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モニカさんと現状の確認
しおりを挟む「ただ……」
「ん? 何か引っかかる事でも?」
「いえ、引っかかると言う程じゃないの。長い戦いで、皆にも疲れがね……そもそも、ヘルサルの時みたいに備えていたわけではなく、いきなり囲まれたから」
長期間の戦いで、兵士さんや冒険者さんのような戦う人達以外にも、それを補助している街の人達も疲れが色濃いらしい。
ヘルサル防衛戦の時のように、十分……とは言わないまでも、ちゃんと準備して備えていたのとは違っているからというのもあるらしい。
まぁ、ヘルサルの時は俺がやっちゃって、短期間の戦闘で済んだんだけど。
とにかく、負傷者はもとより疲労が蓄積されているため、魔物の数が減少して戦闘箇所も二か所になったとはいえ、だから一気にというわけにはいかないとか。
魔物の数は少しずつ減らしていて、俺が作った土壁の辺りまでは完全に押し返して確保したらしいけど、今は堅実にこちらの被害を増やさないようにしている段階だとか。
味方の損害を減らすか……マックスさんが張り切っていそうだな。
と思ったら、ある程度押し返して盾部隊の役割も減り、任せられる人が出て来たから今は、料理係になっているらしい。
「父さん、今は戦うよりも料理を作るのが領分だって。魔物と戦うよりもやりがいのある戦争だって、楽しそうにやっているわ」
「ははは、マックスさんはいつも獅子亭で厨房に入ったら、戦争とか言っていたからね」
苦笑するモニカさんに、笑う俺。
炊き出しみたいな事なんだろう、兵士さん達などの戦っている人達をメインに、料理を作って食べさせているらしい。
獅子亭の料理は、量も質も一級品だから兵士さん達の士気も上がるだろうね。
大人数の料理を作る厨房……ピーク時の獅子亭を思い出したけど、あれは確かに戦争と言える程大変だからマックスさんがそういう気持ちもわかる。
他に、マリーさんはまだ魔法部隊を指揮しているとか……こちらは、クォンツァイタを使っての魔法攻撃で、魔物討伐などにかなり大きく貢献しているとか。
マックスさんも、マリーさんが頑張っているからこそ、存分に料理の腕を振るえるのかもしれない……マックスさんの料理を食べたから、マリーさんも頑張れるのかな?
「とにかく、ちょっと皆の疲労が濃いのが気になりはするけど……少しずつ確実に、魔物を減らしているってわけね」
「その辺りの堅実さは、マックスさんもそうだけどシュットラウルさんの手腕っぽいね。何もなければ、このまま大きな問題は発生しなさそうだ」
「そうね。皆が皆疲れているのを、よくわかっているみたいね。休める時に休ませ、大きな失敗をさせないよう全体を見て指揮しているように思うわ」
やっぱり、シュットラウルさんは軍を率いる貴族として、優秀なんだろう。
ちょっと魔法鎧を着て突撃したり、ワイバーンが転がるのを見て面白がった挙句に、自分もやりたいと思うような人ではあるけど……。
「でも、あと少ししたら王都からの援軍が来る予定だから。それに合わせて、魔物達を一気に掃討する見込みね」
「あぁ、そういえばシュットラウルさんも言っていたね」
移動の疲労はあるだろうけど、王都からの援軍が来れば、センテはすぐに押し寄せる魔物達の殲滅が完了するだろう。
シュットラウルさんに頼まれるまでもなく、もう俺の出番はほとんどなさそうだ。
「というわけで、少なくともあと数日……長く見積もって十日も経たないうちに、魔物は全て討伐されると思うわ」
大体それくらいか……まぁ、確実に倒していくならそんなものだろうね。
被害を省みず、全力で戦えばもう少し短縮できるだろうけど、避けられる被害なら避けたいし。
「あ、負傷者とかはどうなっているんだろう? 一応シュットラウルさんには、俺が治療をしてもいいように許可を取ってあるけど」
「リクさんの治癒魔法なら、すぐにまた戦えるようになるわね……えーっと……」
「いや、また前線に送るためとかじゃないんだけど……」
負傷者が多いようならそちらを優先しなければと聞いたけど、モニカさんは戦線離脱した兵士さんを再び戦えるようにと考えたようだ。
それはそれで、結構過酷な事を考えるんだなぁ。
まぁ、非常時だし戦力と考えれば悪い事じゃないんだけど……怪我をした兵士さんの精神的な疲労を考えなけばね。
「そうね、昨日や今日で重傷者は減っているわ。リクさんの活躍と、無理をしない戦いのおかげね。あとは、これまでに負傷した人がそれなりにいるくらいかしら」
「緊急性はあまりないんだね?」
「えぇ。負傷者を治療して戦線に戻すのなら助かるけど、現状ではやらなくても確実に押し返しているわ。多少なりとも負傷者が出る事を織り込んで、戦っているからでしょうね」
「成る程ね……」
それじゃ、優先順位は高くないか……まぁ、怪我をして苦しんでいる人もいるんだろうけど、治療したらしたでまた戦闘に駆り出されるのなら、もうしばらく休んでもらっていた方がいいのかもしれない。
……怪我をしたままか、前線に向かうか、どちらがいいのかはわからないけど。
とにかく、新しい負傷者で今すぐ治療しなければいけない人は出ていないようだし、これなら先にワイバーンの方に向かっても良さそうだ。
「それじゃ、俺はボスワイバーンと一緒にワイバーン達の待っている森に行く事にするよ。戻って来たら……一応ワイバーン達の事をお願いしないといけないけど、それが終わったら治療にあたるかな」
「そう、リクさんはワイバーン達の所へ……私も行くわ」
「モニカさんも? まぁ、特に行っちゃいけない理由はないけど……でも、こっちでやる事とかがあるんじゃないの?」
ソフィーやフィネさんと同じように、南門周辺の片付けとか、東門でマックスさんやマリーさんと合流したりとか。
何かしらやる事があると思っていたんだけど。
「それがないのよ。人手は……どこも足りているとは言い難いんだけど。ソフィーがね、今日はリクと一緒に行動しなさいって。まぁ、私一人が抜けても大きな影響はないようだし……」
もしかすると、ソフィーがモニカさんを気遣っての事かもね。
モニカさん、気を張っている様子だったし……ソフィー以上に真面目なところがあるから、センテが魔物に囲まれてからずっと、緊張状態だった可能性もある。
活躍も十分にしていたわけだし、モニカさんを休めるためでもあるんだろう。
真面目という意味では、ソフィーやフィネさんもそうなんだけど……フィネさんは言わずもがな、ソフィーも俺達より長く冒険者をやって来ていた事もあって、気を抜くべき時は気を抜いて休む術を見に付けているようだからね。
「そっか。わかった、それじゃ一緒に行こう。あまり楽しい事じゃないと思うけど」
ボスワイバーンを連れて、ワイバーン達と合流、センテに連れて来るだけだからね。
途中で魔物と戦う予定もないし……まぁ、またエルサに通訳をお願いする事もあるかもしれないけど、ある意味それも面白いかも?
あ、いや、あれは俺がエルサと契約で繋がっているからか。
ワイバーンと会話している俺を見て、面白がる事くらいはできるかな?
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