神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,301 / 1,955

リクへの疑惑もしくは嫌疑

しおりを挟む


 初めてレッタさんと会った時、あの時はロジーナの母親って言っていたけど……あれは演技だったとか。
 というかさっきも、ロジーナはあの子とか言っていたし俺もレッタさんの話を思い出していたんだから、早く気付けと自分に対して反省を促す。

「む、無視しないで……な、なぜ貴女様がここに……!? リクと協力して……まさか仲間に!?」

 レッタさん、自分の驚きの声がスルーされたからか、ちょっと悲しそうな声を出してもう一度ロジーナに向かって問いかけた。
 初めて会った時に母娘を装っていたから、当然知り合いというかロジーナが破壊神だって事も知っている人のはずだ。
 それなのに、俺と協力して乗り込んできたのを見たら、そりゃ驚くよね。

「私が危ないから、緊急的な措置よ。リクと仲間になったつもりは一切ないわ」
「緊急……?」

 ロジーナの溜め息交じりの答えに、訝し気な声を出すレッタさん。
 ユノと一緒にヒュドラーを足止めして、協力して倒して、ここに来る時も一緒に頑張ったのに……仲間じゃないとあっさり否定されるのは少し悲しい。
 まぁ、元々ロジーナは俺が負の感情に支配された場合、人間になってしまった事で危険が及ぶと考えて渋々手伝ってくれているだけだから、仕方ないけどね。

「私、今人間だから。この姿も以前は仮初だったけれど、今はこの体が私なの」
「に、人間に……!?」
「前にリクと接触して誘導した時のように、ロジーナを名乗っているわ。この体であるうちは、その名で呼んで」
「で、ではロジーナ様……と……」
「えぇ、それでいいわ」

 レッタさんが名を呼ぶと、したり顔で頷くロジーナ。
 俺と会った時は、母娘を装っていて当然ながら母親っぽい雰囲気だったけど、こうして見ると主従関係のようだ。
 レッタさんはロジーナの正体を知っていて従っているようだから、間違いではないんだろうけど。
 ロジーナと一緒にここに来たのは正解みたいだね……これなら話が早そうだ。

「それでレッタ。あなたはここで何をしているの? 大体わかってはいるけれどね」
「それは……ロジーナ様の気配が、センテの街の方に感じられまして。何かを仕掛けているのだろうと……ですので私も後押しのため、魔物達を利用したのです。例の目的のために」
「やっぱりね……」
「最初から上手くいっていれば、使う手段ではなかったのですが……少々強引ながら実行させました」

 ロジーナと話すレッタさんは、素直にここにいる理由を話してくれた。
 そういえば、レッタさんとロジーナはお互いの気配がわかる、みたいな事を言っていた気がする。
 センテにロジーナがいるという気配を感じて、俺を隔離した時のように仕掛けをしていると考えたレッタさんは、援護するためにこうして魔物を引き連れてってわけか。
 実行させたって事は、レッタさん以外にも誰かいるのかもしれないけど……。

「で、なのですが……?」
「ん?」
「ロジーナ様がリクといる理由、をお教えして頂けないでしょうか? 見る限り、破壊衝動に支配されているようには見えません……」

 おずおずと、ロジーナに質問するレッタさん。
 それにしても破壊衝動って……まぁ、ロジーナが俺を隔離させた理由も、絶望した俺が負の感情やらに支配されて、ただ破壊をまき散らす存在にしようとしたかららしいけど。

「あぁそうね。それに関しては本当に緊急的な措置であって、不本意なのだけれど……リクを隔離してセンテの壊滅。それを狙った時にちょっとね。その影響で人間になったのよ。おかげで協力せざるを得ない状況になったわけだけど」
「確かにロジーナ様は、リクに魔物を相手にさせないようにし、その間にセンテのに人間を街ごと滅ぼすと仰っていましたが……その際に何が?」
「思っていたより厄介ない相手だったって事よ。抵抗したリクのせいで私の干渉力がね……まぁ早い話がリクが強引に私を……って、レッタ?」
「リク……やはり貴様が……!! ロジーナ様を誑かしたのね!!」
「うぇ!?」

 話の途中、ロジーナが強引にと言ったあたりで鋭い目をフードの隙間から覗かせて、こちらを睨むレッタさん。
 クラレッタさんやツヴァイと同じく、全身から濃い魔力が滲みだした……魔物を操作するための赤い光を見ていた時から予想はしていたけど、やっぱりこの人も無理矢理魔力量の保持量を上げているのか……!
 というか、誑かしたって……ロジーナが強引にとか言うから、変な勘違いをしてない!?

「ちょ、ちょっと落ち着いてレッタさん。えっと、ロジーナは強引にって言ったけど、俺は単に抵抗しただけで……変な事はしていませんよ!?」
「囀るんじゃないわよ、このロリコンが! 貴様に尊きロジーナ様から賜った名前を呼ばれる事や、そしてロジーナ様を呼び捨てにする不敬も許されぬ!!」

 慌てて弁明をするけど、レッタさんは聞く耳持たず……むしろさらに激昂した。
 というか、ロリコン呼ばわりはさすがに人聞きが悪いというか、俺にそんな趣味はありませんよ!?

「……確かに、レッタともかく私の事を敬わない呼び方は、気になっていたわね」
「いやいや、ロリコンってそんなつもりは……! というかロジーナ、どっちの味方だよ!」

 うんうんと頷くロジーナに思わず突っ込む俺。

「私が誰の味方なんて、私自身の味方でしかないわ。レッタは本当にともかくとして、少なくともリクの味方になったつもりはないって言っているでしょ?」
「そりゃ……仲間ではないともさっき言っていたけど……」

 せめて、俺がロリコンだというのは否定して欲しかった。
 子供は可愛いと思うけど、そんな趣味は一切ないと声高に叫びたい気分だ。

「さっきから、貴様のせいでロジーナ様にともかくとされているじゃない! 絶対に許さないわ……ロリコンは敵……!!」
「ともかくとされているのは、俺のせいじゃないんですけど!?」

 ロジーナがレッタさんの事をぞんざいに扱っているだけで、俺はそこに関与していない……はずだ。
 というか気にしていたのか。
 それはともかく、俺は本当にロリコンじゃないから! 敵じゃありませんよー!

「ふふ、ここにリクがいるという事は今あちらは手薄という事……だったら……」

 急に笑い声を漏らしたレッタさんが、フードを外す。
 中から出てきた顔は、確かに見覚えがある……あの時馬車の中で娘と言ったロジーナと仲良さそうに、そして俺とも仲良く話してくれた母親の顔。
 ロジーナと同じ髪色で笑っていれば、美しく優しそうな雰囲気の母親だと、多くの人が思うだろう……笑っていればね。
 年の頃は二十代後半といったところか……若干、いやかなり怒った表情で俺を睨んでいるレッタさんからは、優しさなんて欠片も感じない。

 というか怖い。
 そのレッタさんは俺を睨み付け、頬を引きつらせながら体の前で両手を組み、人差し指だけを伸ばしてそれへと突き出す。
 ……小学生がイタズラで千年殺しとかって技名を付けられてそうな、あれの練習かな? なんて、冗談は通じる雰囲気じゃないね、これは。
 それら一連の動きを見て、ロジーナがレッタさんに手を伸ばした――。

しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...