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結界を真似した魔法の壁
しおりを挟む「っ……結界っと。とりあえず、脅威もないから通常の結界だけど、冷たい空気は入って来ないからこれでいいよね」
結界は、冷たい空気が入り込むのを避けるためなので、多重じゃない。
あと、外で張っていた結界や足場結界は先に解除しておいた……まぁ、放っておいても魔力供給できなければ、維持できずに勝手になくなっただろうけど。
それにしても、魔法を使うごとにノイズと頭痛が強くなっている気がする。
もしかしたら、時間を追うごとにかもしれないけど……一体なんなんだろうか?
……しばらく魔法を使う事もなさそうだし、疑問に思うのは後にしよう。
「相変わらず、手軽にやるわね……確かに、冷たい空気が入って来ないわ。はぁ、私達は協力したうえで苦労して、リクの結界を真似したのだけど……それも完全じゃないし」
俺がさっさと結界を張った事に、フィリーナが溜め息を吐きながら疲れた様子を見せた。
結界だけじゃないけど、俺の使う魔法はドラゴンのエルサと契約したおかげだからできるのであって、それをしなくても似た魔法ができたフィリーナ達は、十分凄いと思うけどなぁ。
「まぁいいわ。えっと、あの壁……結界を真似た魔法の事よね」
「あれは魔法だったの? いえ、聞いていると確かに魔法でリクさんの結界を真似たようだけど」
「そうよ。私とカイツの魔力が多少回復するのを待って、さらに魔力が残っている人達や、クォンツァイタを集めてなんとかできた魔法よ」
フィリーナとカイツさんか……さしずめ、何度も俺の結界を見て触れた事もあるフィリーナが、再現しようと頑張ったんだろう。
魔法としての構築は、カイツさんが担当したのかもしれないけど。
「さっきも言った通り、モニカ達が外に出てから熱気が入って来るようになったの。それと、地面の熱も段々とこちら側に浸食するようにね。モニカ達は見ているけれど、ソフィーの靴を溶かす程の熱を持つ地面よ。どうなるかわからないし、こちらに入って来てどこまで広がるかもわからない。だから、慌てて蓋をする方法を考えたの」
「それが、俺の結界って事?」
「そうよ。リクが結界を張った際の効果は、この街や私達を覆う結界がなくても何度も経験したわ。だから、防ぐのならそれしかないと思ったの。木や石、鉄なんかで壁を作ろうとしたけど、まるで意味を成さなかったから……」
フィリーナが言うには、赤熱した地面が内側へと浸食して来ている事に対し、焦って塞ぐための壁を用意したらしい。
けど、木は赤熱した地面に触れれば燃え上がり、鉄は溶けて混ざってしまった……石は燃えたり融けたりはしなかったけど、何故か地面と同じく赤熱した地面と同じく浸食され、いつの間にか同化してしまっていたらしい。
物理的な方法で防げないとなったフィリーナ達は、魔法でなんとかする方法を考えた。
氷や水の魔法を用いて、地面を冷やす方法が最初に試された……けど、浸食を遅らせる効果くらいしか認められなかったとか。
それなら、俺の使っていた結界を真似して完全に切り離す方法を考え付いたんだとか。
まぁ、熱気は防げるし赤い光で強制的にエネルギーとして消費された魔力の影響だから、大量の魔力を使う魔法か、完全に隔絶するしか防ぐ方法はない、かもしれない。
その点結界なら、隙間なく塞いでしまえば空気や魔力を通さないし、熱にも強いからね。
溶ける事もないし。
「それで、カイツや私が協力してリクの結界……と言うには劣化しているけれど、似たような魔法を考えたの。付け焼刃だし、アルネがいたらもう少しちゃんとした魔法ができたのでしょうけど」
フィリーナ達エルフは、人間にも使える魔法もそうだし、それぞれで研究して新しい魔法を編み出している。
それは、俺やエルサのようにイメージを魔力で無理矢理具現化させるのとは違って、魔法理論みたいなものを使って魔力さえあれば誰でも使える魔法だ。
頭に描いた絵を、魔力で引き摺り出して他のあらゆる事を無視するのがドラゴンの魔法。
数式のような理論を用いて、魔力を変換させて現象を引き起こす方法を構築するのが、エルフ達。
といったところだろうか、ちょっと違うかもしれないけど。
「とにかく、その魔法を発動させるためにはとんでもない魔力が必要だったの。それが咄嗟に考えたからかで、完成とは言えない代物だったからでしょうけど。まぁ、リクなら魔力が足りなくて不発なんて事はないでしょうけど」
「さすがに、それはやってみないとわからないけど……」
「リクが使う必要は一切ないけどね。ちゃんとした結界が使えるんだから。で、私達は魔物との戦い、それからリクが私達を覆った結界を破るために、魔力をかなり使っていた。多分、もう少し改良すれば、カイツと私の二人。もしくは魔力を存分に蓄積したクォンツァイタがあれば、使えるでしょうけど……」
何重にも、そして空間すらズラす効果を持たせた隔離結界。
大勢の人の協力と、大量のクォンツァイタがあったおかげで突破できたと聞いている。
そのため、フィリーナもカイツさんも消耗していて当然だろう。
外にいた俺はともかく、内部で数時間程度しか経過していないのだから、魔力が完全に回復したってこともないだろうからね。
ともかく、それでもう一度魔力が残っている人とクォンツァイタをかき集めて、あの不思議な感触の壁を作り出す魔法を使ったらしい。
おそらく、俺が氷の魔力を白い剣で吸収する時微かに感じた、柔らかいような感触というのはその壁の事だったんだろう。
……触れた部分の魔力は吸収できていたはずだから、弱まってモニカさん達が貫ける程になっていたのかもしれない。
「とにかく、かなりの魔力を消耗してあの壁を作った成果は、ちゃんと出てくれたわ。外から熱気が入って来る事がなくなったし、赤くなった地面が入って来る事もなくなったの」
「成る程ね」
「でも、私達が武器で攻撃した時、すぐに再生というか新しく発生するようになっていたわ。リクさんの結界を真似したのであれば、そうはならないと思うんだけど……? あと、なんだか柔らかくて変な感触だったわ」
モニカさんが不思議そうにフィリーナに聞く。
そういえば、フィネさん達の攻撃で斬り裂いてもすぐにその部分を補うように、再生というか新しい壁が発生するようになっていた。
結界には当然そんな昨日はなく、むしろ一部が破壊されれば他の部分もまとめて割れてしまうような脆さも、実はある。
「感触の方はね、未完成だからこそできたのよ。怪我の功名と言うのかしら? リクの結界とは違って、何物も受け付けないのではなく、受け止めるような弾力性のある魔法になっていたの。これは多分、複数の魔力を使って混ざり合った結果、一つにまとまらなかったからだと思っているのだけど……」
あの弾力は偶然できたものだったのか。
まぁ、結界を目指していたのなら、弾性を出すよう求めたりはしないよね。
魔力が一つにまとまらなかったのは多分、量が多かった事が原因かもしれない……負の意識が、最後まで完全に統一できなかったように――。
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