神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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悪い力と気持ちの悪い気配

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 フレイちゃんが思い出したのは、俺に何か伝えなきゃいけない事があるんだとか。
 内容は気になるけど、ウィンさんの言葉がフレイちゃんにだけで、俺達には何も聞こえなかったのはスピリット同士だからどこか繋がりがあるからかもしれない。

 呼び出して実体化していないから、俺達にははっきりと声として届かなかったんだろう。
 って事は、フレイちゃんだけでなくウィンさんが俺達に……というか、俺に伝えたい事があるって事か。
 さっきここから離れてって言っていたのと、関係あるんだろう。

「チチチ、チチーチチチチ」
「んっと……ここは危険だから、すぐに遠い所に離れて?」
「チチ!」

 声を出すフレイちゃんの言葉の意味が、頭の中に入り込んで来る。
 モニカさんにもわかるように、それと確認のために口に出すと、フレイちゃんは頷いた。

「どうして、ここから離れた方がいいの? というか、離れるっていうのは、この場所……えっと、アーちゃんが魔物を倒すための舞台を作った場所って事かな?」
「チチー。チチチ、チーチチ、チチチチ!」

 首を振るフレイちゃん、どうやらこのスピリット達が魔物を倒した場所って意味じゃないみたいだ。
 えっと……ここじゃなくて、ここら一帯……つまり、センテ周辺から離れろって事らしい。
 確認とモニカさんにも伝えるため、また口に出して聞く俺にフレイちゃんが頷く。

「センテから……そういえば、ロジーナも似たような事を言っていたっけ……」
「あいつは、ただリクが邪魔なだけなの」

 ロジーナ……つまり破壊神も、話した時にどこか別の場所へ行けと言うような事を言っていた気がする。
 それを思い出して呟くと、ユノが口を尖らせた。
 確かに、ロジーナにとっては俺が邪魔のような雰囲気だったけど……でも、ただそれだけで言っている感じじゃなかったんだよなぁ。
 まぁ、向こうは何を考えているのかわからないし、何かを隠している様子もあったから、今は考え過ぎないようにしておこう。

「チチー、チチチチチ……」
「悪い力……? それって……」
「もしかして、だわ……」

 その後もフレイちゃんに詳しく話を聞いてみると、何やらセンテを中心にして、妙な気配が渦巻いているのだそうだ。
 その妙な気配が、悪い力となって少しずつ俺に向かっているとか……。
 悪い力、妙な気配……ここ最近、エルサと気にしていた気持ちの悪い気配の事だろうか?
 暢気に話を聞いていたエルサも、これには深刻な様子で呟いた。

「俺も、ちょっと気になっていた事があるんだけど、フレイちゃん……」
「チチ―……」

 確認のため、フレイちゃんにこちらから質問をする……エルサが感じている気持ちの悪い気配についてだ。
 すると、それがおそらく同じであるだろう事が判明。
 スピリット……つまり精霊であるフレイちゃんは、魔力や意識などの集合体であるらしく、その気配がエルサやユノよりもはっきり感じられるんだとの事。
 感じられるどころか、より直接的に影響を及ぼす事も考えられ、しかもその気持ちの悪い気配の中にも、スピリット達の断片が混ざっているからとも言われた。

 詳細についてはよくわからない部分があったけど……とにかく今センテ周辺には、悪い力が集中しており、それが俺を目標に向かって来ているんだとか。
 いやむしろ、俺の中に入り込んできているようだとか。
 そのため、寝ている俺の無意識に呼びかけて、ようやく今日呼び出して伝える事ができたと……。
 その際、もしかしたら忘れているかもしれないので、気付いてくれるまでずっと呼び掛けてくれていたようだ。

「もしかして、ここで妙な感覚というか……急かされる感じになったのって」
「やっぱり、ここでスピリット達が暴れたからだわ。まだ少し繋がりが残っていたからだわ」
「チチ!」

 暴れたと言ったエルサの言葉に、フレイちゃんが抗議するように鳴く。
 それはともかくとして、ここでスピリット達がそれぞれ俺が呼び出して、力を行使したのは間違いない。
 そのため、魔力も含めて力の残滓のようなものが、細く薄い繋がりになっていたんだろう。
 寝ている俺の無意識に呼びかけて……というのは、夢とかそういった部分だろうか? その辺りは、詳しく聞いてもよくわからなかった。
 睡眠中の無意識は、溶け出して混ざり合い、集合して繋がり合う……無意識の中の意識の壁を破れば、その人の無意識に訴えかける事ができる。

 また、睡眠が浅くなったり起きる直前が一番、意識の壁が薄くなる。
 なんて事を言われても、ほんの少しくらいしか理解ができない。
 他にも、集合的無意識とか意識と無意識の境界線……なんかを、フレイちゃんではなくユノが喜々として語ってくれたけど、モニカさんも俺も首を傾げるばかりだ。
 とりあえず、寝ている俺に呼び出すようずっと語り掛けてきていて、目を覚ます直前にほんの少しだけ繋がったという事だと思う、多分。

「チチ、チチチ!」
「他のスピリット達も呼び出して欲しい? それはまぁ、なんとかできるけど……さっき言っていた、ここから離れろってのは?」
「チチー、チチチチ……」

 とにかく、フレイちゃんだけじゃなく他のスピリット達も呼び出して欲しい、と訴えるフレイちゃん。
 最初に言っていた、俺がここを離れると言話しはどうしたんだろう? と思って聞いてみると……。
 やっぱり、俺とエルサやユノが妙に感じていた気持ちの悪い気配は、フレイちゃんが言っている悪い力と同じで、それから逃れるためにセンテの周辺から離れた方がいいって事。
 そして、俺が離れている間に、スピリット達が協力してその悪い力を分散させたり、解消させたりして、影響を及ぼさないようにする、という事らしい。

「悪い力か……」
「これで、私の感じていた気持ちの悪い気配の正体が、少しだけ判明したのだわ。リクに影響があるようなら、言われた通りにした方がいいのだわ」
「意識や、魔力に限らず目に見えない事象に関しては、スピリット達はスペシャリストって言えるの。そのスピリット達が悪い力と言っていて、それがリクに影響するなら、言う通りにした方がいいの」
「エルサちゃんもユノちゃんも、同意見みたいね。私は……正直、話しのほとんどが理解できなかったんだけど、どうするのリクさん?」

 悪い力、というのがなんなのかわからないけど……エルサやユノはフレイちゃんと同じ意見で、俺がここから離れた方がいいと考えているようだ。
 モニカさんは、俺と同様に話の内容が全部理解出来なかったようで、俺がどう判断するの窺っている。

「そうだね……俺も、理解できる事は多くなかったけど、フレイちゃん達がそういうならと思うよ。フレイちゃんもそうだけどスピリット達が、嘘を言うようには思えないし……エルサやユノもこう言っているから」

 エルサやユノは信頼しているし、フレイちゃんもそうだ。
 スピリット達が、こういった事で嘘を言って俺達をはめようとするとは考えられないし、ここは素直に従っておいた方がいいだろうと思った――。


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