神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,253 / 1,955

リクの攻勢

しおりを挟む


「よし……っと、多重結界!」

 意気込み、動き回りながらもヒュドラーからの攻撃を結界で防ぐ。
 まだだ……ヒュドラーの攻撃が止む瞬間、そこを狙わないと……
 数回、エアソードとヒュドラーのブレスがかち合った時、エアソードは火炎ブレスも含めてヒュドラーのあらゆる攻撃を斬り裂いて突き進んだけど、その際の威力は減衰していた。
 圧縮した空気の刃、その形が歪んでしまったんだろう。

 ヒュドラーの攻撃の威力を受けてなのか、魔力的な干渉のせいなのかはわからないけど、エアソードは二つから三つの首を斬り落とすくらいしかできなかった。
 考えている計画を実行して、確実に止めを刺すためには最初に放った時のように、六つの首は斬らなければならない。
 できれば、七つだけど……空気を圧縮しているせいなのか、変換させた魔力がヒュドラーに当たって減衰し始めると、途端に威力が落ちるようで期待はできない。
 ギリギリ六つの首を斬ったくらいで、圧縮した空気を維持できなくなる……って考えて良さそうだ。

「一応、保険になれればって考えているけど……これはもしもの時に限るし、そんな事は起こって欲しくないけど……っ!」

 妨害されなければ、五つの首は確実……六つの首を斬り落とせなかった場合の動きも、一応考えている。
 六つの首が斬り落とせた時に、実行すればとも考えたけど……これで決めないと、そろそろ周囲の状況が動き始めているようだ。
 開戦直後は、定期的に飛来していた援護の矢は来なくなっている、矢がなくなったのかもしれないし、抜けて行った魔物の対処で一斉に弓矢を打てない状況なのかも。
 モニカさん達は、ある程度の魔物を倒してはいたようだけど、後から後から迫る魔物に押されて、最初の頃は振り向けば微かに見える位置にいたのに、今は見えない……距離が離れた事と、魔物が間に入り込んでいるせいでもあるんだけどね。

 とにかく、ヒュドラーと戦っていられる猶予はもうほとんどない……何度も、そして色んな方法を試していられる状況でもないので、ここで決めないといけないわけだ。
 そのため、確実性を上げるために少しだけ機会を窺う。
 いや、機会はずっと窺っていたけど……ようやく倒せそうな案が浮かんだんだ。

「……まだ。まだ……今だ!」

 結界を張り、もしくは動き回って避け、攻撃をするのに一番効率的な位置取りを探り、耐え、機会を窺い、ついにその時が来た!
 ヒュドラーの首がほとんど同じ軸で並び、俺のいる位置もほぼ真横……絶好の機会だ!

「コンプレスエアソード! っ! 結界!」

 イメージを崩さないよう、魔法名を省略せず確実に発動させる。
 この時のために、ずっと発動直前の状態で待機させていた。
 エアソードが発動されて九首側に向かうのと同時、俺もヒュドラーの首を狙って飛び上る!
 さらに、中空に結界を地面に平行になるように発動……結界はもう使い慣れ過ぎていて、適当にイメージするだけで発動するから、本当に便利だ。

「ギャギ!?」
「ギギュ……!」
「ギー……!?」
「よし、狙い通り六つの首を斬り落とした……! 後は俺自身が!」

 先にヒュドラーへと迫ったエアソードは当初の狙い通り、九首から六つの首を斬り落とした。
 ただ五首だけは、守るために遮った四首と三首によって邪魔された……おそらく、俺が何度もエアソードを使っていたから、ヒュドラー自身がどういう攻撃か理解してしまったんだろう。
 確実に斬り取られるのなら、他の首を犠牲にして五首を守ろうとしたのだと思われる。
 できれば、一番堅い五首はエアソードで斬り落としたかったけど……できなかったのは仕方ない。

 一応狙いは達成されたのだから、後は俺の動き次第。
 飛び上がっていた俺は、斬り離され、地面に落ちていく六つの首の横をすり抜け、中空に発生させていた結界の上に乗る。
 反撃をするためだろう、残っている三つの首、その顎を俺に向けるヒュドラーに対し、エアソード発動直後から開始していた集中をさらに深くする。
 少しの間……残っている首の口から、それぞれの攻撃が吐き出される……。

「よし、間に合った! 魔力弾!!」

 広く地面に平行に張った結界の上を駆けて、良さそうな位置を発見。
 その瞬間放った俺の魔力弾は、一首の酸、二首の氷を突き抜ける!

「グギ!?」
「フシュ……!」

 それは、エアソード発動直後からずっと溜めていた体内の魔力の放出。
 時間がなかったので、ただ直進するだけの威力が低いものだけど……ついでに俺が今乗っている結界にも魔力が使われたからね。
 それでも十分に二つの首を貫通して突き抜けて、胴体と切り離される二首、一首はそのまま地面へ……。
 直進する魔力弾、これを二つの首に当てるためにヒュドラーの首の位置を気にする必要があったんだ。

 できるだけ軸を同じに、横並びになるのを待っていたってわけだ。
 結界に乗った俺に攻撃する際、少し動いたけど……俺の方が移動して軸が合って良かった。 
 わりと賭けだった部分が大きいね、まぁ、駄目だったら別の手を考えてはいたけど……五首以外なら、なんとかなっていたと思う。
 それはともかく……。

「っ!」

 魔力弾を放った俺に迫る氷の槍、それを左手で打ち払って残他五首を見据える……左手がちょっと痛かったけど、そんな痛みに構っている暇はない!

「残るは五首、やるしかない!……多重結界! くぉのぉぉぉぉぉぉぉ!」
「ギャギャギャギャ!!」

 二人分くらいの大きさの結界を、五首に向かって直進するようにして、発動。
 剣を構えながらその結界を追いかけ、俺も足場の結界を離れる。
 残ったヒュドラーは、再生するまでに五首が斬られれば終わりだとわかっているためか、これまで以上に必死の反撃。
 速度の遅い溶岩を吐き出し、さらに後ろから岩石を追加……同時に当たって威力を増すためなんだろう。

 結界に当たって弾かれる溶岩と岩石。
 溶岩が弾けた空間を結界と共に通過……熱が残っているため、肌が少し火傷するような熱さに見舞われたけど、痛みも含めて全て無視。
 さらに襲い掛かる腐食毒と酸……これは結界を盾にする事で直接触れないようにする。
 飛び散った腐食毒や酸が、突き抜ける俺の服や肌に少しだけ触れて融かす。

「つぅ……」

 溶岩の熱よりもさらに強い熱さと痛みに、顔をしかめる。
 けど、でもそんな事で止まっているわけにはいかない! というか、もう足場の結界を蹴って動き出しているから、止まれない!
 いくつかの結界が壊れたけど、そっちもまだまだ!

「ギャギー! ギャギャギャ!!」

 苦し紛れか、氷の塊を飛ばす五首……向こうも焦っているんだろう、単なる塊でやり槍や矢の形にすらなっていない。
 しかもその直後に、火炎ブレスをばら撒いた。
 結界に防がれる氷の塊、次いで襲い掛かる火炎に氷は融け、中空に広がる火炎ブレスの中を結界を盾にして突き進む。

 氷の塊がぶつかり、火炎に晒されて腐食毒や酸に浸食されていた結界は、ほとんどが破壊。
 残り一枚……火炎の勢いに、結界と俺の勢いが相殺されるのを感じながらも、そして溶岩を弾いた後以上の熱を感じながらも、火の海を突き進む……!
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

処理中です...