神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
742 / 1,955

捕まえた男達の連行完了

しおりを挟む


 とりあえずといった感じで、雑にヴェンツェルさんにまとめられて一気に脱力してしまった。
 ちゃんと説明しようとしていた俺って……今度からは、適当に結界のおかげとかエルサや魔法が凄い! というだけで済まそうと思う、うん。
 とくに、肉体派のヴェンツェルさん相手に、真面目に説明しようとしたのが悪いんだと思う……ハーロルトさんとかなら、もう少し理解してくれるかなぁ? いや、俺自身がちゃんと説明できるわけじゃないから、止めておく方が無難だね。
 王城に戻ったら、姉さん相手にちょっと愚痴らせてもらうだけにしておこう、ヴェンツェルさんは姉さんの部下なんだから。

 がっくりしてしまった俺に、モニカさんが心配して声をかけてくれるけど、力なく苦笑して答えるくらいしかできなかったよ……。
 よくわからず首を傾げているモニカさんだけど大丈夫、少ししたら気持ちを切り替えて元気になるから――。


「リク様、お帰りなさいませ」
「リク、お帰り。逃げた兵士は?」
「あれは、ヴェンツェルさん達が連行しているよ」

 エルサから降り、施設から移動してきた兵士さん達が集まっている野営地に戻ると、指示を出したり確認したりと、忙しそうにしているマルクスさんやソフィーに迎えられた。
 フィリーナがいない……と思ったけど、離れた場所で食事の準備を始めているようだ、ありがたい。
 ちなみにヴェンツェルさんは、離れた場所でエルサから降りた後、何事もなかったかのように馬に乗った兵士さん達に混じって自分も馬に跨り、施設の方へ男達を連行して行った。
 俺と一緒にエルサに乗っているのを見られたりすると、また他の兵士さん達がうるさいからだそうだ……まぁ、さっきのでわかったけど、皆一度はエルサに乗りたい……というよりドラゴンに乗ってみたいとか、空を飛んでみたいと考えているようだから、騒動になりそうな事は避けたい。

「あちらは馬、こちらも馬では、すぐに追いつかず逃がしてしまい、後々手配して捜索する事になっていたでしょうから、助かりました」

 馬によって速度に多少の違いはあるかもしれないけど、大きく変わらないはずだから、同条件と考えるとどうしても追いつくのは難しくなる。
 逃げた瞬間に追いかけたら、後ろから魔法を使ったり何かをして足止めをして追いつけるだろうけど、逃げてから少し時間が経っていたみたいだからね。
 同じ速度で移動すると考えても、先に逃げた方が有利なのは当然だ。
 その点、何か障害物があっても関係なく、直線で追いかけられるうえに馬より速く移動できるエルサだから、簡単に追いつく事ができた。

「いえ、ちょうど手が空いていたので構いません。あぁあと、ヴェンツェルさんからも教えられると思いますけど、一応。捕まえた男は二人で、片方は魔法を使います。逃げたのは一人と聞いていたので、二人いたのは驚きましたが……逃げた方の男は、新兵さんが使っているはずのワイバーンの鎧を着ていました。新兵さんから奪ったか、盗んだのかはわかりませんが、調べた方がいいと思います」
「はい、ありがとうございます。至急、調べさせます」
「あと、逃げた男はオーガに魔力を注いでいた……という予想を裏付けるように、ツヴァイ並みの魔力を持っていました。あれだけあれば、オーガに魔力を注ぐのも困らないでしょうし、地下に魔力が充満していた理由もわかります。ただ……」
「やはり、ツヴァイ一人だけが大量の魔力を保持していたわけではないようですね。ですが、何か気にかかる事でも?」
「ヴェンツェルさんにも話しましたけど、その男が魔法を使う素振りを一度も見せなかったんです。それだけ魔力があるなら、魔法を使ってもよさそうのに、ですね。単純に、剣を使うだけでした」

 ワイバーンの鎧があったから、剣でも俺達をどうにかできると考えたのかもしれないけど、一切魔法に頼ろうとしなかったのは気になる。
 あと、ワイバーンの鎧ってあんなに頑丈だったんだなぁ……と今更ながらに思う。
 俺が持っている剣なら斬れるだろうし、拳でへこませたうえにフレイちゃんに頼んだら、炎に強いとか関係なく倒せただろうけど、それでもモニカさんの全力の突きを受けて、傷一つ付かなかったのには素直に驚いた。
 新兵さんの生存率を上げるためと思っていたけど、想像以上にいい物が作れたみたいだね……そもそもにワイバーンの素材を入手するのが難しいから、大量には用意できないんだろうけど。

「魔法をですか……確かにそれはおかしいですね。その者が何を考えていたかまではわかりませんが、強い力を持つのなら、それに頼ろうとするもの。現にツヴァイはリク様と魔法で戦ったようですし……注意するよう、伝達しておきます」
「はい、お願いします。単純に、ワイバーンの鎧を過信していたというのも否定できませんけど、強力な魔法を使われたら、危険ですからね」
「……なぁ、リク?」
「ん、ソフィー?」

 俺からの報告を受けて、真剣に考えるマルクスさんと、とにかく注意しておくと話に決着がついたところで、近くにいて難しい顔をして何かを考えている様子だったソフィーが声を出した。

「その、違っているだろう事が前提なのだが……もしかするとその男、魔力はあっても単純に魔法が使えない……という事はないだろうか?」
「魔法が使えない?」
「ですがソフィー殿、魔力を大量に持っている……ツヴァイと同じ状態なら、誰かから分け与えられて混在させている状態なら、使えないわけがないと思いますが……」
「……私の考えなので、間違っているのはわかっているのだが……その、魔力があれば必ず魔法が使えるわけじゃない。それは私がそうだからな。魔法具を使う魔力は確かにある。だが、そういった魔法具の補助なしでは一切魔法が使えないんだ。自力で魔法を使うとなると、周囲にあるはずの自然の魔力を集める必要があるようだが、そのための素質が私にはないからな」
「あ、そういえば、魔法を使える人と使えない人の条件みたいなのがあったっけ……」
「私も多少は使えますし、兵士になっている者は大小の差はあれど多くが使えます。ツヴァイも使っていたので、魔力が多い者は使える物だと勘違いしておりましたが……確かにソフィー殿の言う通り、人間には魔法を使える者と使えない物がおります」
「ツヴァイは、そもそもエルフだから使えるのが当たり前の種族ですからね。それと同じで考えちゃいけないか……」

 そういえば、人間が魔法を使えるかどうかというのは、周囲の魔力を集める事ができるかどうかと聞いてたね。
 俺はドラゴンの魔法を使っているらしいから、そちらを意識した事はないけど……魔力があったからって必ず使えるわけじゃないんだ。
 通常、人間の魔力で魔法を使うためには、自然の魔力を集めないと足りないからという理由だったと思うけど、もしかしたら他にも理由があるのかもしれない……。

 捕まえた男の魔力は自然の魔力を集めるなんてしなくても、魔法が使えるだろう魔力量だったからね。
 ツヴァイはエルフだから、自然の魔力を集めるのは生まれつきできているはずだから、魔力量に拘わらず魔法を使うのは当然の事だけど、捕まえた男がそもそもに使えないという場合もあるのか――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...