815 / 1,955
ソフィーは騎士のような癖のない戦い方
しおりを挟む「……私は、リクのように力任せに相手を叩き伏せる事はできません。なので、鋭く素早く動こうと考えてはいるのですが……」
「その考え自体は間違っておらん。リクはともかくとしてじゃ、相手を剣で叩き伏せるのなら、それこそもっと重い剣を持つべきじゃろうからの。ワシが見る限りでは、ソフィー嬢ちゃんがいつも使っている剣は合っていいるようじゃから、後は戦い方じゃの。他は日々の反復した鍛錬で向上して行くじゃろう」
「戦い方……間違った戦い方をしていたのでしょうか?」
「そうは言っておらん。むしろ、戦い方という意味では手本になるくらいじゃの。じゃが、もう少しずる賢く……そうじゃのう……わかりやすく言えば、相手の意表を突く、全力を出させる前に倒す、とかかの? ソフィー嬢ちゃんもある程度はやり始めているがの。極端な事を言えば、相手に気取られずに後ろから斬りかかると言うのもありじゃな」
「それは……卑怯な戦い方、とも取られるのでは?」
「魔物相手に、卑怯も何もないわい。人間相手の模擬戦などのように、正面からやり合うわけではないのじゃからの。やるかやられるかなのじゃから、卑怯などと考えず、どうやったら一番危険が少なく倒せるのか、どうすれば相手に剣を届かせられるのか、を考えるべきじゃ」
エアラハールさんの言う通り、魔物との戦いはやるかやられるか……マックスさんにも以前言われたけけど、卑怯だとか相手がかわいそうとかは考えず、とにかく相手を打ち倒す事を考えるのがいいんだろう。
ある程度ルールが決まっていたり、正々堂々と……といった戦いができる相手ではないのは確かだから。
まぁ、そうは言われてもこちらは感情を持った人間だし、殺し屋なわけでもない……魔物討伐を請け負う仕事の冒険者ではあるけどね。
ともあれ、ソフィーの戦い方は基本が正面から相手へと駆けこんで切り伏せる、という真っ正直な物だから、相手は構えやすいというのもあるんだろう……それが、騎士っぽい戦い方にも繋がているんだろうけど。
さっきエアラハールさんが言っていたずる賢さというのは、こういう事かぁ。
「まぁ、ソフィー嬢ちゃんの性格や考え方にも繋がる事じゃからの、無理に変えろとは言わん。じゃが、今まで以上に強い魔物と戦う際には、必要な事でもある。魔物は、単純な身体能力なら人間などものともせんからの。それを、魔法も含めて知恵や技術、道具を使って倒すのが冒険者なのじゃ」
「私自身も、なんとなく思っていたように上達しないと感じていたのは、そのせいかもしれません。利用できる物は、なんでも利用して戦えという事ですか……」
「まぁ、ワシの教えは一つの道筋を示すのみじゃ、強制はせん。ソフィー嬢ちゃんはソフィー嬢ちゃん自身で考えて、思う方向へ突き抜けるのも良いかもしれんの。険しい道ではあるが、突き抜ける事ができれば、誰にも追随を許さない実力者になる事も可能じゃ。もちろん、それはモニカ嬢ちゃんにも言える事じゃぞ? 先程は言わなかったがの、一撃の威力は上がらずとも、決して隙を見せぬ戦い方というのを突き詰めるのも良いじゃろう」
「……はい」
「思う方向へ突き抜ける……ですか」
あくまで、エアラハールさんは方向性の一つとして助言しているという事だろう。
だからこそ、ヴェンツェルさんやマックスさんのような筋肉を求めるような人が、指導している中で現れたのかもね……あの二人は極端な気もするけど。
ともかく、あぁしろこうしろと向かう方向性を決めるのではなく、今より良くなるであろうという部分を指摘するだけで、結局どうするのかは自分で決めろという事だ。
自分で考えながら鍛錬をする必要があるため、ある意味道筋を決められるよりも厳しいと言えるかもしれない……決めてくれたら、それに従っているだけでいいからね。
「突き抜けると言っても、リクのようにではないぞ? ある意味突き抜けているのじゃが……特殊過ぎるからの」
「それは……はい、わかっています」
「えっと、俺ってそんなに変な方向へ突き抜けていますかね?」
エアラハールさんが俺の方を見ながら、溜め息を吐きながらソフィー達に言う。
モニカさんは苦笑し、フィネさんはキョトンとしているのはともかく……ソフィーが深く頷くとは……いや、自分が普通の人と同じだとまでは、もう考えていないけどね……。
「技術も何もなく、ただ単に力だけで魔物の体を斬り裂くなんぞ、特殊な突き抜け方じゃ。聞いておるぞ? 魔物の持つ武器も含めて斬り裂くのは、技術でどうこうという問題じゃないからの」
「あー……まぁ、それは……あはははは……」
「今の剣は魔法具で丈夫だからいいけど、その前に使っていた剣はすぐにボロボロになっちゃったものね……折れなかったのが不思議だわ」
「それなりにしっかりした物ではあるが、なんの変哲もない剣で魔物を一撃で胴体から真っ二つなんて、私には到底不可能だな」
「リク様は、そんな事もできるのですね……」
誰かに聞いたのか、エアラハールさんには以前の戦い方が知られていたようで、その時の事について謂れ、ソフィーやモニカさんにも同意される。
これに関しては、まだあまり加減の仕方を知らなかった頃でもあるし、本当に力任せで剣を振るっていたから、笑って誤魔化すしかできない。
おかげで、鉱山でエクスブロジオンオーガに対して使っていたボロボロの剣程ではないけど、エルフの集落へ行く前に買った剣は、刃こぼれして使い潰したのと同じようにしてしまった。
買う時、数年は買い替えなくていいくらいの剣と言われた物なのに……。
フィネさんがなぜか尊敬した目で見ているけど……そんな目で見ないで……ただ単純に考えずに剣を振るっていただけだから……。
下手をしたら、力に溺れるようになっていたかもしれないし、今ではエアラハールさんの教えを受けて加減もできるようになったんだからね。
「リクはまぁ、特殊な例としてじゃ。そうじゃのう……もしソフィー嬢ちゃんが、先程言ったワシの指摘から戦い方を考えるのであれば、参考にするべきはそこの……フィネと言ったかの? そのおなごの戦い方を参考にするのも良いじゃろうの」
「え、わ、私ですか!?」
急にエアラハールさんから名前を出されて、フィネさんが驚いて自分で自分に指を刺した。
「確かに、Bランク冒険者でもあり、実力は間違いなく私より上ではありますが……あちらは斧、こちらは剣で使っている武器が違うのですが……」
「武器が違っても、参考になる戦いというのはあるものじゃ。フィネ嬢ちゃん……でいいかの?」
「あ、は、はい!」
呼び方を確認されたフィネさんは、直立したまま頷く。
自分に話が振られるとは思っていなかったので、まだ驚きが勝っているようだ。
「フィネ嬢ちゃんは斧の扱いに慣れているのは当然じゃが、その戦い方は相手の意表を突く事に終始しておった。正反対という程ではないが、ある意味ソフィー嬢ちゃんとは対極と言える戦い方じゃろう」
「確かに、フィネは私より戦い慣れているのもあって、相手の隙を作らせるのが上手いと感じました……」
0
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる