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魔法が使えない事を皆に説明
しおりを挟む「ん……あー、やっぱりか」
使い慣れている結界は、ほとんどイメージに集中する必要はないんだけど、試してみたら同じようにノイズが走るだけでさっきと状況は変わらず、使えなくなっていた。
記憶の方には、ちゃんとこれまでイメージした結界が思い浮かぶんだけどなぁ。
「どうしたの?」
「いや、結界も使えなくなっちゃったなって。ちょっと試してみたんだけど、さっきと同じだった」
苦笑しつつ、俺の様子を窺うユノに答える。
結界が使えないとなると、結構魔物との戦闘でも考える必要がありそうだ。
力任せ……はこれまで通りできるとしても、俺だけでなく皆を結界で守るとかはできそうにない。
エルサに頼むか。
「……今の状態のリクなら、この体じゃなければなんとでもなりそうね。まぁ、あれがあっての今だから、たらればになるけれど」
「魔法が使えない今だったら、確かにそうかもね……」
ロジーナが溜め息交じりに言うけど、多分俺を隔離した時の事を考えているんだろう。
魔法が使えない、結界が使えなければ当然閃光や衝撃は防げないわけで……あの時のロジーナは、破壊神でありながらも俺を殺そうとしていなかったから、ただ単純に隔離され続ける結果になっていただろうね。
「まぁ、今のリクを利用しようとは思わないけどね。異常な程の馬鹿魔力で、自由に魔法を使えてこそだもの」
「ははは、嬉しいような悲しいような……」
肩を竦めるロジーナに苦笑する。
魔法が使えない俺が、破壊に傾いたとしても世界の破壊を招いたりはできないだろうからね。
ロジーナにとっては、利用価値がなくなったという事でもある。
あぁ、だからこそ今は敵対せずにおとなしくしてくれているのかもしれない……人間の体なのも理由の一つなんだろうけど。
「とりあえず、理由はわかったよ。ありがとう」
「別に、リクのために教えたわけじゃないわよ。聞かれたから答えただけだし」
「「……」」
魔法が使えない理由はわかったとお礼を言ったら、プイッとそっぽを向くロジーナ。
なんとなく、ユノと顔を合わせてニヤニヤしてしまった。
「な、何よ……」
「いや、なんでも~? な、ユノ?」
「うん、なんでもないの」
「……なんか、ちょっと癪に障る表情ね。変な事考えていないでしょうね?」
俺とユノを見るロジーナに、ニヤニヤしながら首を振る。
その後も、怪しむロジーナを誤魔化しつつ、その場を離れた。
やっぱりロジーナは、ユノが言っていたようにツンデレなんだな……と思いながら。
まぁ、デレがあるかはともかくとして。
「ユノとロジーナはまぁ、とりあえず向こうは向こうで任せておけばいいかな。魔法が使えなくとも、簡単に氷を割っているし、それが手伝いにもなっているだろうからっとと!」
ユノ達の所を離れ、別の焚き火に当たっているソフィー達の方へ行く途中、一人呟く。
危うく滑りそうになるので、バランスを取りながらだけど。
やっぱり、歩くにしても転ばないように気を付けていたら、結構遅くなるね。
ともあれ、ロジーナは迷惑そうにしそうだけど、ユノ達は大丈夫ろうと確信してなんで魔法を使わないんだろう? と不思議がっているソフィー達と合流して事情の説明。
兵士さん達は、俺がユノ達と話し始めたくらいから各々で動き始めている。
モニカさんもフィリーナと一緒に、魔法で氷を解かす役割だったんだけど、俺が何もせず戻ってきた事に対して疑問だったのか、俺がソフィー達と合流する際、一緒になったのでついでに説明した。
とはいっても、全てを話すのは長くなるから要点だけだけどね。
門を開く条件だのってのは省いて、赤い光と緑の光を使ったからしばらく魔法が使えないって事くらいだ。
「成る程……だからリクさんは魔法を使わなかったのね」
「だが、大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。特に体とかには何も問題を感じないし、単純に魔法が使えなくなっただけみたい」
納得しながらも、ソフィーの言葉と一緒に心配そうにしているモニカさん。
フィネさんやフィリーナも同様だけど、とにかく皆には他に問題はないと安心してもらえるよう笑いかけておいた。
実際、精密検査したわけじゃないからもしかしたら、何かあるのかもしれないけど……内臓とか表面に現れないようなのはどうしようもないからね。
精密検査なんてできないわけだし。
ともあれ、こうしている限りでは特に何もない。
さっき魔法を使おうとして、スノーノイズみたいなのが頭の中いっぱいになって、少し気持ち悪くなったくらいだし、それももうほとんど治っている。
魔力は意識すれば自分の中にちゃんとあるのを感じられるし、さっき焚き火の準備を手伝う際に、氷を割れていたわけだし。
本当に魔法が使えなくなっただけだね。
まぁ、身体能力がそのままという事は、エルサが以前行っていたように、魔法とか関係なく本当に純粋に魔力量が多いせいだっていうのがよくわかってしまった。
あれもこれも魔力で解決できてしまっていて、なんかもう魔力というのが万能何かなんじゃないかとすら思えてきてしまっているけど。
「まぁ、リク様であれば魔法が使えずとも、一軍を圧倒するくらい簡単でしょうから」
「実際にリクは、本当に一軍を相手にして余裕だったのだわ。ちょっとだけ問題がないわけではないけどだわ」
フィネさんの言葉に、説明している途中で俺の頭にドッキングして合流したエルサが、何故か得意気に話している。
一軍をというのは、侯爵軍五百名との演習だね。
あの時は最低限の魔法で、全く使わなかったわけじゃないけど、それでも魔法なしでもそれなりに戦えることの証明でもある。
五百人を相手にして、遠距離近距離から多種多様な攻めに対処した自分が、それなりと考えるのは、皆に行ったら変な顔をされそうだけど。
あと、エルサが行っている問題っていうのは、ユノ命名のバーサーカーモードの事だと思う。
戦う事に集中し過ぎて、ただ敵対する者、下手をしたら近くにいる者をひたすら打ち倒す感じになっちゃうから、問題と言えば問題かもしれない。
俺が注意してそうならないようにしておけばいい話ではあるんだけど。
……王城に戻ったら、エアラハールさんに一から鍛え直してもらった方がいいかもね……技術的な戦い方を身に着ければ、多少マシになってくれると思うから……なるといいなぁ。
もちろん、一朝一夕で技術が身に付くとは思っていないけど、魔法が使えない以上自分の体を頼りにするしかないわけだし。
白い剣にも、かなり頼る事になるだろうけどね。
……白い剣の特殊性を考えたら、それだけで十分かもしれいけど、だからって俺が努力しちゃいけない事にはならないわけで。
むしろ、努力しておかなきゃとも思う。
「魔法とは関係なく、軍を相手にできるっていうのはどうかとも思うけど……リク自身が気にしていないのなら大丈夫そうね」
「ははは、まぁね。俺自身、魔法は便利だし使えるに越した事はないけど、でも元々使えなかったから」
フィリーナの言葉に苦笑しつつ答える。
軍をというのはともかくとして、日本にいた時は当然ながら魔法が使えなかったわけだし……つまり、これまでの人生の大半は魔法なんて使って来なかったわけで。
結界とか魔力探知とか、便利な魔法が使えないのは残念だけど、そこまで気にならないかな――。
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