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作戦会議は続く
しおりを挟むワイバーンが戦う場合、再生中はそちらに集中してしまって隙だらけになってしまうため、ボスワイバーン以外魔法が使えない事もあって不安が残るけど……複数で一体の魔物に当たるようにすれば、その不安もかなり取り除かれる。
敵として戦っている時はともかく、味方になった以上は捨て駒とか使い捨てのように扱う気はない……それをすると、帝国と変わらなくなってしまうからね。
どうしてもワイバーンが迫る魔物達を相手にして、勝てないようであればボウリングよろしく転がってもらって、陽動とかも考えているけど。
まぁ、それは奇策としてで実行するつもりはない。
「ワイバーン自体の数は、向かって来る魔物と比べて少ないので大きな活躍は期待できないかもしれませんけど……」
ワイバーンは全部で三十体程度……上空監視も続けるから、戦闘に参加できるのは二十体といったところだろう。
少数でさらに複数で敵一体と戦うって考えたら、目覚ましい活躍はあまり期待できそうにはない。
「ふむ……今は少しの戦力でもありがたいか。兵士達からの報告では、おとなしくしているだけでなく、周囲の兵士とも打ち解けているようでもあるからな」
「不思議ですね。魔物といえば、人間だけでなく他者を見れば襲い掛かるもの……と考えていました。ですがリク様の連れ帰ったワイバーンは、牛や馬以上に人間と親しくなろうとしています」
「他の魔物よりも知能が高いとか、通常のワイバーンとは違うからとかでしょうか……」
数が少なくても、今は魔物を倒すためにはありがたい戦力だと、シュットラウルさん達も考えているようだ。
北側の駐屯地でのワイバーンや、兵士さん達との様子は耳に入っているようで、マルクスさんと不思議がっている。
エルサが半分遊びのように、空中戦闘機動を試したりとか、色々とワイバーンを圧倒したせいだったり、俺が人間に危害を加えないよう脅しみたいな事を言ったからのような気もするけど……。
でもやっぱり、一番の理由は復元されて通常とは違うワイバーンになっているからなんだと思う。
こちらの言葉を理解して、理性的に行動してくれているし……ゴブリンとかと比べると、知能が高いんだろうなと思う部分もある。
……ゴブリンとかと比べたら、ワイバーンがかわいそうかもしれないけど。
「兵士達はある程度わかっているから、ほとんどいないが……一部、ワイバーンに敵意を向ける者もやはりいるようだからな。ここでこちら側の戦力として戦ってもらう事で、味方だと示す事もできるやもしれん」
「やっぱり、そういう人はいるんですか? 俺が見た限りじゃ、そういった視線や感情を向ける人は見かけませんでしたけど……」
腕を組んで考えるシュットラウルさん。
予想していた事だけど、魔物のワイバーンを快く思わない人もやっぱりいるみたいだ。
ただ、俺が見た限りではそんな反応をする人はいなかったんだよなぁ。
俺が鈍感なだけかもしれないけど……少なくとも、悪く言ったりワイバーンと一緒にいる時に、睨んだりとかっていうはっきりした反応はなかった。
「それは、リク殿が連れ帰ったからでもあるだろう。英雄と讃える人物の前で、あからさまに態度には出さんさ」
「そういうもんですか……」
まぁ、シュットラウルさんが言っている事ももっともか。
例えば上司や尊敬する人が、自分の嫌いな人物と一緒にいても、目の前で悪く言ったりはしないだろうからね。
「王都ではワイバーンを見た者は多くとも、リク様が蹴散らしたのも見ていますし、ワイバーンその者からの被害はほとんどありません。他の街や村でも同様に、魔物であっても有効的なワイバーンに悪感情を抱く者は少ないかもしれませんが……今センテでは魔物との戦いが続いておりますから」
「リク殿が戻ってから、そして怪我人の治療もしてくれたおかげで、その後の人的被害は少ないが……それまでにも相当な数の被害が出ているからな。兵士も、冒険者も……そしてセンテの民も」
「それは……そうですね。ワイバーンが直接やったかどうかに拘わらず、魔物というだけで嫌悪する人はいるでしょうし……」
それが、身近な人を魔物に殺されたとかなら尚更だ。
平常時は、衛兵さん達や冒険者さん達が頑張って、魔物からの被害をできるだけ防いでいるけど、ないわけじゃない。
それが今は、大量の魔物と一カ月くらい戦い続けて多くの人に被害が出ているんだから、仕方ない事か。
人に直接被害が出なくても、魔物がいるせいで平穏な生活ができない……というだけでも、十分嫌悪する理由になり得るだろう。
「まぁ、そういった感情全てを払拭する事はできんからな。行動などは私が抑えつける事はできるが……そうして内側で何を考えるのかまでは、強制できん。だが……」
「ワイバーンが積極的に街に迫る魔物と戦えば、多少は悪感情も緩和される……というわけですね。私も同意します」
「うむ。全てではないにしても、多少はな。もちろん、戦闘そのものを民は直接見る事はできないが、協力して魔物を退け、戦果を挙げて街の窮地に対して尽力したとあれば、悪く思うばかりでもあるまい」
ワイバーンが直接センテの人と戦ったわけでもないというのもあり、味方になって頑張ってくれたのなら、多少は見方も変えるってところだろう。
全ての悪感情が取り除かれるわけではないけど、少なくともワイバーンに対する敵意は薄まってくれるか。
「戦力としての大小ではなく、参加する事に意義があるわけですね。わかりました、ボスワイバーンとも話して協力してもらえるよう頼みます」
「うむ、そこはリク殿しかできん事だからな。頼む」
まぁ、ボスワイバーンに言ったらすぐに承諾してくれそうだけどね。
ただワイバーン達は、わりとのんびりしたり暢気に過ごすのも好きなようだから、戦闘を強制するような事はしたくない。
もし嫌がるようなワイバーンがいれば、そのワイバーンは戦闘には参加させないようにしようと思う。
……直接戦闘じゃなくても、上空監視もあるからそちらで活躍してもらう事もできるからね。
「さて……リク殿の提案で、ある程度魔物と戦える見込みができたのは良い事だが……問題はヒュドラーだな。いや、他の魔物も問題なのは間違いないのだが」
ヒュドラーは他の魔物と違い、Sランクの魔物。
本来なら百人単位で討伐する相手なのだから、シュットラウルさんが問題にするのもわかる。
「一体は……リク様にお願いできますでしょうか? リク様であれば、単独で討伐できるかと思うのです。」
「はい、そのつもりでした。ヒュドラーと戦った事はありませんけど、なんとかなると思います」
マルクスさんからの、こちらを窺うような視線。
申し訳なさを感じているのは、俺に頼むからというだけでなく自分達で全てなんとかできないから、という不甲斐なさを感じているように見えた。
「ヒュドラーは、国の歴史にすら出て来る強力な魔物だ。少なくともここ数十年は、発見された情報がなく戦った事のある者はいないが……ヤンとベリエス。冒険者ギルドとしてはどうだ?」
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