1,541 / 1,811
女性が多いのは偶然です、本当に偶然です
しおりを挟む「本当にぃ? 女性を侍らして、男の願望をかなえようとか、そんな気はないの?」
「本当ですよ! 偶然、クランに入ってくれそうな人が、女性だっただけですから! なんですかその願望って、そんなのありませんから!」
訝し気にしながらも、目が笑っているレッタさんに対して必死に否定する。
決して、女性が多くても俺が狙って集めたわけじゃない事だけは、理解して欲しい。
確かに周囲には女性が多いけど……。
ただレッタさんやロジーナは、シュットラウルさん達に押し付けられた形に近くもある。
まぁレッタさん達はクランに所属する冒険者としてではないけど。
それに、トレジウスさん達も場合によっては誘ってもいい考えているから、男性もちゃんといる。
あとは、マティルデさん達がどんなメンバーを選抜しているか次第だ。
肩身が狭くなるから、男性多めがいいなぁ……やっぱり、大多数が女性だと少数の男性はやりづらくなるよね、男女比が逆になってもそうかもしれないけども。
あと、あんまりトラブルを持ち込まない人とかがいいかなぁ。
男女だと、パーティ単位でもトラブルは付き物らしいし。
それと、俺は女性に興味がないとは言わないけど、モニカさんへの気持ちを自覚している以上、変な事を考えて誘っているわけでは断じてない。
ちなみに、クランの話などはレッタさんにはすでにしてある。
とりあえず、冒険者じゃないのでクラン員にというわけじゃないけど、見張り役を引き受けた以上話しておかないとね……隠す事でもないし。
「……せっかくの誘いだけど、私は……でも……」
「何か、気になる事でもあるんですか?」
レッタさんを牽制しながら、さっき考えていたクランに入る利点というか、アンリさんを止められる事などを話すと、躊躇するような様子を見せた。
暴走を止められる、という点でクランに入る方向で考えてはいるようだけど、何かが引っかかって、気になって頷けないと言った感じに見えるね。
「私だけじゃ、決められないわ。いえ、私一人になるのは……嫌なのよ。ルギネやグリンデ、ミームも一緒がいいの。でも、ルギネ達がどうするかは、私には決めれられない」
ルギネさん達と離れたくない、けど迷惑もかけたくないと考えて、迷っていたんだろう。
暴走して迷惑をかけないためには、クランに入るのが一番だ。
けど、そうするとルギネさん達とは離れ離れになって、パーティとして一緒にいる事ができなくなってしまう、と考えているからだろうね。
「あー、成る程。だったら、ルギネさん達も一緒にクランに入ればいいんですよ。というか、リリーフラワーのメンバーは全員誘うつもりだったので」
そもそも、今回の事がなくてもリリーフラワーのメンバーは勧誘するつもりだった。
もちろん断られたら引き下がるつもりだったけど。
元々マックスさん達や元ギルドマスターさんに教えを受けて、実力を伸ばしていたらしいし、センテでの戦いで力は発揮されていたみたいだからね。
AランクやBランクの魔物がいる中、モニカさん達を助けてもくれた。
それに、人となりに関しても悪い人達じゃないのはわかっていたし、帝国との関係は今回の事で通じていないと証明されたようなもの。
もし帝国に与する人だったら、レッタさんを見て激情に駆られて暴走したりしないだろうし。
「リリーフラワーの、他の皆も……一緒にクランに入れてくれるの?」
「もちろんです。まぁ断られたら無理にとは言いませんけど……」
「アンリ……すっごく、ものすっっっごく不本意だけど! リクの誘いに乗るしかないよ……はぁぁぁぁ……」
「溜め息まで!?」
不本意な事を強調するグリンデさんは、最後に深い深いため息を吐いた。
そんなに嫌なの……まぁ、顔を合わせれば大体睨まれていたからなぁ。
相当嫌われているとは思っておいた方が良さそうだ。
「……そうね。最終的にはルギネの意見を聞く必要があるだろうけど、私には断る事はできそうにないし。そもそも、反対していたのはグリンデだけだったものね」
「うっ……だって、お姉様がこんな男の下に付くなんて、嫌だったんだもの」
「えーと? 反対って?」
「あぁそうだったわね。元々、私達はリクさんのクランができたら、入れてもらえないかって話をしていたのよ」
「そうだったんですか?」
「えぇ。でも、リクさんは英雄と呼ばれ、国から最高勲章を受け取った人。私達なんかじゃ力不足かもっていう意見もあってね。だから、ヘルサルの獅子亭で必死に訓練したわ……主にルギネがだけど。それから……」
アンリさん曰く、俺がクランを作るという話は冒険者ギルドを通してある程度のランク以上には、周知の事実になっているらしい。
特に、有望な冒険者で経歴が怪しくない人……というか、犯罪歴なんかがない人を中心に。
その話を聞いて、リリーフラワーの人達もクランにと考えていたらしい。
で、主にルギネさんが主導していたらしいけど、グリンデさんは大反対……まぁ嫌っている俺のクランに、というのだからそれも当然か。
アンリさんは賛成側で、ミームさんはお肉が食べられるならどちらでもというスタンス。
……ミームさん、他にも色々と気にするべき事がある気がするけど、まぁ今はいいか。
それで、グリンデさんを説得しつつも訓練に励んでいるところに、今回のセンテでの事があった。
ここで手柄というか、活躍してそれを持って俺の英雄とか呼ばれている名誉みたいなのに見劣り……はすると考えていただろうけど、断られないだけの成果をと考えていたらしい。
もちろん、それだけじゃなくて冒険者としてやれるだけの事をやろう、と必死に魔物から街を守ってくれたってわけだ。
モニカさん達を助けたのも、打算というより役割を全うするためで、むしろあれだけの魔物が押し寄せて近くにはヒュドラーなんて常識外れの怪物がいる状況で、そんな事は考えられなかったらしい。
その後も色々あって、活躍はしたし成果は残した自負はあるけど、言いそびれたりパーティ内で話し合いを行えずに今に至った、という事らしい。
「だから、こうしてグリンデが賛成してくれるなら、私達はリクさんの誘いを断る事はないわ。もちろん、ルギネやミームの考えがあれから変わっていなければ、だけどね。なんせ、ヒュドラーとも真正面から戦う人が、クランマスターなんですもの。レムレースなんて、倒せないと言われている魔物もそうだし、怖気ずく可能性もあるわ。だから、言いそびれていたのもあるのだけど……」
うーん、俺の活躍で怯む必要は一切ないんだけどなぁ。
「まぁ、あんな魔物は……今後戦わないとは断言できませんが……」
何せ、ヒュドラーとレムレースをも利用しようとしていた帝国だ、どんな隠し玉を持っているかわかったもんじゃない。
ただ今回の事に関しては、レッタさんの協力が大きかったとは思うけどね。
そのレッタさんが帝国を離れている現状で、同じような事ができるのかはわからないから、そうそうヒュドラーとかレムレースみたいな魔物は、出て来ないとは思うけどね――。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,117
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる