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体の大きさ問題発生
しおりを挟む魔法鎧を身に付けてヒュドラーの足止め役、俺はモニカさん達が適任かなと考えたけど、
もしそれ以外に兵士さん達や他の冒険者さん達の中で、実力者や適任者がいるのなら無理に通す事はない。
ちなみに、フィリーナやカイツさんも候補として頭に浮かんだんだけど、すぐに脳内で却下した。
あの二人は鎧を着て魔物にぶつかるのではなく、後方で魔法を使った支援をした方が良さそうだから……接近戦は以前初めてエルフの村に行った時、フィリーナがソフィーに教わって少しはできるようになっているみたいだけど。
エヴァルトさんとかがいれば、筋肉的な意味では適任だったかもしれない……あとそもそも今いるエルフは二人だし。
アルネがいれば、一応は三人一組で考えられたかもしれないけどね、実行するかはともかく。
って、ん……? 筋肉……?
「……シュットラウルさんって、そこそこ大柄ですよね? 大隊長さんも」
「む? あぁまぁな。いつ戦闘をしてもいいように鍛えているからな」
「侯爵様が常に戦闘を意識して、備える必要はあまりないのですが……私も、同じく鍛えていますので」
「んー……」
ヴェンツェルさんやマックスさん、エヴァルトさんや元ギルドマスターもそうだけど……皆筋骨隆々としていて、どこのボディビルダーだよと言いたくなるくらい、隆起した厚い筋肉で体が大きい。
それと比べると見劣りするというか、一般的とも言えるくらいだからあまり気にしていなかったけど、よくよく見てみるとシュットラウルさんや、大隊長さんもそれなりに大柄なタイプだ。
マルクスさんは細身タイプだけど、それでも鍛えているおかげでがっしりした印象も受ける。
鍛えているから当たり前と言えば当たり前なんだけど……。
ブハギムノングでも、大柄な鉱夫さん達を見て慣れていたのもあって気付かなかったのかもしれない。
つまり、今目の前にいる男性の平均より体が大きいわけで……。
「だが、それがどうかしたのか?」
「いえ、魔法鎧ってシュットラウルさんや大隊長さんが身に付けていましたけど……中に入る人の体の大きさって、やっぱり関係ありますよね?」
魔法鎧は全身鎧……身に付けている姿を見ただけだけど、密閉型というかそれこそ中に入り込む感じに近いタイプのように見えた。
全身鎧でも、パーツごとに別けてあって多少の調整が効く物もあるにはあるけど、限界があるしそもそも魔法鎧はかなり大きいから調整できそうにもない。
「ふむ、あれは確か私が身に付ける事を想定したのだったか?」
「いえ、一般的とは言い難いですか、それなりに鍛えてある者が身に付ける事を想定して作られています。基準は男性としていましたが……作る過程で侯爵様に近い体躯が基準になっていたかもしれません」
大隊長に顔を向けるシュットラウルさん。
シュットラウルさんが作らせたんだから、結果的に基準となってもおかしくないけど……。
「つまり……」
「それじゃあ、女性が身に付けるには大きすぎるって事になりますね」
自分がと言われて、またそれなら身に付けると言い出しそうだったシュットラウルさんの言葉を遮る。
機会を窺っているようだけど、それだけは断固阻止だ。
「モニカ殿達は女性でしたね。多少の微調整はできますし、少々の大きさ違いも大きな問題とまではならないでしょうが……体型からして男性と違います」
「はい。部分鎧とか皮の鎧とは違って、体型が違ってもある程度対応できるわけじゃありませんよね。大きさに関して失念していました……」
大隊長さんに言われて、思わずあちゃーという声が出そうになるのを我慢しながら、そう呟く。
体型なんて個人差が大きくて当然だ……衣服や皮の鎧、金属製でも部分鎧なんかはある程度、調整できるようになっているけど。
まぁ、それでも自分のサイズにぴったり合う物が欲しい場合は、オーダメイドになってもちろんお高い。
サイズ調整もできなくはないだろうけど……ソフィーとモニカさんとフィネさん、女性用にするのは難しいと思われる。
特にモニカさんは胸部装甲が……。
「今から調整するのは……間に合いませんね」
「ですね。そもそも魔法鎧は他の鎧とは違って魔法具として作ってあるので……調整するにしても数日でどうにか代物ではありませんから」
俺が考えていた事を代弁するように、マルクスさんが大隊長さんに聞く……途中で断念していた。
通常の全身鎧でも、サイズ調整には数日かかりそうだし、男性用から女性用にというだけでもかなり時間がかかりそうだ。
魔法鎧が魔法具であるなら、尚更今から間に合わせる事はできない。
「なら、別の候補者を考えなければいけないな」
「ですね。アマリーラさんやリネルトさんも考えましたけど、こちらも同じくですし……」
むしろ、アマリーラさん達は尻尾や耳があるので、頭からつま先まで全身を覆う鎧の調整はさらに難しいだろう。
「大柄でいて、実力者……兵達の中から選ぶべきか。どうだ?」
「選定はすぐにさせますが、ヒュドラーを少数で足止めできる実力者かどうかまでは……」
まともに自分以外の誰かを候補に選ぶよう考え始めたシュットラウルさんが、大隊長さんに聞く。
けど、首を振りながら難しいとの返答。
「冒険者の方はどうだ?」
「……体の大きさ、という意味では多くの者が該当します。しかし……」
「やはり、実力不足は否めません。どれだけ強固な鎧であっても、戦えないのであれば意味がありません」
ヤンさんとベリエスさんにも尋ねるシュットラウルさん。
こちらも、大隊長さんと似たり寄ったりで難しいようだ。
俺も思い浮かぶのは大体女性……モニカさん以外だとルギネさん達とかくらいだ。
……ここの戦力、今この部屋にいるのはほぼ男性なのに、実力者って認められている人に女性が多過ぎない?
「やはり、私が身に付けるしかないか……」
など、シュットラウルさんがまた自分でなんて言い始めて、けどいやいやそれはさすがに……なんて問答を繰り返しつつ、しばらくの間魔法鎧を身に付ける人物の候補を考える。
ちょうどいい人材って、欲しい時にいないものだなぁ……。
最悪の場合は、俺が魔法をぶちかましてさっさと一体目のヒュドラーを倒してしまおうと考えているけど、そうすると周囲への影響が計り知れないので、これは最終手段だ。
再生能力などのしぶとさも含めて、話を聞く限りだと一瞬でヒュドラーを倒そうとしたら多分、ヘルサル農園になった時よりも周辺や地形への影響が大きい魔法じゃないと無理そうだから――。
「失礼します」
「リク、呼ばれたから来たのー」
「リネルトさん、ありがとうございます。……ユノ、なんでマックスさんに肩車されているんだ?」
あーだこーだなんだかんだと、話し合っているうちにリネルトさんが戻って来る。
ノックと名乗った後、入室許可をシュットラウルさんが出して、一緒に入ってきたユノ……というか肩車をしているマックスさんに目が留まる。
マックスさん、大柄なうえに身長もあるからユノの頭が、天井ギリギリだ――。
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