神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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確信を得たモニカの怒り

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「モニカ、思い出すのだわ。なんで私達が空から突入にしたのか。飛んでいないといけなかったのか……だわ」
「あ……もしかして……」

 隔離結界の外、今私達の周囲を囲んでいる植物その外まで、地上は赤い光の影響で人が立っていられる状態じゃなかったわ。
 ソフィーの靴を一瞬で溶かしたように、とてもじゃないけど降りられないし、かなりの高さをリーバー達に乗って飛んでいてもその地上からの熱気が届く程だった。
 何もしなくても汗が噴き出すくらい熱くかったわ。
 そういえば、この植物内部はとくに熱のような物を感じない……むしろひんやりしているくらいなんだけど、植物に囲まれて外と隔絶されているからのようね。

「リクが広げようとしている周囲のこれも、赤い光も、そして隔離結界も全て別物なのだわ。だから、お互い干渉すると思うのだわ。隔離結界はまぁ、空間がズレているから直接どうこうはできないと思うけどだわ」
「お互いが干渉って事は、広がろうとすると当然あの地面にも触れるわけよね?」
「はぁ……そうだよ。だからここでこうして、影響が少なくなるのを待っていたんだ。広がる先から残っている影響で燃える。消滅するんだから、広がりようがないよね」

 溜め息を吐きながら、エルサちゃんの話しや私の言葉を認めるリクさんもどき。
 広がろうと思っても、これまではあの地面が邪魔をしていたのね。
 でも今それが広がったのなら……リクさんもどきが言っているだけだし、本当のところはどうなのかわからないけど、もし事実なら地上に残っていた赤い光の影響は大分薄れたって事ね。
 まぁ、それで人が立てるくらいになったのかはわからないけど。

「成る程ね……ある意味リクさんらしいわね。大きな力を使ったけど、思わぬ影響で二の足を踏むような……」
「いつもの失敗とあまり変わらないのだわ。影響の大きさは段違いだけど、だわ」

 意識がどうだとしても、失敗とも言える部分があるのはリクさんらしい。
 それに……あれだけ、魔物も人も関係なくすべてを巻き込もうとする事を言っていたのに、私達を隔離結界で守ろうとしたというのも、またおかしな話よね。
 全てを諦めて、全てを捨てたのなら、私達の事だって守ろうなんて思わないだろうから。

「エルサちゃん、隔離結界はあの赤い光よりも前に使われていたわよね」
「モニカも見ていたのだわ。赤い光が先だったら、私達は今この場にいないのだわ。魔物と一緒に消滅していたのだわ」
「そうよね……」

 確認のため、エルサちゃんに聞いて見るとどうして今そんな事を聞くのか? という反応ではあるけど答えてくれた。
 つまり、赤い光はともかくとして、隔離結界で私達を守ろうとしたのは……今目の前にいるリクさんの体を使っている、負の感情の塊とかではなく、リクさん自身の意思なんでしょうね。
 今の状況、植物が広がるとかではなく、私とリクさんが向かい合っている状況。

 そして隔離結界の事や、私の声……特にリクさんに話し掛ける声に反応して、一瞬だけど目の色が何度も黒く戻ろうとしているのを見て、確証を得られた。
 多くの猶予がないながらも、こうして話しているのは無駄じゃなかったわ。
 
「リクさんの本当の意識は、まだあの体の中にあるわね」
「まだ、負の感情に完全に飲み込まれていないのだわ」

 エルサちゃんもわかりきっている事を言葉にすると、また一瞬だけリクさんの目の色が黒になった。
 ジッと見ていないとわからないくらいではあるけど。
 やっぱり、私の声や呼びかけ……いえ、名前を呼ぶのに反応しているのかしら?

「はははは! 何を言うかと思えば……俺はリクだよ、モニカさん? だから他の意識だなんだと言うのは関係なく、これからはこのまま俺が俺なんだ」
「うるさいわね。ちょっと黙っていてくれるかしら?」
「っ!? な、何を……」

 うだうだと自分がリクさんだと言って、笑うりくさんもどきを睨み、冷たく言い放つ。
 向こうは怯んだ様子だけど、いい加減リクさんの振りをして、リクさんの体で、リクさんの声で、リクさんのものではない意思を伝えて来るのは腹に据えかねるわ。

「ちょっとその口を閉じてもらえないかしら? 聞いていると、イライラするのよ。リクさんの声を使って嘘をまき散らす。馬鹿なんじゃないの? さっきからリクさんじゃないってわかっていて、確信しているのに……未だにあーだこーだと、自分が本物だなんて振りを続けて」

 相手を睨み付け、煮えたぎっている腹の底から噴き出しそうな怒りを抑え、淡々と、冷静に偽物に対して言い募る。
 違和感があると疑った時から、リクさんではないと確信した時から、負の意識が乗っ取っているとエルサちゃんが言った時から……ここでこうしている時からずっと、苛立ちを感じていたわ。

「モ、モニカ?」

 私の手の上で、こちらを窺うエルサちゃんも怯んでしまっているようだけど……エルサちゃんに起こっているわけじゃないからね?

「くっ……! だ、だが、俺が本当のリクじゃないとして、どうするっていうんだい? この体はリクの物だ。それはエルサも認めたでしょう? もしやろうとすれば、モニカだって一瞬で消し飛ばせる力があるんだよ?」
「そ、そうなのだわ。リクが本気になれば、魔力が万全な私だって……ユノやロジーナがいても、抑えられないのだわ。契約があるなしに関係なく、なのだわ。落ち着くのだわモニカ」

 忌々しそうに表情を歪め、それでも自分の優位を疑っていない様子の偽物。
 エルサちゃんも、アワアワしながら私に言っているけど……なんでエルサちゃんがあっち側についているのかしら?
 まぁ、確かにリクさんの力をそのままこちらに向けられるのなら、エルサちゃんや私も簡単に吹き飛ばせると思うわ。
 エアラハールさんの訓練で模擬戦をした時だって、リクさんは加減に加減を重ねて、遊んでいるのかと思ってしまうくらい私やソフィーが協力しても敵わなかった。

 魔力が使えるのなら、リクさんの使うドラゴンの魔法だったかしら? あれは私達だけでなくエルフのフィリーナが使う魔法とは比べ物にならない程の威力になる。
 だから、一瞬で消し飛ばせると言うのも間違いないんでしょうね。
 リクさんは、絶対にそんな事はしないし、向けられる事はないのだけれど。

「だからうるさいって言っているのよ。君がリクさんの体を使おうとしても、どれだけ私達を排除しようとしても、できないのはわかっているわ。はぁ、威勢を張って見せるだけで何もできないなら、本当に黙ってくれないかしら?」
「そ、そんな事は……!」

 あからさまに動揺した様子を見せたわね。
 こうして話している状況から、もしかしたらという程度だったけどこれで確定ね。
 そもそも、本当に全て諦めて捨てるつもりなら、私やエルサちゃんとこうして話すなんて無駄な事をするはずがないわ。
 リクさんを偽る必要もない……できるのなら、ここに来た時点で私達を排除すればいいだけなんだからね。

「お、落ち着くのだわモニカ。あまり挑発するとこっちが危険なのだわ……!」

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