神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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地下施設制圧完了

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「ふむ、ここから先へ逃げた者は、まだいないのだな? 嘘を言っても、後で調べればわかる事だ。不利になるだけだぞ?」
「ほ、本当です! 嘘は言っていません!」

 ツヴァイが自害しないよう処置を終え、さらに拘束もした後、ヴェンツェルさんがさっきまで叫んでいた研究者を相手に尋問……ツヴァイが立っていた場所の奥を詳しく調べてみると、人が一人通れるだけの隙間があり、普段は立てかけてカモフラージュしているであろう木の板があった。
 薄暗いながらも証明がある今の部屋と違い、奥へ続く道には明かりがなくて真っ暗だったため、入り口から覗いただけだとどれだけ深いか、中に何があるかはわからない。
 俺やヴェンツェルさんがここに来るまでに、誰かが逃げ出した可能性があるかもと思って聞いているんだけど……観念しているのか、研究者は聞かれた事には素直に答えている。

「私達だって、そこの事は知らなかったんです! いつも出入りはあの頑丈な扉からで……それも許可を得ないと通してくれませんでした……」
「……ツヴァイとか言ったか……あいつの言っていた事を考えると、監視のためだろうな」
「そうですね。偽物の書簡を見せて、頻繁に出入りしないよう監視して軟禁する。いざとなれば見捨てて逃げたり……あまり考えたくありませんが、一気に処分する事も考えていたんでしょう」
「そうだな。――だが、お前達もこの場所にいたのなら、そうやって監視されている事を怪しんだりはしなかったのか?」

 木の板で塞いでいただけ……というお粗末な隠し方だけど、怪しんだりしなければ不自然に感じなかったのかもしれない。
 もしくは、不自然な場所を調べたりしないよう言われ、さらに監視もしていた可能性もあるか。
 どちらにせよ、そうまで厳重にされて疑問に感じたりしなかったのかな? なんて思うけど、こういう時騙す側は言葉巧みに信じ込むよう仕向けるから、客観的に見ているとそれは怪しいだろう……と思う事でも、当事者からすると信じて当然にすり替わったりする。
 詐欺を未然に防ぐのが難しい要因の一つだね。

「私達がやっていたのは魔物の研究……陛下からの命令で認められていると疑う事はなかったが、それでも本来禁忌である研究だとは自覚している。それくらいの分別は付いているつもりだ。だから、外に漏れないための措置として、厳重に監視されているのだと思っていた……」
「まず、陛下がそのような研究を認めるかどうかを、怪しむべきだろうが……まぁ、これは今更ここでいても仕方あるまい。で、リク殿……どうする?」
「この先も調べた方がいいでしょうけど……その人の言葉を信じるなら、ツヴァイが入って来た事以外に使われていないんでしょう。逃げた人がいないと考えると、まずは先に地下室の方を完全に制圧して、後でゆっくり調べるのがいいと思います」
「だな。逃げた人間がいたかどうかは、後で調べればわかる事だ……その時に嘘を言っていた事がわかれば……」
「ひいっ!」

 まだ、結界で塞いでいる出入り口を、なんとか突破しようとしているオーガが見えるからね……地下施設の方は完全に制圧できていないんだろう。
 かなりの広さがあって、こちら側の人数だって制限があるんだし、この部屋に入って体感数十分程度では制圧できなくて当然か。
 多分、俺やヴェンツェルさんがこの部屋に入らず、一緒に地下施設の制圧に協力してても難しいくらいだろうし……まぁ、隠し通路があってそこから逃げさせなかった、というのを考えると、先にこちらへ来るので正解だったんだろう。
 ツヴァイとか、広い地下施設で無差別に魔法を使い始めたら、それこそ被害がでる可能性もあったからね。

 俺やエルサで結界を使えば対処できるとはいえ、あの広い空間で大きく炸裂する魔法を使われたら、もう少し大変だっただろうから。
 オーガに当たって爆発、とかも考えられる……ほんと、無差別に爆発するって厄介だ。

「では、ここにいる者達の拘束は終わった事だし、一旦戻るか……疲れはないか?」
「そうですね、疲れもほぼないので問題ありません。あ、でもヴェンツェルさんはここで見張っててもいいですよ? 疲れたでしょ?」
「ふっ、リク殿が平気なのに、私が疲れたなんぞ言っていられないだろう。しかし、そんな冗談を言えるのであれば、平気そうだな」

 冗談交じりではあったけど、割と本気で聞いたんだけどなぁ……。
 ツヴァイの相手は俺がしたけど、突入からこっち、ヴェンツェルさんは俺について突撃していたから、相当無理をしている気がする。
 俺の持っている剣より大きく重そうな大剣を振り回してもいたし、俺が戦っている間に研究者を迅速に拘束してくれていた。
 ツヴァイに騙されていたと知ってからは、ほとんどが戦意喪失して項垂れていたから、そこまで抵抗されていなかったと思うけど、全くないわけじゃなかっただろうからなぁ。

 結構汗を掻いていて、深く呼吸をするところも見えたから、さすがに疲れているだろうなと思ったんだけど、こういう場面でそういった姿を見せる人でもなかったか。
 とにかく、出入り口の結界を解いてオーガを倒した後は、ヴェンツェルさんに無理をさせ過ぎないよう、俺が頑張ろう。


「……ヴェンツェルさんって、体力の化け物ですか?」
「いや、自分でも少々張り切り過ぎたと思うが……リク殿には言われたくないと思うぞ?」
「どっちもどっちですよ……はぁ、はぁ……」
「さすがに、今回は長時間全力だった事もあって、はぁ、ふぅ……疲れたな……はぁ……」

 しばらく後、地下研究施設にいる人間を拘束、オーガを殲滅した後、ジト目でヴェンツェルさんを見ながら呟く。
 無理させないように頑張ったけど、それについて来るように全力で走り通しだったヴェンツェルさんは、ついさっきまで息切れしていたのに今はそんな様子が全くなく、汗を掻いている以外は平気そうだ。
 その後ろで、荒い息を吐きながら持っている武器で体を支えている、モニカさんとソフィー。
 うーん……俺に関しては今更だけど、ヴェンツェルさんもこんな感じになると思ったんだけどなぁ……ほら、他の兵士さん達も半分くらいは似たような状態だし……こっちは殴り飛ばした人間を拘束するために走り回ったり、一つの場所に集める作業をしてくれた事が原因みたいだけど。

「全ての部屋を確認、その場にいる人間は拘束し終えました! 現在、拘束した人間を運び、後に怪しい箇所がないかの捜索に入ります!」
「はい、ありがとうございます。よろしくお願いします」
「はっ!」

 一人の兵士さんが報告に来てくれて、地下にある小部屋の確認と逃げ込んだ人達の確保が完了した事を伝えてくれる。
 隠し通路なんかは、確保した人達を運んでからになるけど、さっきヴェンツェルさんと話を聞いた限りでは、研究者はその存在を知らなかったみたいなので、逃げ出した人はほぼいないだろうと思う。
 武装していた人達は俺達へ向かって来ていたし、小部屋の方にはいなかったのもあって、こちらも逃げ出した形跡はなし……もし逃げ出していたら慌てていただろうし、粗末ながらも隠していた通路に出入り口を丁寧に塞いだりもできないだろう。
 今のところ、パッと見では隠し通路が見つかっていないのが、逃げた人がいない可能性に繋がっている――。


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