懐かしくなりつつある事を思い出しつつ、空の旅を楽しんでいると、エルサから声をかけられる。
速度はそのままだけど、顔でエルサが示した先の地上には、確かに何かがいるのが見えた。
またアメリさんみたいに、魔物に襲われている人とか?
「誰か、人間が襲われていたりするのかな?」
「遠くてよくわからないが、その様子はなさそうに見える。争っていたり、逃げたりなどの大きな動きをしているようには見えないからな」
「確かにそうね。というより、ほとんど動いていないように見えるわね……?」
「放っておくのだわ?」
「んー、でも合流地点に近い場所だから、様子を見るくらいはしておこう。何もなければ、それでいいから……エルサ、速度を緩めて近付いてくれるか?」
「わかったのだわー、またリクが首を突っ込むのだわー」
「失礼な……そもそも、何かがあると発見したのはエルサだろうに……」
アメリさんの事があるから、あまり強く言い返せないけど……でももし誰かが襲われて、とかだったら助けなきゃいけないと思うからね。
遠くに見える何者かは、アメリさんを見つけた時と同様で、高さと距離から本当に生き物なのかすら良くわからないくらいだけど、動きがないからソフィーの言う通り争ったり逃げているといった風には見えない。
けど、街道の真ん中のようだから、そこに木が立っているわけではないはずだし、離れていても見えるから小さい物というわけでもなさそうだ。
最低でも一メートル以上、人間くらいのサイズはあると思うんだよなぁ。
「段々と見えてきたね……あれは、人間じゃなさそうかな」
「そうだな。大きさも人間より大きい。……ヴェンツェルさんのように、標準的な人間よりも大柄という可能性もあるが、それが一……二……三……三体というのは不自然な気がするな」
「父さんのような人もいるから、集まったと考えられなくもないけど……どちらかというと人間じゃないと考えた方が自然ね」
「とりあえず、もう少し近付いてから確認してみよう」
速度を緩めて高度を下げ、近付いて目を凝らすと、はっきりと見えて来る何者か。
まだ大まかな形くらいしか見えないけど、人間にしては大きく見えるから魔物である可能性が高い気がする。
多分、二メートルは越える高さがありそうで、二足歩行だろうというのはわかるくらいだけど……さすがにヴェンツェルさんやマックスさんは大柄でも、そこまで身長はないから、そういう人という可能性は低そうだ。
「……オーガ?」
「オーガだな」
「間違いないわね。王城を守った時にも見たわ」
「どうするのだわ?」
「うーん……特に討伐依頼を受けたわけじゃないし、誰かが襲われているわけでもない。好戦的に魔物を見つけた端から戦闘を挑む、というのはちょっとやり過ぎだと思うけど……場所がね」
「街道のど真ん中だからな」
「誰かが通ったら、間違いなく襲われるわよね。それに、合流予定の場所にも近いから……」
「ヴェンツェルさん達と合流した後に襲って来るかもしれない、と考えられるかな」
「そうね。ヴェンツェルさんは兵士を引き連れてやってくるはずだから、オーガを刺激するでしょうね。訓練された兵士だし、私達やヴェンツェルさんもいるから、やられる事はないと思うけど……」
「邪魔をされるのは避けたい……よね。これから怪しい施設に向かう予定もあるわけだし。よし、先に倒しておこう」
「そうだな。その方が良さそうだ」
「えぇ」
「決まったのだわ? それじゃ、突撃するのだわー……」
「だぁー待った待った! さすがにエルサが突撃すると周囲への影響があり過ぎるから! 近くに降りて、俺達がやるから!」
「……わかったのだわ。面倒はさっさと片付けるに限るのに、だわ」
後顧の憂いという程大袈裟絵ではないけど、念のために倒すと決めたらいきなりエルサが速度を上げて、オーガめがけて突撃しようとした。
結界があるから、そのままぶつかるだけでオーガを蹴散らしてこちらには何も影響がないだろうけど、地面に大きな穴が空きそうだ……何よりソフィーが怖がっている。
速度を上げてからすぐ、身を固くしてエルサの背中……というより毛にしがみ付いているし……。
ともかく、慌ててエルサを止めてオーガの近くで降りてもらい、俺達で対処する事にした。
「よっと……まさか、赤いオーガとはね」
「アメリという女性が見つけた施設が近いんだろう? そこから逃げ出したという事もあるんじゃないか?」
「逃げられるようだと、向こうの管理はずさんに思えるけど……わざと外に出しているという事も考えられるわよ?」
「とにかく、なんでかわからないけど、街道に影響がないよう気を付けよう」
百メートル程度離れた場所で、地上に降りながら話す。
ここまで近付いてようやくわかった事だけど、離れた場所で佇んでいるオーガは肌の色が赤かった……またか、という思いと一緒に、街道に影響を出さないようにしないといけないと気を引き締める。
爆発威力が高いと、街道に穴が空いたりすると馬や馬車で通った時に、影響が出そうだからね。
街や村から離れているから、すぐには整備されないだろうし……もし馬車の車輪が穴にハマって……なんて事になったら大変だ。
ブハギムノングからクォンツァイタが出荷され始めたら、おそらく今俺達がいる街道を通るだろうから、輸送のためにもね。
「さて、どうするリク? エクスブロジオンオーガは、結界で包んでだったが……ここは外だから爆発させても構わないだろう」
「でも、街道に影響が出ちゃいそうだからね。爆発する時は結界で……というより、エルサ?」
「どうしたのだわ?」
オーガはエルサに気付いた様子ではあるけど、離れているためまだ時間に猶予はある……というより、今は小さくなって俺の頭にくっ付いているけど、大きな時のエルサを見て驚いたり恐怖しているのか、ゆっくりとしか近付いて来ない。
それをいい事に、どういう対処をするかを話しをしつつ、俺の頭で休んでいるエルサに声をかけた。
「あれ、凍らせられないかな? 俺がやると……広く影響が出そうというか、アメリさんを助けた時のようになるから」
「……リクに任せると、後が大変だったのだわ。仕方ないのだわ、私が凍らせるのだわ」
「私の魔法具でも凍らせられない事はないが、エクスブロジオンオーガと違って大きいからな。魔力の消費が大きそうだ。確実に凍らせるなら、エルサが適任だろう」
「凍らせたら、爆発しないのよね? というかリクさん、アメリさんを助けた時って……何をやったの?」
「……オーガとその周囲を凍らせた、かな? まぁなんというか、ちょっと魔力を多く使っちゃってね」
さすがにオーガを街道ごと凍らせてしまうのは避けたい、それに、俺がやると溶かすのも時間がかかるからなぁ……まぁ、地面に埋めてしまえばいいんだけど、エルサに任せた方が手っ取り早く済ませられるだろう。
「それじゃ、さっさとやるのだわー」
「わかった、お願いするよ。……これでいいか?」
「そのまま、なのだわー」
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